パルデンの会

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ム-ディズ、中国投資を『ネガティブ』に格下げ

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)12月7日(木曜日)
        通巻第8038号 
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 ム-ディズ、中国投資を『ネガティブ』に格下げ
本質を衝かれて慌てた中国は「政治的偏向だ」と猛反発
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 12月6日、権威ある格付け機関のムーディズは、中国投資を「安定的」から「ネガティブ」に格下げした。
つまり「投資不適格」の烙印を押したわけで、株、債券市場は一斉に下げた。三大格付け機関といわれるほかの二社(フィッチ、S&P)はまだ中国の格付けの変更をしていない。

 ムーディズの格下げとなった切っ掛けは10月に中国が1兆元の国債を発行したからで、理由は「長期的安定の展望がうすく、地方政府の負債がかさみ、経済の中枢だった不動産業界は暗く蔽われている」とした。

 第一に「財政・経済に下振れリスクがある」
 第二に「地方政府の土地使用権喪失は融資平台への支援がしにくくなった」。ちなみにIMFの推計で融資平台の債務は66兆元(1320兆円)、中央政府が30兆元(600兆円)、地方政府40兆元(800兆円)の規模を超える。これだけでも2720兆円になって、日本のGDPのおよそ五倍が借金というわけだ。
 第三に 経済成長率の低下で、政策の予見可能性が不足しており、先行きは不透明であるとしている。

 ムーディズは、もっと率直に書けば良いかと思うが、奥歯に物の挟まったような表現である。
 発表後、中国株、債券市場は下落した。反対にビットコインが高騰し、金価格は史上空前の高値をつけた。投資家の行動に将来の不安が表れている。中国政府は株価PKO(価格維持作戦)のため、投資家に『売るな』と強要する一方で、公的年金や社会補償基金どの約款を変更し、株式への投資上限を40%から70%に引き上げる。これって、株暴落となれば、社員、組合員が受け取る年金などがゼロに近くならないのか。

 本質を衝かれて慌てた中国は「政治的偏向だ」と猛反発した。
 「ムーディズは深く研究も分析もしないで中国に対する偏見が基調にある。中国は長期的安定をほこり、『中国の次は、やはり中国』であり、その透明性、安定性、確定的成長予測の可能性から鑑みても、「ネガティブ」と呼ばれる筋合いはない」(環球時報12月7日)とする反駁を繰り広げた。
 虚勢を張った反駁だが、中国が自らを「透明性、安定性、確定的成長予測」などというのは事実と逆さまである。

 言葉のやりとりはともかく中国の財務バランスは、一方において「対外債権」とされる「一帯一路」プロジェクトの貸借対照表では殆どが事実上の不良債権となっており、他方、国内的に財務比較をみても、不動産業界の瓦解により、積み上がって債務処理が遅れ、26の地方債がデフォルト、またドル建て社債はリスケ交渉が暗礁に乗り上げ、利払いさえ出来ない状態である。

 恒大集団一社だけで債務は50兆円を超えている。
 不動産デベロッパーの筆頭だった碧桂園もドル建て社債がデフォルト、万達集団は、資産を片っ端から売却し、倒産回避に賢明の努力をしている。
 中国版『フォーブス』の胡潤研究院は2023年の中国富豪番付を発表したが、碧桂園CEOも恒大集団CEOも落馬、86位と268位へ転落となった。

 ▼国内投資家も外国投資家も中国を見限った。決定だがイタリアの撤退だ

 くわえて台湾問題で欧米は中国に対しての不信感を増大させており、外国企業の中国投資は撤退態勢にある。

 G7唯一の締結国だったイタリアも正式に「一帯一路」から撤退した。
イタリア外務省が在イタリア中国大使館へ書簡で伝え、「2024年3月に『5年の期限』を迎える合意を更新しない」とした。 
イタリアは2019年3月、欧州連合(EU)懐疑派だった当時のコンテ政権が、中国の巨額投資を財政難解消の足がかりにすることを狙い参加を決めた。だが、自国への経済的恩恵が乏しく、メローニ政権は離脱を検討していた。

ウォール街でのファンド・マネジャーたちの会話。
「まだ中国に投資する? アンタ、正気か?」
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