中国政府のスローガン、ロンドンのストリートアート街に突如出現 抗議も落書きで対抗
ロンドン（ＣＮＮ） 英ロンドン東部のストリートアート街として有名なブリックレーンが、中国政府の統制に対する抗議の場と化している。発端は、もともとあった落書きアートを塗りつぶす形で、中国共産党の理念を宣伝するスローガンが書き込まれたことだった。
スローガンは週末にかけて若い中国人アーティストのグループが赤いスプレー塗料で描いたもので、中国共産党の「社会主義核心的価値観」を表す「民主」「文明」「自由」「平等」などの漢字２４文字で構成されていた。
中国の習近平（シーチンピン）国家主席が推進するこのスローガンは、中国全土でポスターや看板に表示され、国営テレビにも頻繁に登場する。
しかしこのスローガンが突如としてブリックレーンに現れたことや、死亡したストリートアーティストを追悼する作品も含めてもともとあったアートが塗りつぶされたことで、ショックを受けた地元アーティストが怒りを募らせ、習政権を批判して英国で暮らす中国人からも反発の声が上がった。ＳＮＳでも大きな注目を集め、論議の的になった。
中国のＳＮＳには、若い中国人アーティストが表現の自由を行使したとして支持を表明し、中国の文化と価値観の「輸出」を賞賛するコメントが書き込まれた。一方で、同地のストリートアートを破壊して中国共産党のプロパガンダを宣伝したとして批判する声もあった。
ロンドンのイーストエンド地区にあるブリックレーンは、カレー店が立ち並ぶ華やかなアート街として知られており、即座に反発が巻き起こった。
６日までに、中国共産党のスローガンの上には習主席や中国共産党を批判する内容の落書きが塗り重ねられた。
「平等」の文字の上には、ジョージ・オーウェルの小説「動物農場」の一節を引用して「だが一部は他よりももっと平等である」と書き込まれた。「民主」「自由」の文字の前には「ｎｏ」の文字が添えられた。
香港や新疆ウイグル自治区、チベットに対する中国政府の弾圧や、１９８９年の天安門事件を非難する内容の落書きもあった。
ところが７日早朝、そうした全ての落書きが白いペンキで塗りつぶされて消滅した。
ロンドンのこの地域を管轄するタワーハムレッツ区は、迷惑な落書きや違法な落書きを禁止する方針に沿って、問題の落書きを消去したことを明らかにした。中国に関係する落書きのみを消して、同じ壁の別の部分や反対側の壁の落書きはそのまま残した理由は説明していない。
ＣＮＮが７日に現場を取材した際、白い壁に残っていたのは、過去数日の出来事を記した付箋（ふせん）のみだった。
しかし壁の沈黙は長くは続かなかった。
正午ごろ、香港出身の若い男性がスプレー塗料の入ったカバンを持って訪れ、白い壁に新しい落書きを描いた。男性が中国語で引用したのはミラン・クンデラの言葉だった。「権力に対する人間の闘いは、忘却に対する記憶の闘いである」
２４歳のこの男性は匿名で取材に応じ、２０１９年に香港で民主化要求デモに参加した後、亡命を求めて英国に来たと説明。「中国で今起きていることは悲惨だ。だが政府は全ての記憶をかき消そうとしている」と訴えた。
７日午後には、壁は再び中国に関する新しい落書きやスローガンやポスターでいっぱいになり、観光客や地元住民が写真を撮っていた。
中国から英国に来て亡命を申請しているという活動家の男性は、過去２日間、ブリックレーンの出来事を見守り、人々と話をして過ごしたという。英国に滞在する中国人が一丸となって、中国共産党に対する反対意見を表明する様子を見て励まされたと話している。
ブリックレーンの壁に中国共産党のスローガンを描いた人物の意図については、詳しいことは分かっていない。制作者はスローガンの隣に張った印刷文の声明の中で、自分たちを「自由な心をもつ中国人アーティストのグループ」と形容。「断固たる表現の自由を表したこの文字は、２３年の中国でいまだ横行している思想、報道の自由、言論の自由に対する抑圧を無言のうちに思い起こさせる」と記していた。
