ナビに表示されぬダライ・ラマ生家 不都合な偉人の痕跡「消す」中国
習近平指導部は宗教の「中国化」など少数民族に対する「同化」政策を強めている。中国内陸部・青海省で2月末、高名な宗教指導者や少数民族の歴史的英雄ゆかりの場所を訪ねると、こうした政策の厳しさが改めて浮かび上がった。 【写真まとめ】中国内陸部・少数民族のくらしは 青海省の省都西寧市から南に車で約1時間の農村地域にチベット仏教の最高指導者でインドに亡命中のダライ・ラマ14世の生家があるというので足を運んでみた。かつてはタクツェル村と言われた集落は現在、紅崖村という名前になっている。 ◇警官が接近阻止、写真消させられ ただ利用したタクシー運転手の使用するカーナビでは、地図から消去されているのか表示されなかった。付近の住民に道をたずねながら進み、ようやく丘の上の生家に向かう道にたどり着いたが、そこで警察官に囲まれた。こちらが外国人記者だと分かると、さらに応援が呼ばれ、周辺で撮影した写真をすべて消去させられた。 このダライ・ラマの生家は十数年前までは観光客が訪れる場所だったようだ。中国国営新華社通信も2013年、政府が250万元を投じて生家を改築し、それをダライ・ラマの親族が管理していると伝えている。 それが今では、「聖地」化を警戒してか、外国人記者が生家に近づくことも許していない。ロイター通信も19年3月に近づこうとして武装警察に追い返されたと報じている。まるで歴史上からダライ・ラマの痕跡そのものを消し去ろうとしているかのようだった。 消えた痕跡は、ダライ・ラマだけではなかった。現地で話を聞くと、他の少数民族の「英雄」たちにも同じような当局の動きが起きていた。【青海省西寧市で岡崎英遠】
