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伊原純一アジア大洋州局長が説明-日朝協議

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.05.30-4)

伊原純一アジア大洋州局長が説明-日朝協議


 拉致問題をすべて再調査することで一致したというストックホルムでの日朝協議に関し、伊原純一アジア大洋州局長が家族会、救う会、調査会に報告した。

 古屋圭司拉致問題担当大臣西村康稔副大臣も参加。家族会から有本明弘副代
表、浜本七郎副代表、増元照明事務局長、飯塚耕一郎事務局次長、斉藤文代さん、
平野フミ子さん、内田美津夫さんが、救う会から西岡力会長、平田隆太郎事務局
長、山岸丈良事務局次長、調査会から曽田英雄常務理事が参加した。

■伊原純一アジア大洋州局長が説明-日朝協議

◆伊原純一局長発言(冒頭の説明と質問への回答を一緒にした概要)

 成果を出すためのチャンスとの姿勢で臨んだ。結果を持ち帰り、報告した。安
倍総理、岸田外相、菅官房長官、古屋担当相が協議し、安倍総理が決断した。北
朝鮮側も決断し朝鮮中央通信やテレビで報道した。

 協議では、遺骨問題や墓参問題等も調査対象に入っているので拉致問題が置き
去りにならないように、協議で北朝鮮に特定失踪者を含む拉致被害者問題が特に
重要と伝え、他の進展があっても、これが進展しないのは受け入れられないと伝
えた。合意でも「調査は一部の調査のみを優先するのではなく、全ての分野につ
いて、同時並行的に行う」と明記した。

 北朝鮮が出してきた結果をどのように検証するかは重要な課題だが、その際は
拉致対策本部など他の政府部署とも相談してやる必要があるが、合意では検証す
る仕組み(日本側関係者の北朝鮮滞在、関係者との面談、関係場所の訪問、関連
資料の共有)を明記させた。

 日本が解除する制裁は大きなものは入っていない。万景峰号の入港は認めてい
ない。認めたのは日本から北朝鮮へ食糧や医薬品など人道物資を運ぶ船の入港だ
けで、人の往来や北朝鮮からものを持ってくる船は認めない。そのことは協議の
場で明言した。いつ制裁を解除するか、ただ北朝鮮が調査を開始したと言っただ
けではだめで、実際に権限のある委員会が作られ、実際に調査が開始されなけれ
ばならない。人道支援も調査開始の時点では行わない。行う時期は日本側が判断
する。

 宋日昊にはその場で決める権限はないとおもわれるが、テレビ等で報道機関が
発表したのはトップの了解があったものと見ている。

 今回は項目が決まったもので、調査の期間など詳細はこれから協議する。

 彼らも拉致問題を解決する最後のチャンスと感じていると思った。日本側が提
起した様々な問題を一気に解決するとの意欲が見られた。当然その中には真相究
明も含まれる。

 いま、うれしい気持ではない。ようやくスタートで、これからが難しい。


家族会などからの発言

● もの別れと報道されたのに、1日経って、急にこれから調査すると報道され、
北朝鮮も報道していることが分かった。制裁の一部解除はいいが、最初に何を出
してくるかに注目する。北朝鮮はうそばっかりついてきた。(死亡とされた)横
田めぐみ、有本恵子らが、同じ理由で死亡と回答されて出てこないまま、知られ
ていない人を出してきたら、直ちに約束は白紙にして帰ってきてほしい。

● 金正恩はOKを出したのか。弱腰外交はだめ。帰国した5人の仲間を増やし
てほしい。

● 2008年にも北朝鮮が調査委員会を立ち上げるということがあった。まだ
全面的に喜べない。今回は拉致だけでなく議題が多い。どの手順で調査するのか、
解決が進むのか不安がある。日本の地で抱きしめあって喜びたい。北朝鮮が信用
できるところにこぎつけてほしい。帰国を亡くなった母にも報告したい。

● 再調査は前進だが、調査期間はどうなっているか。「すべての日本人」とあ
るので、認定被害者が埋もれてしまう不安がある。認定被害者を出さなかったと
きに(人道支援などの約束を)拒否できるか。再制裁も考えてほしい。

● 安倍さん、古屋さんはぶれないのでだまされることはないとと思う。特定失
踪者だけ出してきても受け入れるべきだ。世の中、めぐみさんなしに解決は考え
られないのだから、国民の反発でそれで終わりにはならないと思う。北朝鮮側か
ら調査を提案してきた背景は何か。「北朝鮮側の努力を評価」とあるが、でたら
めな調査結果を出してきたことを評価するのか。北朝鮮が約束したことに「拉致」
の言葉を使っていない。拉致にどれほどの重みがあるのか。人的往来や送金、所
持金はどこまで認めるのか。

