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自民総裁選、党員票の勢いは「高市早苗氏が最有力」『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』

自民総裁選、党員票の勢いは「高市早苗氏が最有力」

小泉・石破・河野各氏をすでにリード。永田町震撼の最新情勢を京大教授が解説

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岸田総理の後任を選ぶ自民党の総裁選挙は、小泉進次郎氏、石破茂氏、河野太郎氏の“小石河”のほか、茂木敏充氏、上川曜子氏なども有力視され、まさに候補乱立の様相を呈している。そんな中で「世論分析に基づくと、『支持率』『勢い』『バンドワゴン効果』の視点から考えた場合の“現時点”の総裁選“最有力”候補は『高市早苗』氏である」と指摘するのは京都大学大学院教授の藤井聡氏だ。

具体的なデータを見てみよう。(メルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』より)


※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:世論分析に基づくと,「支持率」「勢い」「バンドワゴン効果」の視点から考えた場合の“現時点”の総裁選“最有力”候補は「高市早苗」氏である.

「日本の命運を分ける総裁選」を決する3つのファクター

岸田氏の総裁選不出馬表明を受け、自民党総裁選挙の火蓋が切って落とされました(9月下旬投開票の見通し)。

この総裁選は、経済の視点からも外交力を含めた総合的国力の視点からも、コロナ禍、ウクライナ戦争、そして、世界的インフレの進行等の煽りを受けてますます激しく凋落しはじめた我が国日本のその凋落を食い止め、我が国の再生を図る上で、極めて重要な重大な歴史的意義を持つものとなります。

そうした背景を受け、この総裁選に向けての国民の注目は大きなものとなっているわけですが、果たして、一体誰が総裁、そして次期総理大臣として選ばれるのでしょうか…?

それを考えるにあたり、総裁選全体のプロセス(文末付録参照)を踏まえれば、次の三点が重要ファクターであることが分かります。

(1)新旧派閥の領主等の自民党有力者の判断
(2)自民党員の支持率
(3)国民の支持率

もちろん、今回の総裁選は派閥が麻生派を除いて解散しており、「(1)新旧派閥の領主等の自民党有力者の判断」の影響力が最小化されているとも言われていますが、実情を鑑みると、決してそうでは有りません。

例えば唯一派閥を正式に残存させている麻生氏は、正々堂々とその派閥を使って、特定候補者を支援することが可能な状況にあります。

同様に、菅義偉元総理もまた、その判断に従う国会議員を多数抱えていると言われており、菅義偉氏の意向で特定候補者を支援することが可能な状況です。

それ以外の旧派閥もまた、形式上は解散しているものの、「政策集団」などの名前で残存しているケースもあれば、再び集まりましょうという暗黙の約束が事実上、存在しているケースもあります。

そのあたりはまさに、「密室」で決定されていくプロセスですので、これについては、現時点では予想が困難な状況にあるのですが…こうした「有力者達の判断」に影響を及ぼす重要ファクターとして挙げられるのが「(2)自民党員の支持率」や「(3)国民の支持率」です。

有力者達が目指しているのはあくまでも「自分が支持する候補者が総裁選(ならびに、その後の衆院選)で勝利すること」(そしてそれを通して、その勝利者総理をコントロールし続ける状況を創出すること)です。

したがって、自民党有力者達といえども、決して「(2)自民党員の支持率」や「(3)国民の支持率」を完全に無視するわけにはいかないのです。

とりわけ今回は、表向きに派閥が存在していないという状況を受け、候補者が乱立することが想定されています。そうなると、国会議員票も割れてしまい、自民党有力者が思い通りに「国会議員票」を制御することが必ずしも容易ではありませんから、相対的に「(2)自民党員の支持率」や「(3)国民の支持率」の重要度が高まるという傾向も予期されます。

そして勿論、各議員がどの候補を「推薦」し、どの候補に「投票するか」を考える上でも、「(2)自民党員の支持率」や「(3)国民の支持率」は重要な要素となります。「勝ち馬に乗る事ができるかどうか?」というポイントは、各議員にとっても決定的に重大なファクターとなるからです。

ついては総裁選の行方を占うという主旨で、各総裁候補の支持者の「支持率」がどういう状況になっているのかを確認してみることにしたいと思います。

 

支持率トップ(8月時点自民支持層)は高市氏。7月一位の石破氏を抜き約6%差

まず、自民支持者を対象に含めた総裁選候補者の世論調査としては、おおよそ一月前の7月20・21日の産経新聞社・FNNの調査と、それから一月弱経過した8月16日の紀尾井町戦略研究所の調査があります。

この調査の結果の中でもとりわけ、「一般の国民」における支持率よりも総裁選により強く、直接的に影響する「自民支持者」に限った支持率に着目してみましょう。

【自民支持層 対象結果】
―――――――――――――――――――
<7月20・21日調査> <8月16日調査>
石破茂   21.2%  高市早苗  19.7%
小泉進次郎 13.0%  石破茂   13.9%
高市早苗  10.6%  河野太郎  12.7%
             菅義偉   12.7%
             小泉進次郎 11.6%
             上川曜子   4.6%
―――――――――――――――――――
(※7月20・21日調査では4位以下は不明)

7月時点では、総裁選への出馬への意向を比較的に明確に示していたのは石破氏に限られていたものの、 8月16日は岸田氏が不出馬を宣言した後の時点で、石破氏以外にも高市氏を含めた多くの議員が立候補を示唆・暗示する発言を行っており、状況が大きく変わっていることがわかります。

