第二パナマ運河について知っていましたか??
そして そこニカラグアではいつもながら 反中国、嫌支那人がまたおきていることを!!
infinity>国際>中国メディア [中国メディアは何を報じているか]
ニカラグアの運河建設で
高まる現地の反中気運
中国が世界で展開する大規模プロジェクトに高まる反発
2014年10月22日(水)弓野正宏
中国は急速な経済成長をバックに海外進出を加速させており、近くは東南アジア、南アジア、中央アジア、そして中東、遠くはアフリカ、中南米とより一層グローバルに進出し、経済援助やインフラ建設プロジェクトを大々的に展開している。
サッカースタジアムや政府庁舎、道路や鉄道、港湾等の建設がともかく、現地の住民に恩恵が見込めないような大規模プロジェクトで立ち退きを迫られ たり、環境への影響が懸念される場合には現地住民の反発を招いている。こうしたケースではミャンマーの「ミッソンダム」建設が住民の反対から中断した事が 有名だが、中南米のニカラグアでも中国による運河建設プロジェクトに現地住民の反発が高まっている。
「ニカラグアから出ていけ」
上図:運河建設予定位置図〔赤枠〕(隣国コスタリカとその隣パナマ)
下図:オルテガ大統領(左)と王靖氏(右) 澎湃新聞網記事(9月13日)を転載した『観察者網』 http://www.guancha.cn/strategy/2014_09_13_266798.shtml
拡大画像表示
下図:オルテガ大統領(左)と王靖氏(右) 澎湃新聞網記事(9月13日)を転載した『観察者網』 http://www.guancha.cn/strategy/2014_09_13_266798.shtml
拡大画像表示
そこであまり日本で知られていないこの運河建設プロジェクトと運河建設を巡る現地住民との摩擦を紹介したい。中国共産党機関紙『人民日報』系統に 属する『環球時報』の「中国企業が海外プロジェクトで抗議に遭い“ニカラグアから出ていけ”と叫ばれる」(9月25日付)という記事だ。
この『環球時報』記事によるとニカラグア南部リバス県の町ポトシで9月23日、数百人の農民が、中国企業によって推進されている運河建設に反対す るデモを行った。この運河には500億ドルの投資が計画されているという。この中国企業とは香港ニカラグア運河開発投資有限公司(HKND社)であり、昨 年単独での運河開発、管理権を獲得した。
このプロジェクトのための土地の収用を巡り当地の農民の間で不満が高まっており、農民たちは抗議デモを組織して警察と小競り合いを起こしたのであ る。農民たちは「中国人をここで見たくない」とシュプレヒコールを繰り返し、「警察は中国人の肩を持つ」と叫び、「出ていけ」とプラカードも掲げられ、抗 議活動が盛り上がりを見せた。リバス県で抗議活動が発生したのはこの1週間で2度目である。
HKND社とニカラグア政府はこうした抗議をことのほか重視し、説得を試み宣伝に力を入れているという。プロジェクトの監督管理委員会によれば、 農地を収用される農民が理に適った賠償が受けられることになっているから反発の必要はないというわけだ。ただプロジェクトは現時点で土地収用にまでは至っ ておらず、現場調査が行われているにすぎないという。
HKND社は既に5年間の運河造成期間に5万人以上を雇用することを認めている。運河が開通すれば人口600万の同国に20万人分以上の就職先がもたらされることが見込まれるという。
パナマ運河よりかなり大規模な運河に?