● 局長は髪に白いものが増えましたね(局長 増えました)。本当は調査しな
くても管理台帳があると思う、万景峰入港反対で何回も新潟に行ったが、万景峰
号まで認めるのかと心配したが、説明を聞いて安心した。1年はかからないとの
ことだが、1年は待てない。みんな本当は期待しており、早く会いたいと思って
いる。

● 今回の協議は滅多にないチャンスだと思うのでものにしてほしい。今日は、
批判はせず心にしまい、お任せしたい。「すべての日本人」とあるが、我々のこ
と(寺越事件)も含まれるのか。また核実験をしたら協議が止まってしまうこと
を心配している。

● 北朝鮮がどれくらい困っているかによって、彼らが出してくる回答が決まる。
総連が崩壊直前になっていることについて何とかしたいと考えているという情報
がある。厳格な法執行を簡単に解除しないで欲しい。北朝鮮が今回の調査結果で、
死亡とされた8人について同じでっち上げをしてきたら、机をひっくり返して帰っ
てきて欲しい。日本政府は北朝鮮の「死亡説明」を一切認めていないはずだから
だ。

以上

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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿

救う会全国協議会ニュース

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会救う会
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784  http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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検証・拉致再調査 「誠意示せば何人か帰す」

産経新聞 6月1日(日)7時55分配信

 ◆万景峰出港、前のめりの北

 政府の情報機関が今年5月、北朝鮮のある動きをキャッチした。かつて北朝鮮と日本の間の物流の動脈だった貨客船「万景峰(マンギョンボン)92」が数年ぶりに、母港である朝鮮半島東海岸の元山港を出港したのだ。

 万景峰92は平成18年7月、当時の小泉純一郎政権が長距離弾道ミサイルテポドン2号」発射への制裁として日本への入港禁止措置を取って以来、元山港に“塩漬け”となっていた。

 「北は拉致被害者らの再調査で、船に関する制裁解除が見込めると踏んでいたのだろう。日朝協議に前のめりだった」

 日朝関係筋はこう振り返る。北朝鮮工作員の連絡などにも使われた万景峰92の入港禁止は日本が独自に科す経済制裁の象徴で、北朝鮮は3月に中国・北京で行われた政府間協議でも入港を認めるよう要求した。

 5月28日に終わった日朝政府間協議で、日本側は万景峰92の日本国内港への入港禁止措置を継続する方針を北朝鮮側に伝え、北のもくろみは外れた。だが、万景峰92の出港は日朝協議に対する北朝鮮の期待感の強さがうかがえるエピソードだ。

 ◆ミスターXの元部下参加

 複数の政府関係者によると、日朝間で水面下の極秘交渉が始まったのは昨年12月ごろだ。

 同じころ、北は中国とのパイプ役だった張成沢(チャンソンテク)元国防副委員長を処刑し、経済的な後ろ盾だった中国との関係を悪化させていた。「金王朝」の資金源だった韓国人観光客を対象にした金剛山観光はもう6年近く中断したままだ。

 「北には今、とにかくカネがない」(日朝関係筋)。この苦境を脱するには拉致問題を動かして日本の制裁を解き、経済支援を引き出すしかないのだ。

 交渉には、北朝鮮の最高指導機関である国防委員会の直轄組織「国家安全保衛部」の金(キム)ジョンチョル氏も参加していた。金氏は、14年の小泉首相初 訪朝時の秘密交渉で北側の窓口役を務めた「ミスターX」の元部下だとされ、日本側も「北の本気度を感じた」(政府関係者)という。

 3月30、31両日に北京で開かれた公式の日朝政府間協議の前には、こんな神経戦もあった。

 「拉致被害者が戻ってこなければ、制裁の解除はおろか1円の支援もすることはない」

 3月18日の記者会見で古屋圭司拉致問題担当相がこう述べたところ、北側が「この発言を撤回しなければもう日朝交渉はやらない」と抗議してきたのだ。

 このため、古屋氏は2日後の20日の記者会見では次のようにトーンを弱めた。

 「あらゆる場面を通じて拉致問題解決のためチャンスを捉えていく」

 日朝双方が細心の注意を払いながら少しずつ前進した。

 ◆“強硬”安倍政権だから…

 極秘交渉の中で北側は、拉致の可能性が排除できない特定失踪者を念頭にこう伝えてきたという。

 「日本が誠意をきちんと行動で示せば、何人かは帰すことになる」

 ただ、日朝間には相互不信が横たわる。日本から見れば、北は無辜(むこ)の民を連れ去り、核・ミサイル開発などで嘘を重ねてきた不実な相手だ。一方、北 からすれば日本は、故金正日正(キムジョンイル)総書記が拉致を認めて謝罪したのに日朝国交正常化とそれに伴う経済支援を実行しなかった裏切り者となる。