ご覧の様に、7月時点で11%程度の支持率で3位に留まっていた高市早苗氏が、岸田氏が不出馬宣言を行った後の8月時点では、約21%の支持を獲得し、1位に躍り出る結果となっています。しかも高市氏は2位の約14%の石破氏に、おおよそ6%もの大きな差を付けています。

ちなみに、次に紹介するように7月調査を行った産経新聞は、一般対象の調査でその前の6月時点で高市氏の支持はより低い水準であったと報道していますが、それを踏まえると、高市氏は、自民支持層においても6月、7月、8月と時間を経るにつれてぐんぐんと支持を伸ばしてきていると考えられます。

一般国民において「小石河」は徐々に人気下落。高市氏が人気上昇中。

ところで、自民支持層の調査結果は限定的ですが、一般対象の調査結果はより広範に報道されており、以下の様になっています(6月調査は産経新聞社・FNN調査)。

【一般 対象結果】
――――――――――――――――――――――――――
<6月17日調査> <7月20・21日調査> <8月16日調査>
石破茂   16.4% 石破茂   24.7% 石破茂  15.1%
小泉進次郎 14.6% 小泉進次郎 12.1% 高市早苗 11.8%
河野太郎  8.4% 高市早苗  7.5% 菅義偉   6.9%
高市早苗  6.3% 河野太郎  7.0% 小泉進次郎 6.8%
           菅義偉   5.4% 河野太郎  6.1%
           上川曜子  4.8% 上川曜子  5.3%
――――――――――――――――――――――――――
(※なお、8月17日には女性自身の一般国民対象の調査結果が報告されているが、その順位は、河野氏と上川氏の順位が異なる以外は紀尾井町戦略研究所のそれと整合する順位)

ご覧の様に(また先にも指摘したように)、高市氏は、6月、7月、8月と月を経る毎に着実に順位をあげ、トップの石破氏を追い上げてきています。

そして確かに石破氏はトップを続けていますが、その理事率は7月から8月にかけて減少しています。そして、「小石河」と呼ばれるあと二人の小泉氏は7月から8月にかけて下落し、河野氏は6月、7月、8月と一貫して順位を下げてきています。

つまり、「小石河」と呼ばれた小泉・石破・河野の三候補はこれまでさんざんメディア等でも取り上げられてきており、総裁選がまだ本決まりでなかった頃には一定の支持を受けていたのですが…総裁選が近づくにつれ、そしてとりわけ総裁選が確定して以降、急速に「失速」してしまい、その代わりに、高市氏に猛追され、ついに自民支持層において「トップの座」を明け渡す事になってしまったわけです。

「支持率」「バンドワゴン効果」の点から考える現時点の最有力候補は高市早苗

ちなみに、選挙において重要なのは支持率だけではなく、「勢い」だということはよく知られた事実です。

なぜなら、「投開票日」における支持率は、当然ながら「事前の支持率」と「勢い」の両者で決定されるからです。

しかも総裁選においては「勝ち馬に乗る」という効果(心理学では、バンドワゴン効果と呼ばれる普遍的な効果です)が特に重要となりますが、そんな状況では「勢い」の重要性はさらに重大なものとなるのです。

そもそも「勢い」は「空気」を醸成し、その「空気」こそが(バンドワゴン効果という)「勝ち馬に乗る心理」の支配的要因となるからです。

その点で考えると、(無論、総裁選までの間に何が起こるのか、とりわけ自民有力者達がどこまで世論の動向や自民党員の思いを汲み取るのかについては予断を許すことはできませんが)少なくとも総裁選における重大な3ファクターの内の2つの「(2)自民党員の支持率」や「(3)国民の支持率」のその水準および勢いの視点から見た、最も総裁の椅子に近い候補者は「高市早苗」候補であると、現時点においては想定されることになるのです。

いずれにしても、国民の皆さんには是非、日本の命運を分ける自民党総裁選の動向にご注視頂きたいと思います。

追伸:高市早苗候補が支持を拡大しているその最大の根拠は、その「政策論」にあると考えられます。例えば、岸田氏を総裁候補として強く推薦していた西田昌司氏が今、高市氏を推薦する事を公表していますが、その理由として「積極財政派で、保守の理念を主張している候補者は高市氏のみである」という事を挙げています。是非下記、ご覧下さい。

https://x.com/SF_SatoshiFujii/status/1824010159557169309

あるいは、高橋洋一氏は下記記事にて、政策的評価は高市氏が「圧倒的一位」と指摘しています。
https://gendai.media/articles/-/135872

文末付録

総裁選プロセスの概要を以下に記載します。

【ステップ1:立候補者の特定】国会議員議員の内、20名以上の推薦者を集めた議員が候補者となる。

【ステップ2:第一回投票】全立候補者を対象にして行われる第一回投票は、「国会議員票」と「党員票」が1対1のウェートで扱われる。約370名の国会議員票は一人一票を投じるもので、「党員票」は全国100万人以上の自民党員が投じた一人一票での票数に基づいて国会議員票を概ね比例配分する方式(厳密に言うならドント方式と呼ばれる方式で)割り振った票数である。この段階で、「過半数」を超える支持を得た候補者がいれば、その者が総裁となる。過半数を誰も超えなければ、第二回投票に進む。

【ステップ3:第二回投票】第一回投票のトップと次点の二名から一名を選ぶ決選投票。この第二回投票は370人近い国会議員による「議員票」と、自民党の各都道府県連に1票ずつ与えられた「地方票」の合計値がより多い候補者が総裁として選出される。

(メルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論』2024年8月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ)