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オンデマンド殺人 中国の「死刑囚」臓器奪取の実態(二)

その1よりお読みください

オンデマンド殺人 中国の「死刑囚」臓器奪取の実態(二)


http://www.epochtimes.jp/jp/2013/03/img/s32359.jpg
     (仮想イラスト)
大紀元日本3月29日】ドイツの有力週刊紙ディー・ツァイトは7日、Martina Keller氏の署名記事「オンデマンド殺人」を掲載した。中国の刑務所や労働教養所で行われている臓器取引の実態を暴き、欧米社会もこの取引に加担していることを明らかにした。今回は抄訳の二回目。

心臓を得るのに数日間

2005年、車椅子に乗ったShtiglitsさんは妻と娘と一緒に上海に向かった。入院先の中山病院は中国最大規模の臓器移植病院であり、Shtiglitsさんの病室は外国人向けの区画にあった。カナダやオーストラリア、香港からの患者たちが、皆ここで、臓器を待っていた。

Shtiglitsさんの心臓は1割しか機能していなかった。イスラエルの病院に一年半以上入院したものの、適合するドナーが現れなかった。インターネットの情報を頼りに、一家は中国行きを決めた。ここの病院は政府補助が削減されてから、臓器移植が主な収入源。中国に行けば、2、3週間で健康な心臓が得られるという。

Shtiglitsさんはラッキーだった。入院して1週間経った日に、中国の医者が彼に言った。次の日に新しい心臓が来る、と。ドナーは22歳だと聞かされた。「彼らはその人が交通事故だとほのめかした」

これは説得力のない言い方だ。中国では毎年6万人が交通事故で命を落としているが、誰が事故で死ぬか、事前に分かるはずもない。

死刑囚からの臓器移植は人道的ではないと世界中は言っている。しかし、中国で起きていることは決して、「ただの」死刑囚からの臓器移植ではない。ある患者がある時にある臓器が必要な場合、たまたま処刑される死刑囚を頼みの綱にするのは、当然、不十分だ。「刑務所側は目的を持って選んでいる。囚人の健康状態、血液型、細胞組織形態などを精査し、適する臓器提供者を見つけては、(移植希望の)旅行者の滞在期間中に刑を執行する」。著名な生命倫理学者のアーサー・カブラン博士は2012年、『国家臓器:移植が中国で濫用される(State Organs: Transplant Abuse in China)』という本の中でこのように指摘し、「これはすなわち、需要のために人を殺す、オンデマンド殺人だ」と断じた。

欧米や日本の助力

この殺人が成り立つには、最先端の医薬品が不可欠。それらを提供しているのは欧米や日本だ。スイスの製薬会社サンドは80年代から移植に肝心な環状ポリペプチド抗生物質を中国に輸出。日本のアステラスも臓器移植による拒絶反応の抑制剤を中国に提供。ところが、人権組織はすでに1994年あたりから、中国の臓器移植の実態を報告し、これらの企業も知っているはずだ。

2005年の年末に、スイスの大手医薬品メーカー、ロシュ・グループは移植に際する拒絶反応を予防するセリセプト錠の生産を中国上海で始めた。ドイツ紙・ハンデルスブラット(ドイツ最大の経済新聞)の当時の報道によると、中国を生産拠点に選んだ理由について、同社フランツ・ハマー会長は、「日本と違い、中国は臓器移植に道徳上や文化上の抵抗はまったくない。薬もそうだ」と語っていた。

政府はこのような抵抗はないかもしれないが、国民はそういうわけでもない。中国人のドナー登録は2003~09年の間、130人しかない。ほとんどの中国人は政府の医療制度を信用していない。彼らは、登録したら自分の臓器が狙われ、死の判定が早められるのではないかと恐れている。

中国で行われた移植関連の臨床試験にも欧米が深くかかわっている。9つの研究を調べた結果、1200例の試験が記録されていた。試験を行った企業には米国のワイス、ファイザー、スイスのロシュ、ノバルティス、日本のアステラスなどの製薬大手が含まれる。これらの企業は中国で20数カ所の病院と協力関係にあり、移植関連新薬の臨床試験を行なってきた。

ディー・ツァイト紙は、臨床試験に際し、死刑囚の臓器ではないことをどのように保証するかについて問い合わせたところ、一部の企業は回答せず、また一部の企業は質問と関係のない返事をしていた。

Shtiglitsさんの第2の心臓はすでに7年間働いている。「手術からの数年間で、子どもたちは皆結婚し、孫も何人も生まれた」。心臓は死刑囚からの移植という可能性について、Shtiglitsさんは意に介していない。「心臓が残るか残らないかは、人が処刑され死んだことには変わりがない」と彼は言う

Shtiglitsさんの診療録には、ドナーに関する情報は一切ない。手術を行った中山病院は2011年まで300の心臓移植を行なった。ディー・ツァイト紙は病院に、協力機関について問い合わせたが、回答を得ることはなかった。

(続く)

(翻訳編集・張凛音)