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「一帯一路の波に乗り」臓器移植の中国モデル、世界に波及させる構え=中日友好病院



2018年08月03日09時07分

【経済】「一帯一路の波に乗り」臓器移植の中国モデル、世界に波及させる構え=中日友好病院


中国衛生当局は、7月中旬吉林省長春市で開催された「第9回全国臓器提供および移植フォーラム」において、近年国民による臓器提供の増加で、中国の臓器移植事業が大きく発展したと述べた。しかし、海外の独立研究者や人権団体は、当局の統計データに矛盾があると指摘し、中国当局が依然として死刑囚らの臓器を強制摘出していると批判した。

同フォーラムは7月14日と15日の日程で開催された。中国国家衛生健康委員会医政医管局の郭燕紅・副局長は、「2017年、中国における臓器提供件数と移植件数は世界2位となった」と述べた。

また、郭副局長によると、17年中国国民による臓器提供は5146件で、移植手術件数は1万6000件を上回ったという。臓器提供のうちの86%は、臓器提供者(ドナー)の自主提供によるもの。残りの14%は、親族間の生体臓器だという。また、17年の臓器提供者数が人口100万人あたり3.72人と過去最高水準になった。

中国当局は15年1月1日から、死刑囚や収容者からの臓器摘出を停止したと主張している。中国衛生部(厚生労働省に相当)元副部長の黄潔夫氏は過去、中国での臓器移植の6割以上が死刑囚からの臓器を利用したと発言した。

海外メディアや医療関係者は、15年以降の中国の臓器移植事業は、深刻な臓器提供不足に直面すると予測していた。中国当局の公開データによると、中国では移植手術を必要とする臓器不全の患者は毎年約30万人いる。

前述の郭副局長が提示した統計によると、死刑囚などからの臓器提出を停止した年の2015年の臓器提供件数は、14年の1500件から2766件に拡大した。16年は4080件、17年に5146件と年々急増している。

米ボイス・オフ・アメリカ(2日付)によると、ワシントンに拠点を置くNGO組織「強制臓器奪取に反対する医師の会(DAFOH)」代表トルステン・トレイ医師は、移植手術までの流れが不健全で透明性のない中国が、ドナー登録者数や手術件数が増加することに疑問を投げかける。

トレイ氏によると、中国当局は17年にドナー登録者が37万5000万人。「米国と英国の統計方法で試算すると、中国ではこの年に臓器提供をしたドナーの数は26~52人しかいない計算だ。しかし、当局の発表では5146件で、全く信用に値しない」と同氏は述べた。

トレイ氏が率いる研究チームは、中国の臓器提供体制と米英の体制と比較した。米国が17年に約1億4000万人の臓器提供登録者に対して、実際に亡くなった人が少なかったため、臓器提供できた人の数は1万284人にとどまり、その比率は0.008%。英国では17年の同比率が約0.01%。しかし、同年中国での比率は1.4%と、米英の約140倍。

一方、当局は中国の臓器移植技術が大きく発展したと強調した。国営新華社通信が7月上旬の報道で、「自己肝臓温存移植、阻血時間を設けない肝臓移植手術の技術は世界のトップレベルに達した」などと主張した。

トレイ医師は当局の発表を疑問視している。臓器移植技術の進歩は、実践と経験の蓄積を示している。トレイ医師は、迫害政策後に大量に行方不明になっている法輪功学習者などを含む、良心犯からの強制臓器摘出など「中国には膨大で違法な臓器移植システムがあるのでは」と指摘した。

2016年、香港で開かれた国際移植会議に出席した黄潔夫氏(GettyImages)

*「一帯一路の波に乗り」中国臓器移植モデル、波及させる構え

黄潔夫氏は、2015年以降も、死刑囚の臓器の使用をほのめかしたことがある。中国官製紙・人民日報は黄潔夫氏の言葉として「死刑囚もまた市民であり、臓器を提供する権利がある。この権利を法律は奪えない」と伝えた。同紙は、死刑囚がドナーになることを希望するならば、支持するべきであると論じた。

2017年2月、バチカンで開催された「違法な臓器売買に反対する」国際会議に出席した黄潔夫氏は、中国における死刑囚や収容者への生体強制臓器摘出を否定し、「デタラメだ」と述べた。

黄氏は同会議で、16年に海外からの臓器移植ツアーが1件もなかったとした。しかし、AP通信は同年8月29日、1人のカナダ人患者が中国で15万ドルを支払い、腎臓移植手術を受けたと報道した。患者は手術まで3日間待つ程度だったという。

「中国移植の権威」と呼ばれる黄潔夫氏は、世界保健機構にも太いパイプを持つと考えられている。2018年7月、国連組織である世界保健機関(WHO)組織で、専門家や医師からなる「臓器と人体組織の提供と移植に関する作業部会」30人のメンバーに、中国移植医・黄潔夫氏がWHOの推薦により選ばれた。

環球時報7月4日付によると、2018年7月にスペインで開かれた国際移植会議では、WHO臓器移植プロジェクト代表のホセ・ヌニェス氏は「疑われた臓器狩りはでっち上げだということが医師の立場から証明された」と述べた。WHOマーガレット・チャン総裁は、2016年10月に北京の人民大会堂で開かれた「中国国際臓器移植・提供会議」に送ったメッセージで、中国の臓器移植技術の発展は「中国モデル」として他国の模範になると支持を示した。

このチャン総裁も言及した「中国モデル」について、中国当局は世界規模に展開している大規模経済圏構想「一帯一路」の関係国にも伝えていく構えをみせる。

日本政府の無償提供を受けて北京に設立された中日友好病院は、2018年4月、肺移植センター設立1周年を迎え、黄潔夫氏ら衛生部幹部や関連委員会高官を招き講演会を行った。公式サイトによると、同センターは2017年の肺移植件数が全国2位だったという。

中日友好病院肺移植センター長は、中国の移植技術を一帯一路関係国にも影響をもたらしたいと発言した。同病院副院長もまた、今後の発展計画のひとつに「一帯一路の波に乗り、中国の肺移植事業を世界範囲に進出させる」と語った。

(翻訳編集・張哲/佐渡道世)