パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

拉致問題アワー】ソウル国際会議報告と衆院委員会での訴え その5

その5


拉致を認めて5人が帰ってきたのにこういう副作用があったと書い
てあるので
はなく、日本政府が主語になっています。今日の拉致特別委員会には、与党の民
主党と、野党の自民党公明党共産党社民党がいました。野党のすべてが質
問したのですが、共産党社民党も含め、朝鮮学校に補助すべきという人はいま
せんでした。与党民主党の何人かの議員も、意見を聞きたいと言って、反対の意
見を言わせてくれました。

しかし、民主党の大阪出身の熊谷貞俊議員だけは、「朝鮮学校の子どもたちを
いじめちゃだめだ。北朝鮮打倒を言っていたら拉致被害者は帰って来られないの
だ」という話を堂々とされ、我々はどう思うかと聞かれましたので、「教科書を
みてほしい。日本当局が反朝鮮人騒動をやったと、日本当局が主語なんですよ、
と。日本当局が排他主義を煽っていると言っているんですよ。先生は与党でしょ
う。拉致問題特別委員会で拉致を議論したら排他主義を高めることになるんです
か」、「この記述が是正されないまま国庫支援をしたら、政府がそれを認めたこ
とになってしまうんじゃないですか」、「北朝鮮人権法には、政府は拉致問題
関して啓発行事をしなければならないと書いてあるが、これと反するのではない
ですか」と反論しました。

さらに、教育基本法の第2条には、「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に
寄与する態度を養うこと」と書いてあります。金正日による日本人拉致をきちん
と書かないで排外主義と書き、国連でもテロと認められた大韓機事件をでっちあ
げと書き、一体「国際社会の平和と発展に寄与する」のか、「他国を尊重」する
ことになるのか、と言ったのですが、熊谷議員は委員会が終わった後にも、私と
増元さんに詰め寄ってきて抗議するのです。

熊谷議員について調べてみると、彼は工学の学者で民主党に担がれて大阪府
事選挙に出て破れたあと、比例代表で大阪から衆議院議員になっています。履歴
をみると大阪経法大学の客員教授をしています。同大学は、週刊文春で「副学長
北朝鮮のスパイだ」と書かれています。あの「拉致はでっち上げだ」と強弁し
ていた親北派で有名な吉田康彦氏もこの大学で教授をしていました。そして朝鮮
大学出身の在日朝鮮人学者がたくさんいます。

問 今、朝鮮学校への国庫補助について6割弱が反対で、38%が支持となってい
ますよ。

西岡 熊谷先生は、「あんたたちが煽るから。すべてのことを拉致と関係づける
から。日本人の民族感情を煽ってどうするんですか」と言いました。「煽ってな
んかいません。我々は教育内容を問うべきだ、と言っているんです。無条件で、
朝鮮総連だからだめというのではない。教科書に書いてある拉致の記述はそのま
までいいのか、と問題にしているのだ」と反論しました。

朝鮮学校は、愛知県と北九州では担保に入っている。
破綻した朝銀信用組合
は1兆4千億円の公的資金が入った。そのうち2000億円をRCC(債権回収機構)が
引き受けて、回収しようとしたのです。名義は色々なものがありますが、実態は
朝鮮総連が借り手だとしてRCC は総連に600億円返せという裁判を起こしている。
RCCは一審で勝ったのですが、その時調べてみると、朝鮮総連朝鮮学校を担保
にしてお金を借りていた。返さないから朝鮮学校を差し押さえたのです。しかし、
政府は人道主義だから、学校を閉鎖するわけにはいかないので、仮差押えにした
のです。北朝鮮に送金したとの疑いが強い不良債権の担保にされているというこ
とは、朝鮮総連と一体ということです。

朝鮮学校の教科書は朝鮮大学で作っていることになっていますが、平壌の工作
機関である統一戦線部が検閲し、そこで印刷して持ってきているのです。統一戦
線部の建物の中には、朝鮮学校の教科書が陳列されてあり、「俺たちが検閲した」
と元幹部が証言しています。

