朝鮮総連をつぶすこと、が日本人として拉致被害者を取り戻す事への大きな一歩かもしれない。
(但しこれはブログ筆者のみが望むところ)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.06.02)
拉致「再調査」検証が分かれ目だ
-参考情報以下は、本日6月2日の産経新聞【正論】欄に掲載された西岡 力・救う会会長の原稿です。参考情報として発信します。
■【正論】拉致「再調査」検証が分かれ目だ 東京基督教大学教授・西岡力
拉致問題が動いた。北朝鮮が、拉致された疑いがある者を含む全ての日本人拉致被害者に関し調査を実施すると約束した。強い圧力をかけて北を交渉の場に引きずり出すという戦略の第1段階が成功したといえよう。しかし、金正恩第1書記が何を狙い、この調査をどのように利用しようとしているのかなお予断を許さない。
≪遺骨での外貨稼ぎに乗るな≫
金正恩政権は深刻な外貨不足に陥っている。昨年末の張成沢前国防副委員長の処刑も、政権内部署間の外貨争奪が背景だ。日本が対北貿易を全面禁止して、朝鮮労働党の有力な外貨獲得源だった松茸(まつたけ)や水産物を輸出できなくな
り、政権は大打撃を受けている。
中朝関係も悪化している。金正恩氏は北京を訪問できていない。昨年、韓国の朴槿恵大統領が国賓として訪中し、6月下旬には習近平中国国家主席のソウル訪問が決まっている、のにである。
中朝間は経済面でも急速に冷え込んできた。1月から3月にかけて中国の対北石油輸出は統計上、ゼロであり、貿易全体も減少している。しかし、金正恩氏も中国に全面降伏する気はない。当面の外貨不足を補うため、日本から外貨を得ようとしているのだ。
北朝鮮は、終戦後の混乱期に北朝鮮で亡くなった日本人の遺骨返還を、人道問題として積極的に取り上げてきた。米国が朝鮮戦争で戦死した米兵の遺骨を1体2万ドル払って北朝鮮で収集していることを例に挙げ、約2万柱あるという日本人の遺骨を1体2万ドルで引き渡すと持ちかけているとの水面下の情報がある。
遺骨にかかわる費用名目なら、核・ミサイル問題とは切り離して日本から外貨を手にできると踏んでいるのだ。
私は最近、北朝鮮内部につながる複数の情報筋から、金正恩がこの1月、「朝鮮総連を再建せよ、そのため日本に接近せよ」という日本関係特別指令を出したという情報を得た。首領様(金日成国家主席)と将軍様(金正日総書記)が作り育てた朝鮮総連が崩壊直前になっている。日本当局の工作で多くの在日朝鮮人が総連を離れている。自分の代で総連を潰すことはできない。脱退者がこれ以上出ないように思想教育を強化せよ。総連再建のため日本と交渉し圧力を止めよ-という内容だ。
≪合意に総連ビル絡ませるな≫
総連は核・ミサイル開発に必要な技術、資材、電子部品などを調達し、多額の送金もしてきた。このままでは総連が崩壊する。総連を首領様の業績と教えられてきた住民への悪影響もある。
今回、日本が解除を約束した制裁は総連幹部の北との自由往来の許可、総連人士による北への送金規制の緩和、総連が北に食糧・医薬品などを送る北船舶の入港許可と、全て総連活動への制限緩和につながる内容となっている。
合意で日本側が成すべきことのリストとして、「在日朝鮮人の地位に関する問題については日朝平壌宣言にのっとって誠実に協議する」と明記されたことも、
北が今後の交渉で総連への圧力の緩和を求めてくる布石とみえる。
菅義偉官房長官は合意に総連中央本部問題は含まれないとしているが、宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使は30日、「日朝合意には本部問題が必ず含まれている」と語り、本部ビルを落札した企業が転売先に日本政府関係機関を考えているとの報道もある。
外貨不足と対中関係悪化で追い込まれた金政権が、遺骨ビジネスと総連再建を当面の目的に対日接近を試みてきたといえる。
≪被害者「遺骨」偽造を警戒≫
実は、張成沢氏は拉致問題が日本の世論と政府を動かしていることを認識し、横田めぐみさんを含む全被害者を返すという選択肢の検討を金正恩氏に提議していた。金氏は一昨年11月、それを受け入れ、「8人死亡」という従来の説明を維持するA案と、それを覆してめぐみさんらを返すB案の損得の検討を指示したという。
その張氏が処刑された後の対日交渉では、A案を主張する統一戦線部など工作機関が影響力を持っている。今回の調査結果として出してくる中身は、その線に沿ったものとなる可能性が強い。
心配なのは、北がめぐみさんの場合のように被害者の「遺骨」を偽造するという卑劣な手段に再び出てくることだ。DNA鑑定で判別できる日本の技術水準を、北工作機関が数年前から調査しているといった有力情報がある。
しかし、めぐみさんたちが今も生きていることを示す多くの情報と証拠はすでに存在しており、私たちもその一部を入手している。日本政府はかなり情報を持っているはずだ。したがって、北が仮に「遺骨」を出してきた場合、最新技術でその真贋(しんがん)と死亡時期を判定し偽造と分かれば、生存情報を世界に公開して北の非道を国際的に告発しなければならない。
とにかく、金正恩政権は今回、何かを出してくる。それを、われわれがどのように検証するかが勝負の分かれ目だ。さまざまな可能性をはらみつつ、拉致問題
は最後の戦いの時を迎えている。
(にしおか つとむ)
以上
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