パルデンの会

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 左翼の狙いは国家破壊である。家族単位を破壊することが当面の戦術目標である。  人類の基本は生殖による子孫の増やすことである。生物の本能でもあるが、近年の風潮は、これが時代遅れ、時代錯誤という錯覚の下で正論が消された。

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月13日(月曜日)
       通巻第7635号 
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「認知戦争」とはマインド・コントロールの応用
  WGIP(ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラム)のSNS盤
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  ▲「認知戦争」とは何か?

 「認知戦争」とはマインド・コントロールの応用である。WGIP(ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラム)のSNS盤と考えればだいたい的を得ている。

大東亜戦争は日本が悪い」「戦争指導者は軍国主義に憑かれていた」「日本は中国で悪いことをした」「パターン死の行進は国際条約で禁止された捕虜虐待だった」等々、枚挙に暇がないほどの、これらの嘘放送、偽情報、フェイクの歴史解釈が日本人の認識を転換させた。甚大な精神的被害であり、日本人が立ち上がれない原因である。
 すなわち認知戦とは敵対国民の認識の基底をひっくり返す最新の戦い方である。

 


 典型の例証をLGBTQ議論にみる。「同性愛って気持ち悪い」と本当のことをいうと首相秘書官が更迭されたような価値観の転倒である。
 グローバリズム信仰がおきるのは戦後日本人の国連信仰が基本になる。LGBTQを少数者の保護だとさけぶのが進歩的、民主的という刷り込みの結果である。

得体の知れないグローバリズム金科玉条となって、当たり前の発言はむしろ退嬰的、時代遅れという妙な価値判断は、欧米の左翼全体主義者の戦術であり、これは文化的マルクス主義といえる。

 左翼の狙いは国家破壊である。家族単位を破壊することが当面の戦術目標である。
 人類の基本は生殖による子孫の増やすことである。生物の本能でもあるが、近年の風潮は、これが時代遅れ、時代錯誤という錯覚の下で正論が消された。

妙な発言、というより欧米リベラルの亜流のガクシャやブンカジンがテレビ番組を闊歩している。基本的論理を大きく逸れた議論を吹きかけて、その前提を壊している。これは左翼特有の戦術であり、まさに認知戦がメディアばかりか、SNSが戦場と化して日本でも始まっているのである。

 もうひとつ例をとると「転向」という左翼用語である。
戦前、渡邊恒雄(読売新聞のボス)も徳間康快も田中清玄も林房雄マルクスにかぶれた。やがて正気が戻り、日本回帰を果たすのだが、マルクスの呪縛から抜けきれず、ものごとをふかくかんが得られない人々が、訳も分からずかれらを「転向」と呼んだ。それでレゾンデートルを得ようとしたのだ。

 頑迷に嘘の歴史を信じる人は歴史の真実を正視できず、本当のことを主張すると、「修正主義」のレッテルを貼る。あれと同じである

 ▲中国のサイバー軍の実態を西側は掴みきれていない。

上海にある12階建てビルに数千人のサイバー専門家がつどう事実は特定されているが、これは中国人民解放軍総参謀部所属の61398部隊で、ハッカー要員はおよそ五万名と推定された。

 指令に基づいた書き込みを下請けするハッカー要員はアルバイト学生、退役軍人らおよそ二百万人。これらは「五毛幇」と呼ばれることは広く知れ渡っている。
 しかし福建省にあると推定される別のサイバー部隊は人民解放軍311基地所属の「61716部隊」と推定され、総政治部所属(現在の戦略支援組)である。対台湾向けの心理戦、宣伝戦を仕掛ける拠点で、この部隊の存在が台湾の情報機関によって明らかにされた。

 米国情報筋は、中国、ロシアのSNS浸透作戦による相手国のマインド・コントロールを「認知作戦」(COGNITIVE OPERATION)と呼称する。台湾は「認知域作戦」(COGNITIVE DOMAIN OPERATION)と、もうすこし細かな議論に発展させている

 前述61716部隊が台湾選挙に介入した。2020年の総統選挙に中国は北京の代弁をする政治家の韓国瑜を充てるように国民党トップに示唆した(形跡がある)。SNS作戦で勝てると踏んだからだ。

事実、2019年初夏まで、蔡英文の再選は難しいと予測されていた。このことは総統選前後に数回、現地取材に行った筆者も確かめている。
ところが台湾総統選は直前までの香港の民主運動弾圧を目撃し、大衆もすっかり冷めて、中国が全体主義の怖ろしい国家だったことに改めて気がついた。中国は自ら撒いた種で、台湾での作戦は失敗した。  

