パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

プーチンが「最も殺したい男」ホドルコフスキーは、プーチン政権を打倒できるのは軍事であり、武力行使でしかないと考えているように思える。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)7月2日(日曜日)
        通巻第7814号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ミハイル・ホドルコフスキーが沈黙を破って発言した
プリゴジンを支持すべきだ。彼の行進はプーチンの正統性に大きな打撃だ」
****************************************

 海外亡命中のミハイル・ホドルコフスキーが沈黙を破って発言し、プリゴジンの反乱を「支持する」とした。これは多くのロシア知識人に衝撃をあたえた。
 ワグネル叛乱を裏で操ったのはCIAだとする説が流れた。「これはロシア国内の内政問題であって、米国がワグネル傭兵部隊の叛乱に関与したことはない」とCIAのバーンズ長官はわざわざ米国陰謀説を否定した。
ことほど左様に奇妙なクーデター未遂事件の謎が謎を呼んでいる。

 たしかにワグネル部隊が対ウクライナ戦争の最前線基地司令部を乗っ取るという叛乱は世界に衝撃を与えたが、政治的見地から言えば驚くべきことではなかった。世界史的にはよくある軍事行動であり、ましてロシアでは。

 驚かされたのはワグネル軍団に対してロシア国民の支持である。おそらく現象的なことであり、参加したロシア人はホンの一部だろうが、プリゴジンを「英雄」として、進軍の町々で歓迎の声があがった。これはクレムリンを震えさせたのではないか。

 これまで反政府勢力は、ワグネルを「悪辣、無謀」と徹底的に批判してきた。ところがモスクワへ向けての「正義の行進」をはじめるや、批判から支持、すくなくとも「理解をしめす」ほどの変化を示した。反戦感情の爆発とクレムリンへの不満がワグネルの叛乱を契機に、ねじ曲がった形で現れたのだろう。

 しかし、亡命中のオルガルヒでプーチン批判の政治活動家だったミハイル・ホドルコフスキーが「正義の行進をほぼ支持する」と発言したことを如何に考えるべきか。
かれはツイート投稿でこう言った。
「奇妙に聞こえるかもしれないが、反戦を考えるロシア人は現時点プリゴジンを支持すべきだと思う。彼は我々の同盟者ではないし、この支援は非常に一時的かつ条件付きだが、彼の行進はプーチン大統領の正統性にとって大きな打撃であり、体制を崩壊させるものは何でも良いことだ」

 ホドルコフスキーは、プーチン政権を打倒できるのは軍事であり、武力行使でしかないと考えているように思える。


プーチンが「最も殺したい男」の衝撃発言の波紋

 ミハイル・ホドルコフスキーとは、そも何者かを振り返っておくべきだろう。
彼はプーチンが「最も殺したい」と思っている人物である。政治家であり、プーチン打倒の政党に巨額を寄付していた。石油会社「ユコス」の社長でもあった。
ホドルコフスキーはユダヤ系の父とロシア人の母との間に生まれた。母方の祖父はボリシェヴィキであり、「階級の敵」との結婚で一家は共産党から追放された。 

 ホドルコフスキーはロシア共産党幹部の隠れ財産を預かったと言われる謎の銀行を跳躍台として、「ロスプロム・グループ」という財閥を形成し、食品、繊維、建材、金属などの企業を傘下に収めた。ユコス」も金融工学的に吸収し、錬金術の才能を発揮した。

プーチンが激怒したのはユコス原油の対米直接輸出を開始し、ルクオイルと並ぶロシア最大の石油会社となり、これをメジャーのエクソンに売却しようとしたことだった。
いまから二十年前、2003年10月にホドルコフスキーは脱税などの嫌疑で逮捕・起訴され、禁固10年を言い渡され、殆どの財産を『罰金』として没収されたうえ、シベリア・チタ州刑務所に収監された。

2013年12月19日、プーチン大統領は恩赦を発表した。翌20日にホドルコフスキーは釈放されてベルリンへ向かった。背後にはゲンシャー元独外相が仲介したと言われる。すぐに英国へ移動したが、暗殺を避けるため、亡命先のロンドンから離れ、おそらくドイツ滞在中だと推定されている。 

 ホドルコフスキーは日本の雑誌文藝春秋』(2022年7月号)のインタビューで、「プーチン大統領は「汚職と犯罪」でロシアを統治しており、経済社会問題を覆い隠すため「外敵」を利用して繰り返し戦争に訴えている。戦争を長期化させて、ウクライナを支援し、ロシアに経済制裁をかけている西側が折れて来るのを待つのがプーチン大統領の目論見である。したがってウクライナを断固として支援し続け、プーチンを止めなければ、西側はおそらく1~2年のうちにもっと大きな代償を払うことになる」などと発言している

 海外に亡命したロシアの著名人、政治家、オルガルヒのなかでチュバイスイスラエルで沈黙を守り、アブラモウィッツは発言の場を失いつつあり、ホドルコフスキー発言が大きな発信力をもつことになった。
      ◎☆□☆み□☆☆□や☆◎☆□ざ☆□☆◎き☆□☆◎