李明博金正日会談を狙う北朝鮮、応じなければ戦争に出ると脅す

洪 拉致問題と関係があることなのかなと思われることを長く説明したのは、北
拉致問題を含め、ミサイルも核も、今圧力を受けています。また金氏王朝がい
つまで続くのか分からない。しかし、彼らは体制維持にため悪魔的な知恵を総動
員しています。生き残るためのありとあらゆる対策を必死にやっています。逆に、
悪を攻めるこちら側としては、弱点だらけの悪、矛盾だらけの悪を攻撃する姿勢
がない。日本は民間の拉致関係団体が中心になっています。

北は、金正恩体制が生き残るための2つの条件を満たすための最初の切り口は、
李明博金正日会談です。北は、これから李明博金正日会談の実現に向かいま
す。離散家族再会の雰囲気作りから、応じないと戦争に出るという脅し・挑発ま
で、あらゆることをやると思います。それを何があっても支援するのが中国共産
党です。

面白いのは、北朝鮮の2日前の発表です。「国防委員会検閲団の真相公開状」
で、「天安艦を撃沈したのは我々ではない」という調査結果です。ソウルの南北
首脳会談推進派が青瓦台(韓国の大統領官邸)の中にいるのですが、彼らは李明
博・金正日会談のためには、「天安艦撃沈についてはしっかりした姿勢を示さな
いといけない」と言います。これが最低の条件だとしたら、北は今ものすごく困っ
ています。物は得たい、国際的な認知もほしい。そのためには李明博金正日
談なしでは何もできないのに、これをどう乗り越えるか。もう一つは仮に、北の
妄動分子がやったということになれば、これまで北を支援してきた中国が困りま
す。中国は、「北がやったという証拠はない」と北の立場を支持し、国連の常任
理事国として制裁決議を霧散させたので、北の主張が変わると中国も困るのです。
こういうジレンマに陥っています。

拉致被害者を取戻すには、このすべての局面を見ながら賢く戦わなければなり
ません。そういう役割をしているのは、私が見ると、日本政府ではなく、拉致関
係3団体だと思います。それが今回のソウル大会での感想です。

北朝鮮を交渉の場に引きずり出す制裁と国際連携を
西岡 今日の参考人招致では、今の洪先生の情勢分析にもつながるのですが、こ
ういう流動的な状況では二つの戦略が必要と話しました。第一は、制裁と国際連
携の圧力で、北朝鮮拉致問題での対話に引き出すこと。2002年から8年間、膠
着状態が続いていますが、それは2つの時期に分けられる。2006年までは、拉致
を理由に明記された制裁が行われていないのです。偽の遺骨が来るなど、「死亡」
として拉致問題を終わらそうという陰謀は色々ありました。

2006年に初めて、拉致も明記した制裁がなされた。そしたら2008年に実務協議
が2回開かれて「調査のやり直し」を言ってきた。制裁の圧力と国際連携の結果
です。その時アメリカは、金融制裁をしていた。テロ国家指定も効いていたので
す。我々も何回も言いに行きました。ヒル氏(国務次官補=当時)も「テロ国家
指定解除には、日本の拉致の進展が条件だ」と言った。

ところが、金融制裁も解除され、テロ国家指定が解除され、金正日が倒れたら
調査やり直し約束は反故になった。アメリカが制裁を緩めたので戻ってしまった。
これには金正日の病気等、北の内政の要因もあると思います。しかし2年経った
今、アメリカは新たな金融制裁を始めました。先ほどの、金正日の秘密口座を管
理していた高英姫の兄夫婦もアメリカは保護し、そこから得た情報なども踏まえ
た上で、党の39号室と軍の偵察局等を制裁の対象とした。党と軍の機関がテロ組
織、犯罪組織だとして、そこと取引する金融機関に対して米国金融機関が取引を
止めると脅す制裁を行っています。