しかし2022年の統一地方選挙では国民党が優位を回復した。中国はさかんにフェイク情報を流した。ギャンブルサイトなどを擬装して軍資金も供与した。
 台湾の選挙に、偽情報の流布、デマ放送、これらをSNSネットワークを通じて大量に流した。くわえて中国華芸広播公司はテレビ、ラジオによる宣伝戦の尖兵となった。狙いは台湾国民の心理陽動、攪乱情報のみならず、高等で高尚な意見を装ってオピニオン・リーダーの意見を変えさせようと試みた。

 ▲「概念を構築する方法を変える」のが目的

「概念を構築する方法を変える」のが究極の目的であり、「違う概念をそれとなく植え付ける」のである。それによって大衆世論を誘導し、それがオピニオン・リーダーに影響を与えるようにしむけるという手の込んだ作戦だ。
まわりくどいが、狙いは政策決定に大きな影響力をもつオピニオン・リーダーの概念構築(認識能力に影響を与える)のである。

 典型の成功例は日本を見れば分かる。
 GHQの強制が基軸となったが、それに悪のりして東京裁判史観で自虐的になった日本のオピニオン・リーダーに中国は認識変更工作を展開した。すなわち大東亜戦争太平洋戦争、南京大虐殺はあった。疫病対策の731部隊は生体実験をした。日支事変は日中戦争十五年戦争)等々。真実は隠蔽され、別の概念が強要され、そして思考の前提がすっかり置換されていた。

こうして日本の政官界、ジャーナリズムからアカデミズムの指導層、財界に「贖罪意識」をまんまと植え付け、心理戦で日本人を圧倒して、中国への賠償に匹敵する援助を引き出し、6兆円を収奪し、あまつさえ日本企業の大量進出を促した。
 この基本的なやり方が「サイバー空間」に移行したということである。

既存のメディア報道を信じない大衆が増えれば増えるほどにSNSを通じた作戦のほうが効果的である。

 「認知戦争」(COGNITIVE WARFARE)という新しいタームは豪のシンクタンクに集ったエミリー・ビエンヴニュ、ザック・ロジャース、そしてシアン・トロースらによって最初に提議された。
 エミリー・ビエンベニュー女史は豪防衛科学技術グループのシニア・アナリスト。彼女の研究は戦略的資源としての信頼、戦争の性質の変化、紛争よりレベルが下の競合状況も含む。ザック・ロジャースは、米国・アジア政策研究センターの上級研究員。南オーストラリア州フリンダース大学ビジネス、政府、法律大学で博士号取得。シアン・トラウスはフリンダース大学で博士号を取得、「複合戦闘戦略応答」「複雑な人間システムのモデリング」研究に取り組む。専門分野は国際関係論、信頼理論、外交政策等。
 脳科学と防衛とサイバーを結びつけた国防理論であるところが新しい。

 この「認知戦争」を中国は台湾に対して二十四時間、三百六十五日、休むことなく仕掛けている。これは「明日の戦争」の先駆となり、戦場は陸・海・空、宇宙からサイバー空間へ移行している。相手の心理、良心、感受性に影響を与える。「マインドを乗っ取れ」という戦法である。

 ▲ 中国の「超限戦」とロシアの「ハイブリッド戦争」は同質のカテゴリー

 認知戦争という語彙を駆使した最初の米国軍人はデビッド・ゴールドフェイン将軍(米国空軍)で、「消耗戦争から認知戦争への移行」と述べて、注目された。

 通常兵器の消耗戦から、効果重視の作戦へ移行させ、明日の戦争を支えるのは、デジタル化され、ネットワーク化されたインフラをベースとする。

 これに沿ってインテリジェンス、監視、偵察、電子戦争、心理作戦、サイバー作戦を総合して情報をコントロールする。
米軍の考えることは総合的でシステマティックである。

 米国ならびに同盟国はハイテクを防衛し、知財を擁護する政策に転じているが、かえって敵対国家の軍事戦略の方向性の転換、敵に学習の機会を提供したと言えなくもない。なにしろ孫子以来、中国は「戦わずに勝つ」ことに戦略的文化の中枢があり、心理戦の優劣が勝敗を決めるという戦争の本質を理解している。

 中国の「超限戦」とロシアの「ハイブリッド戦争」は同質のカテゴリーと解釈して差し支えないだろう。

従来の戦場での優位性、その実践経験の蓄積があり、米国と同盟国は兵器、そのシステムに改良を重ねた。インターネットとはそもそも米軍の通信網から発展した。宇宙衛星による敵情報のモニターもスパコンによる解析も圧倒的に米国が有利だった。それも昨日までの話である。

 西側によって考案され、商業部門に転用され民生活用され、あげくはGAFAの興隆であり、その中国の亜流(ファーウェイ、テンセント、パイドゥ、アリババ)が世界市場を席巻した。こうしてネットワークによるデジタル時代の技術は、摸倣的想像力が豊かな敵対者への戦略的贈り物に化けた。まことに皮肉である。
 「認知戦争」は広範な文脈での「情報戦」。狭義に捉えると情報操作である。  

◎☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□