日本でも一部合法的使用が認められた大麻…「遺伝子変化させうる可能性」＝研究
日本では昨年12月、大麻取締法改正案が成立し、てんかんの治療薬の材料として活用が認められた。いっぽう、大麻（マリファナ）の使用が著しく増加し、「グリーンラッシュ」と呼ばれ州の合法化が進む米国では、人体への影響を懸念する声もある。新たな研究によれば、大麻はDNAの変化を引き起こし、遺伝子の突然変異やその後の深刻な病気を引き起こす可能性があるという。
研究では、THC（テトラヒドロカンナビノール）を含む大麻に含まれる化学物質が、DNAを変化させ、病気のリスクを高める遺伝子変異を引き起こす可能性があることを発見した。この研究は『Molecular Psychiatry』誌に掲載された。
研究者は、どのような遺伝子を作り出すかを調整する「DNAメチル化」について解析した。その結果、大麻がこのDNAメチル化に寄与する、肝臓ガンと卵巣ガンに関わる遺伝子（LINC01132）の変化に含まれていることがわかった。
さらに大麻使用によってDNAメチル化に及ぼす変化は、ガンや発達障害、神経疾患など、いくつかの疾患・状態と関連しているという。DNAメチル化の変化は、大麻使用を停止した後でも何年も続く可能性がある。
大麻使用による長期的な影響を、豪州の研究者が指摘している。西オーストラリア大学精神医学・臨床科学部のアルバート・スチュアート・リース氏ら医学者は、使用者が大麻使用に関連した遺伝子の突然変異によって病気を発症しなかったとしても、その突然変異を子や孫に受け継がせる可能性があることを数年前から訴えている。
「母親が生涯で一度も大麻を使用したことがないとしても、父親の精子によって受け継がれた突然変異は、子供に深刻で致命的な病気を引き起こす可能性がある」とリース氏はエポックタイムズの以前の取材で述べた。
大麻に含まれる化学物質は使用者のDNAを変化させ、細胞の成長を遅らせる可能性がある。成長期の胎児にとって、手足や臓器の未発達、あるいはガンにつながる可能性がある、と研究者は考えている。リース氏は声明によれば「最悪のガンは、胎内で大麻の影響にさらされた子供の生後数年間に報告されている」という。
大麻ブーム 公衆衛生の危機
米国では、大麻の合法化を支持する声は主流となり、政党を超えた政治家からの支持を受けている。2022年のピューリサーチセンターの調査によると、米国の約90パーセントが医療用または娯楽用の大麻の合法化を支持している。
いっぽう、こうした「大麻ブーム」の背後には、進行中の公衆衛生危機が潜んでいる可能性がある。専門家らはタバコ同様に精神及び健康面での影響があることについて、検証が十分ではないと指摘する。
メリーランド大学の最近の評価では、その中毒性の懸念が指摘され、18歳から25歳の間で、大麻利用による救急室への訪問が増加していることも示された。
カロン治療センターのアダム・シオリ医学博士は「さまざまな健康状態に対する『自然な』治療法として大麻が宣伝されているが、その有効性を証明する研究はなく、大麻がすべての精神健康状態を悪化させるという証拠が増えている」と述べた。特に、重度のうつ病、一般化不安障害、および特に外傷後ストレス障害に対して、大麻使用のリスクが過小評価されているとした。
健康に及ぼす影響はいまだ調査中
大麻は、何世紀にもわたって様々な目的で使用されてきた植物である。何百種類もの化学化合物が含まれているが、最もよく知られているのはTHCとカンナビジオール（CBD）である。これらの化合物はカンナビノイドとして知られ、体内のエンドカンナビノイド系と相互作用し、気分、食欲、痛覚、記憶などの様々な機能に影響を与える。
大麻は、娯楽目的や薬用目的で消費されることが多い。喫煙、気化、お茶に、あるいはクッキーやキャンディーのような食用形態で摂取することができる。その効果は、系統や摂取方法、個人の耐性によって異なるが、リラックスしたり、知覚が変化したり、食欲が増したりする人もいれば、不安や妄想を感じる人もいる。
医療目的としては、鎮痛、吐き気への対処、発作の軽減、特定の病状の症状緩和のために使用されてきた。研究者は、大麻の使用が健康に及ぼす可能性のある影響（ポジティブな影響もネガティブな影響も）を調査し続けている。
