致死率は30%。発症すると筋肉周辺が壊死してしまうという“人食いバクテリア”。去年の患者報告数が過去最多になりました。
山内あゆキャスター:
致死率は30%、発症すると筋肉周辺が壊死してしまうことから“人食いバクテリア”とも呼ばれる感染症。去年の患者報告数が過去最多になりました。
「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」というものです。連なって鎖のようになっているので、レンサ球菌という。筋肉周辺の壊死を起こしてしまうことから、“人食いバクテリア”というふうにも呼ばれています。
初期症状としては、四肢の痛みや発熱など。それが急激に進行してしまうことが時々あるんです。そして、急激に病状が進行してしまうと、多臓器不全や呼吸器疾患などで死に至ることもあり、致死率は3割とされています。
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患者数を見ていきます。これまでで最も多かったのは2019年の894人でした。その後、コロナ禍は少し減りましたが、2023年は941人で、調査開始の1999年以降で過去最多になったということなんです。
厚生労働省は18日、患者から採取した菌の解析を進めるよう、改めて自治体に通知しました。
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実は子育てしている人に身近な感染症
この病原菌、劇症型になるものには「A群溶血性レンサ球菌」が主なもので、他にB群、C群、G群などがあります。「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」で報告が多いのは30歳以上だということです。
この病気、子育てしている人には大変身近な「溶連菌感染症」というのがありますが、実は「溶血性レンサ球菌」を略して「溶連菌」なんですね。
子どもがかかりやすいのは「A群溶血性レンサ球菌」の咽頭炎。子どもの喉が痛くなってしまうというのは、結構よくある症状ですよね。
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産婦人科医 宋美玄さん:
溶連菌は2023年の年末からすごく流行ってますね。
山内キャスター:
「A群溶血性レンサ球菌」の劇症型というのが今回の病気だということなんです。
過去最多の理由として、東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅医師は、2023年12月、溶連菌の咽頭炎が子ども中心に流行し、さらに、海外(欧州)で毒性が強く、感染力の強い新たなタイプの溶連菌が発生していて、このタイプが日本でも確認されたそうで、このあたりが原因ではないかと話していました。
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小さな血豆→救急搬送→右足切断に
では、どんな症状だったのか。実際に感染してしまった方から見ていきます。
50代で発症してしまった方は、当時、体調が悪く、「(体調悪化)1週間ぐらいして、親指の内側に血豆(直径約2ミリ)みたいなものができてしまった」そうです。
ただ2週間後、だんだん大きくなり、ぶにゃぶにゃして“嫌なニオイ”がするようになったそうです。その翌日、病院で診察したところ即、救急搬送に。
その後、集中治療室で4か月、4度の手術で、右足の付け根から切断するということになってしまいました。ただ、一命を取り留めることはできたということなんです。
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予防対策は一般的な感染症とほとんど同じ 傷口にも注意を
では、私達にできる予防対策はどんなことなんでしょうか。
感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」が考えられます。ですから、「飛沫感染」では、喉や口への侵入を防ぐ。「接触感染」では、傷口から入らないように傷口を隠すことも有効となります。
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予防対策は一般的な感染症とほとんど同じになってくるので、マスク、うがい、手洗い、アルコール消毒。また、傷口から入るということがあるので、「皮膚の傷口を露出しないよう絆創をつける、衣服で覆うのも重要」と寺嶋医師は話していました。
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井上貴博キャスター:
致死率が3割とか、いわゆる“人食いバクテリア”とか、こういう情報で「ドキッ」としてしまうところはありますけど、偏見に繋がることがあってはならないので、まずは正しい情報を確認するということですか。
宋さん:
本当に運悪く感染してしまうと、かなり劇症な経過を辿ってしまうということなんですが、別に何か特定のことをすればかかるというわけでもないので、あまり怯えすぎてもプラスにはならないのかなとは思います。
ただ、こういった感染症があるってことと、傷口を綺麗にしたりとか、うがい・手洗いとか、そういう当たり前のことをもう一度確認するっていういい機会になるかなと思います。