そして韓国も「天安艦」事件で制裁をしています。人道支援も大部分止めてい
ます。貿易も止めました。まだ開城工団が残っているので問題ではありますが、
かなりカネの流れが止まり、日米韓が制裁で足並みが揃ってきています。北が困っ
てきているのは間違いない。制裁という国際圧力で拉致に関する交渉に引きずり
出す可能性は見えてきたと思います。向こうは3国の制裁での連携を崩そうとし
てきますが、この体制を崩さないようにしていかなければならないと思います。
彼らは今、金正日李明博大統領との会談を狙い、裏で金をくれと言おうとして
いる。韓国が一番弱いと見ているわけです。

また、日本に対しては、去年から民主党政権は弱いと見て、必死の働きかけを
してきています。アメリカは中間選挙共和党が勝ちましたから大丈夫だと思い
ます。来年また訪米しなければと思っています。今、日韓がルーマニアとタイも
含め、ソウルで連携できています。また、向こうが嫌がることをやろうと、日の
丸の旗と、韓国とアメリカの旗を立てて、毎月1回風船ビラを飛ばしています。
こういうせめぎあいの中でこちらのペースになってきました。

金正日政権崩壊後の混乱事態に備えを

もう一つは、金正日政権崩壊後の混乱事態にも備えなければならない。そのた
めには自衛隊を動かせるような法改正が必要です。なお、後継政権が全ての責任
金正日にかぶせて拉致問題で動く可能性もあります。その際にも、制裁での国
際連携が絶対必要です。しかし、大混乱になったら交渉相手がいなくなります。
その場合、米韓軍が動くときに、自衛隊はどうするのかということも含め、韓国
との連携、その時の戦略的対話が絶対に必要です。

洪 西岡先生が報告されなかったので一つだけ補足します。今回拉致議連の先生
方とお会いした韓国の国会議員の中には左翼はもちろんいません。方法は二つに
なります。李会昌・自由先進党総裁は、一番右寄りの人ですが、こういう話をし
ました。「自分は最初から金大中太陽政策は間違っていると思っていた。私と
金大中の違いは、一言で言うと、金大中は物をやれば北は(対南姿勢が)変わる
と言ったが、自分は(北に物を)やれば(北が)変わるようにすることだと考え
た」と。また、「一番近い解決法は金氏王朝を崩壊させることだ」という話もあ
りましたが、韓国政治家の中である程度常識的な方々の意見だと思います。

西岡 李会昌総裁は、相互主義が必要だと言っていました。「北朝鮮の人権状況
を変えるような譲歩案がない限り、無条件での支援はしてはならない」と。つま
り、物をあげるのは北朝鮮を変える手段としてしかやらないということです。先
にやれば向こうが変わるという考えは間違いだということです。やらないと南北
関係が膠着化する、緊張が高まると非難されても、そういう時には国民に対し、
「今は我慢のしどころだ。原則を守れば向こうが変わる。向こうは物がほしい。
こちらが先に与えれば、取られてしまって終わりだ。実際、太陽政策の結果、核
武装されてしまったではないか。かえって事態が悪化しただけで、韓国人拉致問
題も何も解決しなかったではないか。先に物をやるのではなく相互主義で、被害
者全員を返しなさい等、条件をつけてやるべきだ」と。我々と全く意見が一致し
ました。

洪 北は今、子どもの童謡にまで気を使わなければならない。国民を監視しなく
てはならない状況です。「拉致被害者を返したら物がもらえるのに」という童謡
が北で歌われたらいいなと思います(笑、拍手)。

西岡 今月号の「月刊正論」に、金正日政権の崩壊が始まった。変化の時を迎え
ている。変化の時はピンチでもあり、チャンスでもある。戦略的に対応すればチャ
ンスになるけれども、何もしなければ最悪のことも起こり得る、という分析を書
いていますので、ご関心のある方は、お読み下さい。

以上