一番悪いのは FACEBOOK や TWITTER 当局である、 中国の顔色を窺って 真実を伝える意見を封殺した。トランプ大統領でさえ アカウントを 止められた。
新型コロナ研究所流出説、いかに欧米が中共当局の検閲を幇助したか
「誤情報として暴かれました」
「危険な言説です」
「参考になりません」
これらは、新型コロナウイルスが中国の研究室から流出したという説に対して、幾度となく言われてきた。ウイルスと中国の研究室との関連性に言及した者は、たちまち「陰謀論者」というレッテルを貼られた。
中国から世界にパンデミックが広がってから、少なくとも1年半はその状態が続いた。中国共産党政権は、ウイルスの起源を探る市民ジャーナリストや国外からの努力を繰り返し妨害し、本当の死者数を隠蔽してきた。
3年経った今でも、世界はパンデミックの起源を知らないままだ。そんななか、今度は主流派の議論が研究所流出説に転じてきている。最近では、米エネルギー省がFBIに同調し、「新型コロナウイルスは実験室から漏洩した可能性が高い」と評価したほどだ。
しかし、武漢研究所に長年警鐘を鳴らしてきた多くの人々にとって、米国政府の対応は遅すぎた。
新型コロナの流行に関する下院特別小委員会の委員を務めるロニー・ジャクソン議員は、エポックタイムズの姉妹メディアであるNTDに次のように語っている。「この2年半彼らはどこにいたのだろう、というのが私の最初の感想だ。全世界が立ち上がり、起きたことに対して中国に金銭的な責任を取らせるべきだった」
検閲
武漢研究所に対する懸念は、パンデミックの初期から持ち上がっていた。
まだ中国当局が武漢の海鮮市場をウイルス発生源として非難していた頃、エポックタイムズは「武漢コロナウイルスの起源を探る」と題したドキュメンタリー映像を公開した。映像では、武漢ウイルス研究所のバイオセーフティーレベル4実験室(P4実験室)がコロナウイルス研究に取り組んでいたこと、そして後に明らかになった通り、ウイルスをより致命的なものにしかねないハイリスクな実験が行われていたことについて取り上げた。
この映像は、公開後すぐに多くの注目を集め、さまざまなプラットフォームで数千万回の再生回数を記録した。
しかし、そうした懸念に対してさらなる調査が進められることはなかった。それどころか、米国ではパンデミックの発生に武漢研究所が寄与した可能性に関する議論を検閲するという、全面的なキャンペーンが開始された。
フェイスブックは、エポックタイムズのドキュメンタリーに「虚偽情報」のラベルを貼った。しかし、ファクトチェッカーの主張は、武漢ウイルス研究所で働いていたシンガポールの科学者の意見に基づくもので、独立した情報源からのものではなかった。その科学者は、武漢研究所の研究者を「信じられないほど優秀で勤勉であり、素晴らしい実績を持つ優れた科学者」と賞賛している。
後に、研究所が行なっていた危険な実験やバイオセーフティー基準の甘さを示す証拠が明らかになるにつれ、いわゆる「ファクトチェッカー」らの主張は疑問視された。しかし、2020年はメディア報道はほぼ止まっていたと言える。共和党員で生物学者のアイダホ州議員ヘザー・スコット氏は、シェアした動画にファクトチェックのラベル付けをされ、地元メディアから嘲笑されていた。
ワシントン・ポストは、「研究所について中国当局に尋ねる必要がある」と主張したトム・コットン上院議員を「すでに見破られた陰謀論を繰り返している」と非難した記事を掲載した。当時、記事は広く引用された。しかし、2021年になってワシントン・ポストは、記事中の「陰謀論」という言葉について、「ウイルスの起源に関するコンセンサスは得られていないため不正確な表現だった」と認め、訂正している。
「何かが非常に怪しいと思った」
新型コロナウイルスの起源に関する開かれた議論が欧米で封じ込められるなか、中国共産党もパンデミック対応に関する批判を封じる本格的なキャンペーンを展開していた。
中国の法執行機関は、ウイルスに早くから警鐘を鳴らした医師を叱責して「恐怖を煽るな」と警告し、市民ジャーナリストは投獄された。中国当局と国営メディアは、世界的なパンデミックに対する共産党指導部の対応を「模範的である」と称える一方で、政権のパンデミック対応に対する欧米からの批判を「人種差別」と決めつけた。米国で反アジア的な暴力が増えていたことを利用した手法だった。
その結果、世界全体が、ほとんど疑問を抱くことなく、中国からの語りかけを受け入れてしまった。
