ロシア軍が「飢餓」を戦争手段として使用、証拠が次々に
ウクライナ検事総長の業務を支援する専門家チーム「スタベーション・モバイル・ジャスティス・チーム」が新たに発表した調査結果で、ロシア軍が飢餓を戦術として用いた証拠が示された。チームが指摘したように、その戦術は「ウクライナの人々を滅ぼすため」のものだった。 6月2日に発表された調査結果によると、チームはウクライナ北部チェルニーヒウ州で記録された数々の事件から「民間人の生存に不可欠な物を標的とする繰り返された組織的な攻撃」を確証するのに役立つ信頼できる証拠を集めた。 国際刑事裁判所に関するローマ規程は、戦争犯罪としての飢餓を「ジュネーブ条約に規定された救援物資を故意に阻むことを含め、生存に不可欠な物を奪うことで戦争遂行の手段として民間人を飢餓におとしいれることを意図的に用いる」と定義している。 戦争の手段として民間人を飢餓におとしいれることは、1977年の追加議定書において国際人道法で禁止されており、また慣習国際法でも同様だ。残念ながら、この戦争手段は近代の戦争の重要な要素であり、シリアや南スーダン、イエメンなど多くの紛争で使用され、これらの国の人々に悲惨な結果をもたらした。 国際法律事務所のグローバル・ライツ・コンプライアンスが設置した「モバイル・ジャスティス・チーム」に含まれるスタベーション・モバイル・ジャスティス・チームは1月に活動を開始。以来、同チームは2022年2月から4月にかけてロシア軍に占領されたチェルニーヒウ州にまずフォーカスし、その後ウクライナ全土の飢餓と関連する法律違反を調査してきた。 チェルニーヒウ州でのロシア軍による戦争の武器としての飢餓の使用を示唆するものとしては「チェルニーヒウ州中の重要な水インフラに対する空爆と砲撃、人々が水を求めて列を作っていたとされる病院の近くで民間人が犠牲になった攻撃、住宅地や病院、スーパーへの広範な攻撃、チェルニーヒウ市内のスーパーの外にできていたパンを求める人の列への3月16日の無情な攻撃」がある。こうした攻撃により、3月16日の14人を含め市民約20人が死亡。その後病院で死亡する人もいた。負傷者数は26~50人とされている。 今回の調査結果は、ロシア軍がウクライナで展開した飢餓戦術の増え続ける証拠に加わる。マリウポリの包囲、ロシア占領地域への人道的アクセスの妨害、農業機械や収穫物の略奪、民間人の生存に不可欠な物への砲撃、港の封鎖などだ。電力インフラや避難所、エネルギー・水の供給網など、重要な民間インフラも日常的に標的となってきた。 ロシア軍の残虐行為の証拠が続々と集まっており、正義と説明責任に向けたさらなる措置がとられる可能性がある。国際レベルでは、住民(子ども)の不法な追放とウクライナの占領地域からロシアへの住民(子ども)の不法移送といういう戦争犯罪に関与した疑いで、国際刑事裁判所はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と高官のマリア・リボワベロワに逮捕状を出した。だが他の犯罪についての逮捕状は出しておらず、さらなる起訴が待たれる。ウクライナではいくつかの戦犯裁判が進行中だ。飢餓の罪が追及されるかどうかは、まだ不明だ。
それを上回る 悲惨な人間の尊厳をお犯す ロシア軍の蛮行は
決して許されはしない、 ある意味ナチスの犯した罪よりひどいのかもしれない。(パルデン記)