動乱ではなく 蜂起
チベット人蜂起から60年
中国青海省玉樹の海抜は4400メートルを超える。人口約10万人の9割以上をチベット族が占めるこの地で由緒あるチベット仏教寺院を訪れた。寺院内には高僧の写真が何枚も飾られていた。チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の写真はどこにもない。
中国で暮らすチベット族は約700万人。習政権は、チベット族が多数居住するチベット自治区(区都ラサ)や青海省などで交通インフラや観光業の整備を進めている。同自治区の昨年の経済成長率は9・1%と全国1位を記録した。
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「中国の経済発展のおかげで暮らしが良くなった」(44歳のチベット族男性)といった声も少なくない。
ただ、その男性は「外国に行きたくても行けないんだ」とこぼす。チベット族がパスポートを取得するのは非常に困難なのだという。移動の制限がいまだに残っている。
「私たちは外部の人と自由に話をしてはいけないことになっています」。そう言って口を閉ざすチベット族の女性(20)もいた。
暮らしは良くなっても、チベット族に対する管理は厳しいままだ。宗教とは直接関係のない領域においても自由が制限されている。
これらもまた、「共産党がもたらした幸せな生活」の紛れもない一面である。