新型コロナウイルス感染症により死亡した米国人の遺族4人が最近、中国の武漢ウイルス研究所に資金提供した米非営利団体「エコヘルス・アライアンス」に対し、ウイルスを「製造」し、「故意に無意識にウイルスを放出」したとして提訴した。
米FOXニュースが16日に報じた内容によると、原告4人がエコヘルス・アライアンスを提訴し、訴訟の中で同団体および代表のピーター・ダザック氏は新型コロナウイルスの危険性と「世界的な人類への伝染病につながる可能性がある」ことを知っていたと主張した。
原告側は、エコヘルス・アライアンスやダザック氏、武漢ウイルス研究所の科学者らが「(ウイルスを)管理した実験室環境から流出させ、ヒトに感染させ、世界的なパンデミックで全世界の人々に広がり、4人の家族に死をもたらした」と訴えた。
また、エコヘルス・アライアンスは武漢ウイルス研究所に資金の一部を提供したが、ウイルスの流出を防ぐためのセキュリティ対策を怠っていたと指摘した。
米国政府説明責任局(GAO)が6月に発表した報告書によると、武漢ウイルス研究所に米国立衛生研究所(NIH)および米国際開発庁(USAID)から140万ドル(約1億9600万円)の連邦資金が提供され、そのうちエコヘルス・アライアンスを通じて同研究所に60万ドル(約8400万円)の資金が提供されたとされる。
原告は「被告らは個人的にも集団的にも注意義務に違反した」と主張。エコヘルス・アライアンスとダザック氏に関して「コロナウイルスの病原性、伝播性、致死性を高めるための遺伝子組み換えや、ヒトにとって特に危険なコロナウイルスを意図的に設計することを含む、コロナウイルスに関する異常な危険性を伴う研究を実施した」とした。
このほか、被告らがセキュリティ侵害に関する多くの警告を無視し、適切なリスク評価を行わず、ウイルス研究を行っている科学者を監督せず、米国政府に対して定期的、適時かつ正確な報告を行わなかったと述べている。
また、原告は被告らも武漢ウイルス研究所と同様に新型コロナの起源について隠ぺいしようとしたとし、「被告とその共謀者は意図的にSARS-CoV2を作り、この実験室で作られたSARS-CoV-2ウイルスに関する深刻な結果を原告、死亡者、公衆に周知させることを怠り、更に悪いことに(被告は)SARS-CoV-2について実験室が起源とする事実の隠ぺいに関与した」と主張した。
NIHは昨年、エコヘルス・アライアンスが米政府との書面による資金提供契約を遵守していなかったと発表。エコヘルス・アライアンスは、連邦政府から800万ドル(約11億2千万円)近くの助成金を受け取っている。
米保健福祉省(HHS)の監察総監室は今年1月、エコヘルス・アライアンスが助成金と条項の条件を遵守しているかどうかについて、NIHは「効果的な監視やタイムリーな行動を取らなかった」と断じた64ページの報告書を発表した。