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威嚇的姿勢の中国 米国がとるべき強硬な対応

infinity>国際>岡崎研究所 [世界潮流を読む 岡崎研究所論評集] より転載
威嚇的姿勢の中国
米国がとるべき強硬な対応
20130319日(火)岡崎研究所
 米ヘリテージ財団の中国専門家であるディーン・チェン(Dean Cheng)研究員が、212日付で同財団のサイトに掲載された論文で、習近平の最近の演説から見ても、中国は強硬姿勢を続けそうであり、尖閣問題につ いては、米国は、空からの偵察活動を強化するなどして、同盟国支持の断固たる姿勢を示すべきである、と述べています。
 すなわち、習近平は、昨年12月、新南巡と呼ばれる中国南部訪問を実施し、1992年の鄧小平の南巡の足跡をたどったので経済自由化の再活性化と 政治的開放が期待された。しかし、新南巡において行われた主要な演説の内容は、漏れ伝わるところによると、政治改革の約束からは程遠く、むしろそれに警告 を発するものであった。
 習のメッセージは、中国共産党は権力を手放すつもりは一切ないということであり、経済自由化の見通しをも暗くさせるものである。
 習は、外交政策についても、いくつかの示唆を与えている。まだ公式発表されたわけではないが、政治局の研究セッションでは、二つの重要な点が含まれていたと報じられている。一つは、中国の報道機関が強調するように、鄧小平が謳った、平和的発展政策を続けることである。
 しかし、演説の他の部分では、外国の報道機関が焦点を当てているように、中国は「核心的利益」を絶対に犠牲にしないと警告している。
 「核心的利益」と言うことは、中国が交渉の余地のない領土主張とみなしているということになるが、「核心的利益」は、台湾、チベット、新疆だけでなく、往々にして南シナ海尖閣をも含む。
 習の立場は、尖閣をめぐる緊張の高まりに、既に、反映されているのかもしれない。日中はともに、尖閣周辺でのプレゼンスを維持するのに、海上の法執行力に頼ってきたが、中国は、空自の航空機を用いた日本側の対応に対して、領空侵犯を行った。
 さらに、中国による、海自の艦船とヘリコプターへの火器コントロールレーダーの照射という事態もあった。そうした行為は、偶発的あるいは不注意によるエスカレーションの可能性を高めるので、事態は危険を孕んでいる。
 米国は、こうした習近平の強硬姿勢に対して、次のことをするべきである。
 米国は、尖閣周辺に、非軍事的な法執行機関の艦艇、すなわち、コーストガードの監視船を展開させるべきである。そうすることで、「米国は事態を悪 化させようとしている」という中国によるプロパガンダの可能性をできるだけ封じつつ、米国による公式の支持を示すことができよう。
 米国は、プレゼンスを強化しなければならない。中国がより威嚇的姿勢をとると決めたならば、米国が必要に応じてそれに対応できるように、優位を維 持する用意があると、明確にしなければならない。そのために、米太平洋軍は、沖縄だけでなく、日本中の基地に、追加的な兵力展開を考えるべきである。これ らは、海軍、空軍だけでなく、中国の弾道ミサイルに対抗するために、ミサイル防衛部隊も含むべきである。
 中国のRIMPAC(環太平洋合同演習)への参加をキャンセルすべきである。パネッタと太平洋軍による、中国へのRIMPAC招待は、思慮に欠け ていた。中国が米国の重要な同盟国である日本に瀬戸際外交を繰り広げているときに、中国の参加をキャンセルすることは、中国の行為は相応の結果を伴うとい う明確なシグナルを発する機会を与えてくれる。
 尖閣周辺の空を監視するために、米国が追加的に兵力を展開することは、米国の日本支持を示す手段の一つだが、それは、米中の軍事衝突の危険性を高めることにもなる。
 そうであっても、それをいったん始めて途中で止めるということは、愚行である。同盟国を支持しないことよりも悪いのは、中国の決意に対して米国が 後退していると見られることであろう。したがって、米国は、事態の安定化を図る一方で、地域へのコミットメントと同盟国としての確固たる意志を明らかにし なければならない、と論じています。
                                    
 このチェンの意見は、現在までに現れた米国の意見の中で、最も強硬なものです。
 米軍機による空中哨戒の強化は、中国の行動に対して警告を与える効果があるでしょう。RIMPACへの招待拒否は、強烈な外交的ジェスチャーとな るでしょう。米中軍事交流は、その実効性はともかく、米国の中国関与政策の一つの柱となって来ているので、その中断は、大きな政治的インパクトがあるはず です。従来、交流の中断を外交的手段に使って来たのは、中国のほうです。
 ただ、それだけに、対中関与を標榜しているケリー国務長官などオバマ政権の新陣容が受け入れる可能性が極めて小さい提案であると言えます。
 にもかかわらず、このような保守的な論を堂々と開陳することのできる、米国の知的社会の幅の広さには讃嘆を禁じ得ません。そして、これは、もとより日本にとっては頼もしい議論です。