ではこの「第二のパナマ運河」と中国が期待を寄せる運河建設はどのようなプロジェクトで誰がイニシアチブをとっているのか。「中国企業がニカラグ ア運河予算に500億ドル拠出し“第二のパナマ運河”建設」という澎湃新聞網の記事(9月13日)によると、HKND社が会見(9月11日)を行い、新運 河建設にかかる費用は前出のように500億ドルに達する見込みでもともとの予定より100億ドル高くなったことを明らかにした。
同社は既に7月に水路や工程の概要を公表しているが、これによると運河の全長は278キロに及び、パナマ運河の3倍を超える。また途中には2つの 堰が設けられる見込みだという。また構想には2つの港湾、1つの飛行場、自由貿易区、金融区、保税加工区、都市生活区域、総合観光景観区等の建設も計画さ れているという。
同社が公表した工程表によれば、現時点では計画地域の土地収用予定地について宣伝や調査が始められたにすぎないが、今年の12月に着手して5年で完成させる計画という。
図で示した通り、パナマ運河と比べてもニカラグアで建設予定の運河は全長距離で3倍以上、船舶航行用の堰での幅も倍近く、深さも10メートル以上深い28メートルに及び、通航船舶の可能最大積載量も40万トンと大きなものだ。
プロジェクトのブループリントを描くのは王靖という信威通信という会社の社長だ。HKND社を設立して董事長にも就任した。HKND社は既に昨年 6月にニカラグア政府と運河建設や運営に関する調印を行っており、契約では経営権は50年継続されることになっており、その後50年の延長もあるかもしれ ないという。ニカラグア議会が6月に運河建設を審議した際には賛成が61票、反対25票と賛成多数で可決した。
台湾と外交関係をもつニカラグア
ただ、懸念も提起されている。運河がニカラグア湖を経由するものとなっており、この湖が同国での重要な淡水供給源となっていて湖や貧困地域への影 響が懸念されるのだ。農民の反発は、農地の接収だけでなく開発による水質汚染への心配もあるのだろう。また環境の側面からいえばニカラグアの隣国にはコス タリカという風光明媚な自然を有する環境保全大国があり、こうした国のすぐ隣で大運河建設を行うのはいかがなものかという疑問も呈されるかもしれない。
議論が起きているのはプロジェクトの影響だけではない。プロジェクトを率いる王靖氏の資格についても疑問が呈されている。王氏は信威通信産業集団 の法人代表であり、2012年8月に香港にHKND社を設立したばかりである。同通信会社の業務分野は広く、物流や石油・電力、水上運輸、緊急通信事業等 にも及ぶが、必ずしもインフラ建設の専門会社ではない。経験不足、資金の調達等懸念事項を挙げればきりがない。
また、そもそも中国はニカラグアと外交関係さえない。台湾との外交関係を持っており、台湾と国交を断絶しない限り、中国がニカラグアとの外交関係 を結ぶ事は考えられず、こうした国に政府が率先して経済支援や財政援助を行う事は考えにくい。このプロジェクトに対して中国外交部は既に中国とニカラグア は外交関係がないため、中国企業の同運河建設計画は全て「自主的な行為」と表明している。ただ同社と商務部(貿易分野の監督官庁)の協議で中国企業が運河 経営を行わないようアドヴァイスされ、リスク回避のために同国と関係が密接な オランダに登記会社を設立して運河経営を行う事になっているという。
見え隠れする地政学的観点に基づいた外交戦略
大運河建設は現存のパナマ運河と国際的輸送ルートを巡る物流競争の様相を呈しそうだ。パナマのバレラ大統領は、パナマ運河の拡張工事計画は順調で あり、ニカラグア運河に500億ドルも拠出するのは実現可能だとは思えないと述べている。皮肉なことにパナマの運河管理局長がこの8月に中国港湾工程集団 公司の関係者と会っているが、中国側はこの時パナマ運河の拡張工事への興味を示したという。つまり将来、中米の大型インフラ建設プロジェクトにおいて中国 企業同士でのつばぜり合いが展開されるかもしれないのだ。
HKND社は8月に国有土木建築大手の葛洲壩集団公司と戦略協力メモランダムに調印し、ニカラグアの運河建設のための協力関係を結んだ。こうして HKND社自体はインフラ建設、土木に経験があるわけではないが、運河建設プロジェクトを率先する形で各分野の専門企業(そのほとんどが国有大手企業)を 引き入れて計画を進めており、順調にいけば2014年中に着工予定だという。
王靖氏によると中国はベネズエラから石油、ブラジルから鉄鉱石、そして中南米各地から大豆を輸入しており、将来的には輸送路としてニカラグア運河 を通る事が見込まれるという。HKND社は将来的に二つの運河を通行する貨物扱い額は年間1兆4000億ドルに達し、世界で最も輸送量の多い航路になると 皮算用している。
信威通信は既にカンボジアでの携帯通信事業(4G通信)へのライセンスを獲得しており、同国全土での携帯電話通信事業に乗り出すなど国際事業に積 極的であるが、弱冠40歳の若い企業経営者がこのような野心的な大規模プロジェクトに乗り出すことに対して米国はもちろん、中国国内からも彼の人的資格に 疑問が呈されている。特にこうした大型のインフラ建設プロジェクトには常々、軍の存在が示唆されることが多く、この運河建設プロジェクトでも同様に背後に 軍の存在があるのではという憶測を呼んでいる。中国海軍は近年、世界各地への遠洋航海を行い、各地の港に「友好寄港」を行って軍事外交を活発化させてお り、軍事プレゼンスを示そうという意図が見え隠れする。
パナマ運河にも海軍の病院船「平和の箱舟」号が横断航海を仰々しく行ったのは2011年10月のことだ。ただ王靖氏はインタビューで政府や共産 党、軍とのいかなる関係も否定している。そして彼は党員でさえないと答えている。彼の背後に政府や軍の存在があるかは不明だが、ニカラグア運河の建設が単 なるビジネス勘定によるだけでなく、地政学的観点に基づいた外交戦略が見え隠れするのは不気味である。