だがこのグループの一人で「Ｙｉ Ｑｕｅ」を名乗る人物は、インスタグラムに「西側の偽りの自由を脱植民地化するために、社会主義建設の手法を用いるとどうなるか見てみよう」と投稿し、声明とは別の動機をうかがわせた。
この投稿に対しては批判的なコメントが相次ぎ、「言論の自由の妨害は、言論の自由の一部ではない。専門用語を駆使しても、他人の作品の残酷な破壊は正当化できない」などと書き込まれている。
Ｙｉ Ｑｕｅ氏は７日夕のインスタグラムの投稿で、自分に「政治的スタンスはない」と主張。「私は自分の国を愛しているが、それでも客観的に内省する権利はある」「状況が私の想像を越え、自分自身と自分の家族を守らなければならないところまでエスカレートした」と述べ、激しいネットいじめや殺人予告の標的にされていると訴えた。ＣＮＮは取材を申し込んだが返事はなかった。
壁は８日朝までに、再び白く塗りつぶされた。
© 朝日インタラクティブ株式会社
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ロンドン：さようならミスタービーン、こんにちは中国の特徴を持つグラフィティ
ミスター・ビーンとティナ・ターナーの有名なブリック・レーンの肖像画は、夜になると中国共産党のスローガンに置き換えられた。
ルース・イングラム著
ロンドンの有名なブリック・レーンは先週末、コメディアンのミスター・ビーンと歌手のティナ・ターナーの肖像画に別れを告げ、代わりに「文明、調和、自由、平等、正義」、そして中共が核心的価値観の名の下に信奉するその他すべてのものに挨拶を述べた。。
王立芸術大学の華僑学生、王漢正（インスタグラムのフィードでは「イーク」として知られている）が、おそらく友人の助けを得て、ロンドンの落書きホットスポットの1つを全面的に白塗りし、肖像画を置き換えることにした理由を知る人はおそらく誰もいないだろう。 2 つの国宝と、24 個の赤い漢字が刻まれた故グラフィティ アーティスト、ミアーティス フランクの記念碑。その重要性は、ほとんどのロンドン市民にとっては失われていただろうと言わざるを得ません。
しかし、12の大胆で等身大の対句は、共産主義信仰の中心的な教義である「繁栄、民主主義、文明、調和、自由、平等、正義、法の支配、愛国心、献身、誠実、友好」をそれぞれ支持している。この言葉は、亡命中国人の通行人全員の心に刺さっただろう。彼らは亡命した祖国のプロパガンダをよく知っており、共産主義の理想にふさわしい生活を送るよう促し、従わなければ罰則が課されることが、故郷の壁や街角、そして心の隅々まで描かれている。 。
そして、ブリック・レーンの新しい壁紙を例外として、このスタントに対抗するために大挙して現れたのは、特にチベット、香港、新疆からの亡命者たちだ。
香港の「点心日報」はイケ氏がいかなる政治的議題も否定していると報じた。彼は自分が中国の愛国者であり、西側諸国の「個人主義的で文化的に植民地主義的」なシステムで提供されている自由を利用しているだけであると認めた。他のアーティストの作品の上に絵を描くことは、単に「自由の代償」だったと彼は言う。同氏は後にBBCに対し、 24文字に込められた感情は中国だけの目標ではなく「世界共通の目標」であると語った。
中国北西部での迫害から逃れ、現在ロンドンに居住している亡命ウイグル人は、オンラインで装飾された「芸術作品」の写真を見たときに感じた既視感に恐怖を感じた。彼はそれを自分の目で見るためにブリック・レーンまで行きました。「このふざけた行為が私の中で再燃させた恐怖と記憶を言葉で表すのは難しいです。この種の抑圧の下で生活するプレッシャーは、一夜にして消えるものではありません。傷跡は深く、治癒には何年もかかります。しかし、この壁を見ると、すべてがまるで昨日のことのように甦ります」と英国在住10年のイルハムさんは語った。
