中国でノーベル平和賞のNHKニュース視聴できず 当局制限か
このニュースのトピックス:ノーベル賞
中国で8日、2010年のノーベル平和賞に同国で投獄中の劉暁波氏が選ばれたことを報じていたNHKの海外テレビ放送のニュース番組が、突然視聴できなくなった。画面が突然真っ暗になった。中国当局が放送を制限したとみられる。(中国総局)
宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010)10月8日(金曜日)貳
通巻3093号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(速報)
劉暁波にノーベル平和賞
尖閣も人民元だかもぜんぶ吹き飛んで真っ青の北京
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劉暁波にノーベル平和賞が送られることが決定した。
【オスロ=伊東和貴】ノルウェーのノーベル賞委員会は8日、2010年のノーベル平和賞を、中国共産党による一党独裁の見直しや言論・宗教の自由などを求めた「08憲章」を起草した中国人人権活動家で作家の劉暁波(リウ・シアオ・ポー)氏(54)に授与すると発表した。中国の人権改善や民主化に取り組む姿勢が評価された。
中国在住の中国人がノーベル賞を受けるのは、自然科学系も含めて劉氏が初。その授賞決定は、経済大国として国際社会での存在感を増す中国に対し、民主化と人権改善を強く促したものだ。ノルウェーでの報道によると、中国政府は、劉氏ら反体制派への授与が「中国とノルウェーの関係に影響を及ぼす」と委員会側に事前に圧力をかけていたとされる。今後、中国の猛烈な反発を招くのは必至だ。
同委員会は授賞理由の中で「中国は世界第2位の経済大国になったが、基本的人権の分野において責任を果たす必要がある」とした。
【ロンドン=木村正人】ノルウェーのノーベル賞委員会は8日、中国共産党の一党独裁体制の廃止などを求めた「08憲章」の起草者で、中国で服役中の民主活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏(54)に2010年のノーベル平和賞を授与すると発表した。中国の民主活動家の受賞は初めてで、中国政府が激しく反発するのは必至だ。
[フォト]劉氏有力視に不快感 ノーベル賞めぐり中国
劉氏は吉林省出身で、北京師範大や米ハワイ大などで中国現代文学などを講義。1989年の天安門事件の際には、米国から帰国して天安門広場でハンストを実施し、逮捕された。
天安門事件後、民主化運動の指導者や知識人の多くが海外に脱出する中、91年の出獄後も国内で民主化を求める論文を書き続けた。2008年、共産党の一党独裁体制の廃止や民主選挙の実施とともに、言論、宗教、集会、結社の自由などを求めた「08憲章」を、中国の学者ら303人の署名を添えてインターネット上に発表。劉氏はその直前に拘束された。10年2月、国家政権転覆扇動罪で懲役11年、政治的権利剥奪(はくだつ)2年の判決が確定。現在、遼寧省錦州市の刑務所で服役している。
ノルウェーのノーベル賞委員会によると、中国の外務省高官が今年6月、「(劉氏に平和賞を)授与すれば、ノルウェーと中国の関係は悪化するだろう」と同委に圧力をかけていた。
劉氏のノーベル平和賞受賞を契機に、国際社会から中国の民主・人権状況に対して非難の声が高まる可能性がある。1989年にチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世がノーベル平和賞を受賞した際、中国政府は激しく反発した。2000年には、フランスに亡命した作家、高行健氏が華人として初めてノーベル文学賞を受賞している。
【プロフィル】劉暁波氏(りゅう・ぎょうは) 1955年、吉林省長春市生まれ。88年、北京師範大文学部で博士号を取得。89年春、研究生活を送っていた米国から帰国し北京の民主化運動に参加。天安門事件後、反革命罪などでたびたび投獄される。2008年12月、「08憲章」を中心になって起草し発表。国家政権転覆扇動などの容疑で逮捕され、09年12月、北京の第一中級人民法院で懲役11年、政治的権利剥奪(はくだつ)2年の判決を受けた。10年2月には、北京の高級人民法院が劉氏の控訴を棄却、実刑判決が確定した。夫人は劉霞さん(49)。
平和賞に圧力 「無理押し」大国の異様さ
産経新聞10月8日に発表が予定されるノーベル平和賞には、過去最多の237個人・団体が候補として推薦を受け、ノルウェーのノーベル賞委員会で受賞者選考が進められている。選考過程は公開されないが、最有力候補の一人と伝えられるのが中国で服役中の民主活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏だ。
中国共産党の一党独裁体制の廃止を求めて2008年に発表された「08憲章」の起草者といわれ、憲章発表の直前に逮捕されて国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決を受けた。平和的な手法で改革を訴える文書を発表するだけで長期の投獄生活を強いられる。そうした国家のあり方は、大国になればなるほど異様に映る。
その異様さがもたらす受難があるからこそ、劉氏の受賞が有力視されているのだが、中国当局にそうした発想はないようだ。
ノルウェー・ノーベル賞委員会のルンデスタッド事務長によると、中国の傅瑩(ふえい)外務次官は今年6月、「中国に対する非友好的な態度になるだろう」と述べ、中国反体制活動家に平和賞を与えないよう露骨に圧力をかけたという。
同事務長は中国がここ数年、「いかなる反体制活動家にも授与するな」と繰り返してきた事実も明らかにしている。
平和賞受賞、市民は当惑=「当然」の声も-北京
【北京時事】中国の民主活動家、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞決定について、北京市内では8日、「よく知らないし、自分には関係ない」(女性33歳)「コメントできない」(男性50代)などと当惑した反応も目立った。
自営業の男性(56)は劉氏が投獄されている事情について「詳しく知らないが、政府に反対したということは、政府にも過ちがあったのではないか」と推定。「この国は反対意見を鎮圧しないと分裂してしまう」とした上で、「反対する人がもっと増えてほしい。受賞は当然だ」と語った。
外資系企業に勤める30代男性は「中国政府に対する最大の侮辱。共産党のメンツがつぶされたことは興味深い」とした上で、「反対意見が許されない体制は健全ではない」と話した。
北京大学を卒業したという男性も「劉氏は中国政府の情報封鎖に反対の声を上げている人物だ」と評価し、授与に賛意を表明。「政府が情報を封鎖しても、いずれ分かる。隠すことで政府に対する不満が募るだけだ」と政府のやり方に疑問を呈した。
一方、中国作家協会の責任者は「おかしい。劉氏が平和に対してどんな貢献をしたのか。中国の法律を犯した人物じゃないか」といぶかった。(2010/10/08-20:57)