しかし、EPOCH TVの番組「トゥルース・オーバー・ニュース(Truth Over News)」のパーソナリティーを務めるハンス・マンケ氏は、中国当局が2020年1月23日に、ウイルス発生源として人口1100万以上の武漢を封鎖するという前例のない措置をとった時点で、「何かが非常に怪しいと思った」という。彼は、米国による武漢研究所漏洩説の隠蔽を過去2年間記録してきた。
マンケ氏は「2002年に中国から重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生し、世界中で数千人の感染が公式発表されたとき、北京はそのようなことをしなかった」と指摘している。
「もし都市封鎖するのであっても、感染力が比較的低いSARSウイルスの一種のために封鎖することはないだろう。習近平は何か特別な情報やデータポイントを持ったはずだ。だから通常とは全く異なる行動をとった」
しばらくして、何かが間違っていることを示す証拠が次々と出てきた。まず、新型コロナウイルスの発生地にコロナウイルスを研究している研究室があることが指摘された。それから、2020年2月6日に、武漢大学の2人の研究者によって、武漢ウイルス研究所を「殺人コロナウイルス」の発生場所として指摘する論文が発表された(直後にオフラインにされた)。そして、武漢研究所の上級ウイルス学者、 石正麗氏にスポットライトが当たった。彼女は長年SARSに類似のコロナウイルスを研究していて、直近では2015年に論文を執筆していた。
マンケ氏は「公の場でそれを言えば、あるいははっきりと言ってしまえば、ソーシャルメディアから削除されることを知っていたので、口を閉ざさなければならなかった」という。彼は、 研究所流出説に関してコメントした友人がツイッターから検閲を受けたのを見たそうだ。
「私たちは、公の場でこれらのことを言えなかった。さもなければ、すぐにツイッターアカウントが取り消されるか、敬遠されるかのどちらかだった。あるいは、陰謀論者と呼ばれ、荒らしや嫌がらせを受けることになっただろう」
2021年初頭、マンケ氏は、世界保健機関(WHO)の調査団による武漢での調査を追ううちに何かを感じ取った。中国側が深く関与したこの調査団による報告は、研究所からウイルスが漏洩した可能性は「極めて低い」と断じた。
しかし、マンケ氏がWHOの武漢調査団の経歴を調べたところ、動物学者ピーター・ダザック氏は、武漢研究所の研究者と密接に仕事をしていただけでなく、パンデミックの初期に研究所漏洩説に関する議論の妨害に貢献していたことも分かった。
その数か月後、情報公開法(FOIA)に基づき公開された内部文書から、ダザック氏が武漢ウイルス研究所のスタッフと少なからぬ交友関係があったことが判明した。また、彼が代表を務める非営利研究機関「エコヘルス・アライアンス」は、既存の病原体をより危険なものにする機能獲得研究などのウイルス研究のために、米政府から提供された助成金のうち数十万ドルを武漢研究所に流し込んでいた。
助成金は米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)が交付した。2020年2月初旬、ある科学者チームが「ウイルスが改変されたかもしれない」との懸念を表明した後、当時NIAID所長だったアンソニー・ファウチ博士は電話会議を開催した。会議参加者のうち、ダザック氏を含む4人が作成した論文「SARS-CoV-2の近接起源について(The Proximal Origin of SARS-CoV-2)」は、メディアを通じて広く流布し、多くの人が自然起源説の優位性を主張するために利用した。
2021年5月26日、ワシントンの連邦議会議事堂での上院小委員会にて。当時のNIAID所長、アンソニー・ファウチ博士 (Sarah Silbiger/Pool/Getty Images)
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真相究明に立ちはだかった障壁
2020年1月初旬、中国でのウイルス感染に関する報道が出てきたとき、ワクチン開発を専門とする豪フリンダース大学のニコライ・ペトロフスキー教授は、故郷オーストラリアの猛暑から逃れ、コロラド州の別荘に滞在していた。
武漢が全面封鎖される約1週間前、WHOはまだ「ウイルスがヒト-ヒト感染する可能性は低い」という中国共産党の主張をそのまま繰り返していた。一方でペトロフスキー氏は、担架に乗せられた死体や、アパートのドアを溶接して住民を閉じ込める中国警察の様子をソーシャルメディア上に投稿していた。