大胆な赤いアートワークを目にしただけで、彼は新疆と、人生のほとんどを抑圧の下で暮らしていた時代に引き戻されるのに十分でした。「しかし、私の避難国であるイギリスでそれを見るのは恐ろしいことでした。その感情は非論理的であり、おそらく根拠がありません」と彼は言った。「しかし、あの壁を見て、ここロンドンにいる中国国家の切迫さと近さを感じました。」
数年前に家族とともに来た2人目のウイグル人のアミンさんは、英国だけでなく世界中で中国国家の「忍び寄る侵略」を見てきたと語る。「最近では中国製以外の製品を見つけるのは難しく、中国所有の監視カメラがいたるところに設置されている」と彼女は言う。「英国政府は中国に関しては眠っているようだ。」
彼女は、ブリック・レーンの壁画を、言語、文化、宗教が解体され、塗りつぶされ、代わりに中国文化が押し付けられたウイグル地域における中国共産党の行動の比喩であると考えた。「習近平は私の地域と国民を中国化しようとしている」と彼女は語った。「それが彼の世界に対する目標だったとしても、私は驚かないでしょう。」「この落書きを見ると、これが私に見えるものです」と彼女は言いました。
8月5日土曜日、白いペンキ、スプレー容器、ステンシルを手にしたイケ氏の同時代人集団による細心の注意を払ってシームレスに行われたこのおふざけに続き、中国国内外のソーシャルメディアでは賛否両論が巻き起こった。中国の人気ライフスタイルアプリ「Xiaohongshu」で学生らの作品をライブストリーミング配信することで、学生たちの取り組みは確実に幅広い視聴者に届けられたが、彼らの作品が反中国のスローガンで塗りつぶされると裏目に出て、中国はすぐに宣伝活動を中止した。祖国。
香港ウォッチのベン・ロジャース最高経営責任者（CEO）は「政権の卑劣で憎しみに満ちたプロパガンダでロンドンのブリック・レーンを汚した中国共産党の暴漢を徹底的に非難した」。彼は後に反落書きで応じようとして現れた「勇敢な本土の中国人」を「心から称賛」した。
中国のソーシャルメディアチャンネル微博では、落書き自体の定義に基づいて、落書きは反主流であるだけでなく、体制に従った表現も許容されるべきだと主張し、美大生の作品を正当化する人もいた。
日曜日の正午までに壁にはチベット人、香港人、中国本土の人々、活動家が殺到し、パネルの上に反中国共産党のスローガンやコメントを重ねた。賞賛する人もいれば、反対に批判し、侮辱し、元の感情に強く反論する人もいた。「彼らがその価値観をそんなに愛しているなら、なぜ彼らは自分たちの楽園に住まないのでしょうか？」ある人が尋ねた。別の人は「中国政府は実践すらしていない」価値観の偽善性を指摘した。
このような大騒ぎの対応に、地元当局は月曜日の朝に現れ、壁全体を再度白く塗り直した。Weiboでの対話は、中国政府の検閲によって消滅するまで激化した。
サウスチャイナ・モーニング・ポストのインタビューを受けた地元アーティストのラッセル・ショー・ヒッグスさんは、この対話は時期尚早に消去されたと考えた。「それは文字通り壁での会話になっていたが、それはそうあるべきだ」と彼は語った。
現在、壁は流動状態にあります。最初の再白化の後、反中国のスローガンが再び現れ始め、状況が手に負えなくなることを恐れた地元当局によって再び上書きされた。さらに多くの集会や投稿を行う計画が進行中です。反中共感情が高まっている。魔神が箱から出てきました。
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