パルデンの会

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ミャンマーの民政移管後におきたのは民族・宗教対立の激化

チベット仏教と 小乗仏教のアジアの仏教徒たちを比較するべきである。
本来納めなくてはいけない 「怒り」 「差別」 がどんどん広がっている。
現在中国国内で行われている 焼身抗議が いつか 違う形に暴発する可能性もある。




宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
   平成25(2013)年6月26日(水曜日)貳
        通巻第3973号
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 ミャンマーの民政移管後におきたのは民族・宗教対立の激化
   仏教徒過激派は「文明を守れ」と対イスラム教徒への戦争を開始している
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 ミャンマー第二の都市マンダレー。温和しいはずの仏教徒集団が凶暴化してイスラム教徒を襲い、死者が出ている。およそ、仏教とは非暴力と忍耐が代名詞。なぜ暴力に訴えて異教徒を迫害するのか?

ミャンマービン・ラディン」と呼ばれる仏教指導者はウィトラー師。ミャンマー仏教界で第七位の高僧。四十五歳。「釈迦の教えにしたがっているまで」と言って、969運動を開始した。「969」はアショカを象徴するという。

彼は多くの信徒をまえに演説し、こういうのだ。
仏教徒は立ち上がる時がきた。血の犠牲を怖れるな。これ以上、我が国のなかにムスリムが増殖すれば、この国は乗っ取られる。モスクをみよ。派手なモスクが次々と外国からの資金で造られている。仏教の文化、伝統を破壊する。みよ。パキスタンアフガニスタンもマレーシアもインドネシアも、嘗ては仏教国ではなかったのか。それがイスラム国家に変貌したのはムスリムの増殖を黙認したからだ」

なんとも凄まじい演説だが、激越な言辞はまだ続く。
ムスリムは我が同胞を危し、婦女子を陵辱し、文化を迅速に破壊し、この国の脅威と化した。宗教と民族を守ることは民主主義より大事なことである」

ウィトラー師はタリバンバーミャンの石像大仏をミサイルで破壊したテロに衝撃を受け、暴力から仏教文明を守るには決死の覚悟が必要と閃きを得た。
だから「釈迦の教えに従っているまで」と言うのである。


仏教徒のテロ

こうした考え方に賛同する過激な仏教原理主義ミャンマー国内に留まらず、タイの南端、マレーシアとの国境付近でも、或いは敬虔な仏教徒の国、スリランカでも共通である。
タイではすでに数千が殺害され、スリランカでも軍と結託した仏教徒が屡々ムスリムの集落を襲った。
スリランカの或る僧院は軍事訓練の場となって、軍幹部への浸透をはかり、事実、スリランカ大統領の兄弟で国防大臣のラジャパクサは「仏教徒武装勢力が我が国を守っている。宗教と民族を守っているのだ」と発言しているのである(TIME、2013年7月1日号)。

ミャンマーでの激しい対立は、2011年の民政移管後に本格化した。
2012年に西部ラカイン州仏教徒と印度系ロビンギャ族(イスラム教徒)との暴力沙汰が発生し、112名が死亡したという。

この六月に、マレーシアへ出稼ぎに行ったミャンマーの仏教者のなか、数人が殺害された。この事件への報復としてムスリムへの襲撃が開始された。
こうした宗教プラス民族対立はメインディーラ州にひろがり、北東部ラショーにも伝播した。仏教徒らはモスクに放火し、イスラム系住民の学校、焦点に放火した。
マンダレーではイスラム商店から物を買うな、という不買運動が起きた。

もっともウィトラー師はムスリムへの敵愾心をむき出しにした過激僧侶でもあり、以前にも7年間監獄に暮らして来た経歴がある。名指しはしないがダライラマ猊下は、仏教が暴力に訴えることはないと否定的である。

しかしウィトラーし師は、「オバマは黒人イスラムの血が流れている。アラブは国連をハイジャックした。ミャンマーにすむ90%のムスリムは過激な悪い者どもである」と連続する過激原理主義に、地方の仏教徒が燃えているという。
 欧米の媒体は、これを「ブッディスト・テロ」と命名した。

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