 「北はここ2カ月の交渉では、安倍晋三首相の真剣度、どこまでやる気があるのかを心配していた」

 政府関係者はこう証言する。安倍首相が5月29日夕、首相官邸拉致被害者らの再調査について自ら発表したのも、国民に向けたメッセージであると同時に、北に対しても「本気だ」と示す意味があったとみられる。

 「北は内閣支持率が高く、対北強硬派として鳴らした安倍首相でなければ、制裁解除をはじめ日朝間の問題は解決できないとみている。特定秘密保護法の際も、反対世論にひるまなかった首相だからこそ、米国や韓国の牽制(けんせい)も押し切って事態を進められると」

 政府の拉致問題担当者の一人はこう語る。高齢化が進む拉致被害者家族をはじめ、国民の期待はいやが上にも高まっている。

 ■極まる窮乏に体面捨てた北

 日本人拉致被害者らの再調査に合意したことで、北朝鮮は日本独自の対北制裁の解除への突破口を開いた。「拉致問題は解決済み」とし続けた従来の立場を変 え、体面を捨てたかのような姿勢からは、制裁緩和を早急に実現し外貨を獲得、経済立て直しと内政の安定を図ろうとする金正恩キム・ジョンウン)政権の切 迫感が見て取れる。

 ◆張氏処刑きっかけ

 北朝鮮は今年に入り突然、韓国政府に“対話”を呼びかけた。これを受けて朴槿恵(パク・クネ)・韓国大統領が1月、離散家族の再会実施を北側に提案。約3年ぶりに離散家族再会が実現した。

 「金正恩は相当、困っているようだ」。韓国の情報関係者はこう語っていた。昨年12月の張成沢チャン・ソンテク)氏処刑後、経済的、内政的に金正恩第1書記が「窮地に追い込まれている」という。

 離散家族再会は北朝鮮にとり、わずかながらでも外貨を獲得できる手段だ。同時に北朝鮮は、制裁解除を通じ、さらなる外貨流入が期待できる日本にも対話攻勢をかけた。

 張氏が処刑された昨年12月ごろ、北朝鮮は日本と水面下で交渉を開始。今年3月には北朝鮮の呼びかけで日朝赤十字会談を行い、日朝局長級協議再開にこぎ着けた。「何が何でも、すぐにでもカネがほしい状況に金正恩は置かれている」と、同関係者はみている。

 中国とのパイプ役だった張氏の処刑後、冷え込んだ中朝関係は北朝鮮経済にも打撃を与えた。中国は1~4月の間、北朝鮮原油を全く輸出していないとみられる。また、中朝関係消息筋によれば、張氏処刑後、中朝の大規模な貿易事業は中断状態という。

 ◆「とりあえず安心」

 張氏の処刑後、“恐怖政治”のイメージは国内に拡散した。

 食糧危機が続き、多くの餓死者が出た1990年代後半の“苦難の行軍”の時代には、中国への脱北者が激増。しかし北朝鮮は現在、中朝国境の監視を厳しく強化している。

 ソウル在住の脱北者によると、民心の離反は金正日キム・ジョンイル)時代より金正恩体制下の方が進んでいる。内政安定のためにも、金第1書記は住民らを食べさせていかねばならない。

 「制裁の一部解除で北朝鮮が一気に息を吹き返すことはない」(朝鮮日報)との見方がある一方、韓国では「送金と人的往来規制の緩和、船舶入港許可だけで も北朝鮮は安心しているはず。とりあえずは在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)からのカネが確約されたも同然だからだ」(情報当局者)との分析もある。

 ◆「父の決定」を否定

 北朝鮮は今回の日朝合意で、「従来の立場はあるが」と断りつつ、「日本人に関する全ての問題を解決する意思」を表明した。従来の立場とは、「拉致問題は解決済み」との金正日体制における立場で、これを遠回しに修正している。

 日本との国交樹立の実現は、金第1書記にとり祖父・金日成(キム・イルソン)、父・正日から受け継いだ“遺訓”だ。しかしそのために、金第1書記は、父の決定を否定しなければならないというジレンマを抱えることになる。

 北朝鮮側は「特別調査委員会」を設け、調査、確認状況の日本政府への報告を約束した。証拠を偽造した以前のような調査を日本政府は受け入れない。となると、調査過程で金正日時代の説明との矛盾が出てくることは必至。権力内部に動揺が広がる可能性もある。

 このもろ刃の剣を金第1書記がどう克服するのか。「韓国を無視した安倍晋三政権の対北接近」と韓国メディアは日朝合意を冷ややかに見ているが、韓国統一省や情報当局者は「金正恩の能力や手腕の判断材料になる」と注視している。
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