同氏は「中国の公式メッセージと、それを増幅させたWHOはとんでもなかった。私は、この深刻なウイルスを真剣に扱わなければ大惨事になってしまうとすぐに認識した」とエポックタイムズに語った。
ペトロフスキー氏は休暇の予定をキャンセルし、新型コロナウイルスの配列について、スーパーコンピューターを用いたモデリング研究を開始し、ウイルスがどの動物から来たかを突き止めようとした。3月に入り、研究チームの誰も予期していなかった情報が解析結果から得られた。そのウイルスは、宿主となりうるどの動物よりも人間の細胞によく適応していたのだったのだ。
「どうしてそんなことが起こるのだろうかと考えた。ウイルスが何年もの間、誰も知らないうちに人間に広がっていたのだろうか。そんなことはあり得ない。もしかすると、SARS-CoV-2は実験室のシャーレで人間の細胞に遭遇したのかもしれない」
「まさに電球が点灯した瞬間だった。私たちが確かに発見したことに対する、明白な説明だった」
ペトロフスキー氏がこの仮説について考えていた頃、ダザック氏は、ウイルスが自然界のものではないという推測を妨害するために、公衆衛生の専門家のグループを組織していた。2020年2月、エコヘルス・アライアンス関係者4人を含む20人以上の科学者が、世界的医学雑誌ランセットに連名で声明を発表したが、その背後にはダザック氏がいた。声明は、中国側の感染症対策における「驚くべき」努力と、世界の公衆衛生コミュニティとの「透明性のある」成果の共有を賞賛し、ウイルス起源に関するその他の理論を「噂」や「陰謀」として嘲笑している。
ペトロフスキー氏はこの声明にショックを受けていた。
「科学的な調査に政治的役割はないはずだが、私が見た限り、この声明文は純粋に政治に関するもので、事実に基づいたデータを含んでいなかった。科学は中立であるべきで、ただ真実に行きつくことを目的とすべきだ。その真実が政治的に都合が良いか悪いかは関係ない」
この政治的策略の影響は、ペトロフスキー氏の研究にも及び、研究成果を科学論文として発表することはほとんど不可能になった。
「私たちは障壁にぶち当たった。いくつかの大手出版社が、私たちの論文をレビューもせず48時間で送り返してきた」とペトロフスキー氏は語った。
約1年におよぶ「非常に敵対的な査読者」とのやり取りや異議申し立ての後、国際的な科学雑誌ネイチャーが彼らの論文を受理した。しかし、その頃には状況は一変しており、さらに多くの科学者が、研究所流出説についてより深くまで調査すべく名乗りを上げていた。バイデン大統領もこのシナリオの信ぴょう性を認め、ウイルスの起源に関する報告書を90日以内に作成するよう情報機関に命じた。
「しかし、すでに受けたダメージを回復するには遅すぎた」とペトロフスキー氏は語る。
「なぜなら、ネイチャー誌が大々的に報じた、『ウイルスの起源は動物に違いない。そうでないことを示唆する者は陰謀論者だ』という言説に、誰もが納得してしまったからだ」
「彼らは、世界的な偽情報キャンペーンによって煙幕を作ることに成功し、他のどんなデータが出てきても、皆がそれを無視したり陰謀論だと考えるようになったことに満足していたようだった。このキャンペーンは、まさにそのように展開された」
科学に反することを行なった集団
米政府内でも、同じ雰囲気が漂っていた。2020年にウイルスの起源に関する国務省の調査を率いたデイビッド・アッシャー氏は、武漢でロックダウンが始まってから数日後にウイルス研究所が軍に占領されたことに頭を悩ませていた。そこで彼は、国立衛生研究所(NIH)に連絡を取り、専門家の意見に耳を傾けることにした。
NIHと武漢研究所との関係は、当時はまだ知られていなかった。 アッシャー氏が驚かされたのは、NIHから「調査資料がない」と言われ、「近接起源(Proximal Origin)」論文を紹介されたことだった。
アッシャー氏がエポックタイムズに語ったところによると、当時NIHのトップだったフランシス・コリンズ博士は、直接ではなくスタッフを通じて、彼らに「中国人を信用すべきだ」と伝えたという。
アッシャー氏は「もしそれがあなた達の分析の根拠なら、あなた達の分析には根拠が欠けている」と答えたという。
「彼らは、透明性、真実、そしてあらゆる説明責任とまったく矛盾する方法で活動していた」とアッシャー氏は語る。
また、米国務省の軍備管理・検証・遵守局や軍備管理・国際安全保障担当次官のスタッフも、研究所起源説の調査が 「厄介なこと」を引き起こすのではないかと懸念していた。
アッシャー氏は「彼らが何を心配しているのか、正確にはわからなかった」と述べている。
