パルデンの会

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ウイグル族弾圧の陰で…ダライ・ラマが発信を続ける意味 RKB放送

 

 

 

櫻井浩二インサイト

月~木曜 6:30
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ウイグル族弾圧の陰で…ダライ・ラマが発信を続ける意味

ウイグル族弾圧の陰で…ダライ・ラマが発信を続ける意味

強大国・中国は多民族国家だが、少数民族に対する人権問題が重く横たわっている。毎週木曜日にRKBラジオ『櫻井浩二インサイト』に出演し、中国問題を解説している元RKB解説委員長・飯田和郎が、少数民族のひとつ、チベット族の精神的指導者、ダライ・ラマについて直接インタビュー取材した経験も交え紹介した。

 

 

ダライ・ラマとは“生き仏”

中国には多数を占める漢族と、55少数民族がいるとされている。チベット族もそのひとつで、中国国内ではチベット自治区青海省などに住む。国外ではネパール、インド、ブータンに分布して住んでいる。独自の文化(文字や言語)を持つ。彼らはチベット仏教を厚く信仰しているが、そのチベット仏教の最高指導者が、ダライ・ラマ14世だ。「ダライ・ラマ」とは最高位の僧侶のことであり活仏(生き仏)でもある。チベット仏教に基づく政教一致の文化を持つチベットの頂点に位置する存在で、この世を去ると次のダライ・ラマが生まれ変わるとされている。現在はその14人目ということだ。私は約20年前、ダライ・ラマが居住し、チベット亡命政府があるインド北部のダラムサラでインタビューした。ニューデリーから寝台列車でひと晩、さらに自動車で10時間かけてたどり着いた。冒頭、「北京で勤務していた」と自己紹介すると、こちらの緊張をほぐすようにニコニコしながら「中国語は美しい言葉です」と中国語で答えた。中国共産党と対立関係にあるにもかかわらずだ。その後のインタビューはユーモアを交えながらではあったが、一方で、その共産党政権の人権弾圧、少数民族抑圧にはきっぱりと批判し、さすがしたたかな政治家であり生き仏だと魅了された。広く尊敬を集め、万人に愛される人物だからこそ、チベットには世界中から支援が集まっているのだろう。

ダライ・ラマ14世は60年以上、インドで暮らす

古代からチベット民族が支配する王国が、現在のチベット自治区にあった。清朝、それに続く中華民国の侵攻などで混乱の歴史を経て、現在の中華人民共和国1949年に建国された後、チベットを武力で支配した。1959年の争乱を経て、チベットの人たちの頂点にあった現在のダライ・ラマ14世はヒマラヤを越えて、インド側に脱出した。当時、14世は24歳。以来、インド北部のダラムサラという町を拠点に、活動を続けている。

現在86歳になった14世が、先月オンライン会見を開いた

東京にある日本外国特派員協会の要請による記者会見に臨んだダライ・ラマ14世は、習近平政権について次のような発言をしている。まず注目するのは「私たちは自分たちの独自の文化がある。狭い見方をする中国共産党の指導者たちは、そういった文化の多様性を理解できない」という発言。これは、中国の少数民族政策について語ったもの。チベット新疆ウイグル自治区の人権弾圧についてはっきり非難している。さらに「国の名前に『人民共和国』とあるが、実際は漢族によるコントロールが強すぎる」とも発言している。「共和」とは一部の特定の個人や階層のものではなく、それを構成するすべての人の共同の利益、という意味。「人民の共和国」なら、全体の共同の利益のために存在する国家体制ではないか。ダライ・ラマは北京に向け、そう問いかけている。中国の民族問題が国際的な関心を集めるタイミングを、ダライ・ラマがうまく活用しているとも言える。もうひとつ、発言の中には「中国共産党の新しい世代のリーダーシップで、状況は変わっていくだろう」というのもあった。習近平在任中は少数民族地域での人権状況は改善しない、という意味にもとれる。

 

一方、習近平政権は「いかなる勢力もチベットの問題に口をはさむ資格はない。チベットを分裂させようとするたくらみは失敗に終わる」と繰り返す。双方の対立が緩和する兆しは見えてこない。新疆ウイグル自治区だけでなく、チベットも含めた中国の少数民族問題はこれからも注視していく。