2020年1月下旬まで、トランプ政権時代に疾病対策センター(CDC)の長官を務めたロバート・レッドフィールド博士は、パンデミックの初期数週間において、中国と関わり援助を提供しようと実りない試みを繰り返していた。
レッドフィールド博士はファウチ博士や他の保健当局者に、研究所起源説は真剣に検討する価値があると明言していたが、「近接起源(Proximal Origin)」論文に先立つ議論から排除された。彼は、情報自由法(FOIA)によって公開された文書から遡って、そのことを知った。
レッドフィールド博士は今年3月上旬、新型コロナウイルスのパンデミックに関する下院特別小委員会で、「私は異なる見解を持っていた。しかし、私が聞かされたのは、彼らは一つのシナリオが出来上がるまでこれを秘密にすることを決定した、ということだった」と語った。
「ある集団が、一つの見方しか存在しないと決めつけているのは問題だ。それは科学に反している。残念なことに、彼らはそういうことを行なっていた」
「中国の友人」を持つ欧米の科学者
これまで中国政府は、パンデミックの発生原因に関する包括的な独立調査を拒否し、一貫して他国に責任をなすりつけようとしてきた。
新型コロナウイルスの起源を隠蔽した責任は政権側にあるが、欧米の科学界はそれを助長してきた。
テキサス大学医学部ガルベストン校の著名な研究者は、長年武漢ウイルス研究所と提携していたP4研究所で、ウイルスが武漢の施設から発生したのではないかという懸念に対抗すべく、中国の同僚を積極的に助けようとした。ある内部メールでは、ガルベストン校の科学者らはエポックタイムズが制作したドキュメンタリー映像を「不愉快」とし、映像には武漢ウイルス研究所のシー氏と研究所内のP4実験室を指揮するユアン・ジーミン氏という、「2人の友人」に関するセクションがあることに言及している。
このような「中国の友人」を持つ欧米の科学者は、重要な要素を見落としていたと、米シンタンク「大西洋評議会」の上級研究員ジェイミー・メツル氏は指摘している。メツル氏はかねてよりウイルス起源の徹底的な調査を要求してきた。
3月上旬、彼はNTDに「中国の科学者と米国の科学者は全く違う」と語った。
「中国の科学者には素晴らしい人もいるし、十分な倫理観が備わっている人もいるだろう。しかし、極めて重要な問題がかかっているとき、彼らは率直に話すことができない。これが大きな違いだ」
それにもかかわらず、欧米の科学者や当局者、メディアによる研究所流出説を非難する努力が大きな影響を残した。
「初期に誤った認識が一般大衆に押し付けられ、それが定着してしまった」とメルツ氏は指摘する。
「それらは、確かに最初の1年間にほんの一握りの人たちによって行われたが、3年経って認識が変わってきている」
ターニングポイント
実際、政府のトップレベルに至るまで認識が変わってきている。
2月下旬のテレビ番組で、FBIのクリストファー・レイ長官は、パンデミックの起源が実験室の事故である可能性が高いことをかなり長い間考えていたと認めた。最近の世論調査では、今や米国人の2/3がウイルスが研究所から漏洩したと考えていることが分かった。3月20日、バイデン大統領は、新型コロナの起源に関する情報の機密解除を求める法案に署名し、議会で全会一致で承認された。
ペトロフスキー氏は、レイ長官の発言をターニングポイントとして捉えている。
「研究所起源説を唱える者は、どんなに優れたデータを持っていても、主流科学から追放され、まるで陰謀論者のように扱われ、まともな科学者ではないと見なされた」
「今、それが議題に上がるようになった。今こそ、異論を唱える多くの科学者たちを呼び込む時だ。この大流行がどこでどのように始まったのか、まだ分かっていないのだから、あらゆる視点が歓迎されるべきだ」
「どうして大きな利益相反を抱える少数の科学者たちが、『このウイルスは野生動物が発生源だ』というシナリオを作るのに成功し、反対意見を持つ科学者を悪者にすることができたのか、もっと多くの答えが必要だ」
共和党のロニー・ジャクソン議員は、変化がすでに進んでいると見ている。
「人々は今、不吉な前兆を感じていると思う。内部告発者が現れ、真実が明らかになりつつあることを実感しており、問題に巻き込まれる前に自分たちが正しい側にいることを確認しようと躍起になっている」
ジャクソン議員は、武漢ウイルス研究所の資金を枯渇させ、中国当局にパンデミック損害賠償を支払わせるための2つの法案を1月と2月に共同提案した。
「やるべきことはたくさんある。この問題の真相を明かせることにワクワクしている。」とジャクソン議員は語る。
「これは重要だ。二度とこのようなことを起こしてはならないのだから」