パルデンの会

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中国金融界の恐怖、上海株式市場は突然瓦解の懼れ



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)6月15日(月曜日)弐
   通算第4576号
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 もし戴相龍(元人民銀行総裁、前天津市長)が次の標的だとしたら 中国金融界の恐怖、上海株式市場は突然瓦解の懼れ


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 異常である。
 上海株式市場の暴騰ぶりは、
普通の資本主義市場では起こりえない。西側の資本主義の下、市場経済の原理原則からは想定できない事態が起きているからである。
 なにしろ僅か二年間で三倍に跳ね上がったのだ。
 2013年6月24日、上海株価は1849・65
 2015年6月10日、上海株価は5164・16

 日本のマスコミで流されている「アナリスト」たちの、
まことしやかな「分析」によれば、上海の株価暴騰の原因は次の通り。
 第一に中国にはまだ機関投資家が育っていない。
 第二にそれゆえ個人投資家が主役である。
 第三に外国の投資家が直接参入できない。
 これらが裏面で意味することはインサイダー取引が横行する実態の
示唆である。また海外から流入しているホットマネーに関して触れた分析がほとんどないのも奇妙だ。

 げんに筆者は何十回となく中国で証券会社の窓口に遭遇すれば、
中を見学してきた。朝から証券会社のロビィに群がって株価ボードに見入っている庶民からは、日本のように、「この会社の収益率は?」「この会社の一株あたりリの利益率は、どれくらいですか?」などという質問はない。いや、もしあっても窓口の証券会社社員は答えられない。

風聞が主体で「あの会社は共産党幹部の誰々の娘がやっている」「
この会社には習近平主席が二回も視察した」などと、いかにも中国らしい「評価」のもとに、株価が乱高下する。

 おそらくインサイダー取引の黒幕は党に直結し、
濡れ手に粟のファンドが株価操作のオペレーションを裏で展開しているだろう、と推定される。

 暴落の暗雲が立ちこめてきた。
 銀行の不良債権は誤魔化されている。
地方政府の融資平台への融資総額360兆円にのぼる。理財商品は240兆円ほど流通している。いずれも償還の時期を迎えている。中央銀行としては、準備率引き下げを7回もおこない、もう出動する政策余地はない。
 不動産相場は暴落気配で氷のように凍結され、
企業の余剰設備投資に資金回収がままならない。
各地で社債デフォルトが横行しており、
企業の倒産もあとを絶たない。つまり中国の金融界は未曾有の危機に直面しているのだ。


 ▲「周永康のあとの大物は戴相龍だ」という風聞が流れている

 ここに戴相龍一族の大スキャンダルが浮上したのだ。
 戴相龍は元人民銀行総裁(つまり中央銀行総裁)である。
天津市長に転進し、海を埋め立てる天津新工業地区プロジェクトを立ち上げ、日本企業などの大量誘致に成功した。そのうえ、天津を旧日本租界が金融界であったように、上海と肩を並べる金融街にすると意気込んできた。
 すべてがこけそうである。

 女婿の東峰(別名=戴蓉)
が他の太子党仲間や怪しげな出入り商人等と投資会社を設立し、海南島にじゃかすかとリゾートマンション、豪華ホテルを建てた。スキャンダルの発端は、この投資会社の焦げ付きだった。

 「鼎和創業投資」とかいう、
東峰が設立した投資企業は民生銀行から六億元の融資を受けた。この金で「開通証券」の株式を五万株取得した。
以後、かれは英領バージン諸島のダミー企業を通じて、
香港株を盛んに売買し、14億元を得たとされるが詳細は不明。

 2015年二月、民生銀行頭取だった毛暁峰が拘束された。
つついて北京銀行グループ「京能集団」の元会長・陸海軍が、五月に華夏銀行副頭取の王耀庭が拘束された。そして6月2日、戴相龍の女婿、東峰が拘束され、取り調べを受けていることが判明した。翌日、上海株価が大幅に下落した。

 周永康にしても、最初は息子の逮捕だった。
温家宝のスキャンダルも、夫人と息子の不正蓄財、いま李鵬一族が追い詰められ始めたのも、不肖の息子ふたりと娘、つまり太子党の悪評さくさくの「紅二代」。これを「権貴資本家」という。

 時期的にいえば、郭文貴、令完成らの米国逃亡があり、
かれらの機密文書持ち逃げは、馬健や李友らの逮捕から派生したものだ。
そして五月末に王岐山が米国へ飛ぶ手はずだった。
ところがJPモルガンの醜聞の筆頭に王岐山を米国が指名したので、訪米どころではなくなった。

 戴相龍一族に捜査のメスがはいったことは、
中国金融界をがらがらと大きく震撼させている。
つぎに出るのは大虎、それとも子羊?

http://www.epochtimes.jp/jp/2015/06/img/s31542.jpg
天津市第一中級人民法院(地裁)に姿を見せた周永康被告 (中国中央テレビスクリーンショット

周永康について知るべき5つのこと



大紀元日本6月13日】天津市第一中級人民法院(地裁)は12日までに、汚職により共産党最高指導部の前メンバーで治安部門トップ・周永康被告(72)に対し、無期懲役、政治権利の終身剥奪、個人財産の没収の判決を言い渡した。

 調査期間はわずか一年で、中国政界の重鎮に重刑が下った。被告は上訴しない意向を示しており、刑は確定する見通しだ。周永康とはどのような人物なのか? 5つのポイントをまとめた。

 1.中国で強大な力を持つ権力者の一人だった



 2007年から周永康がトップを務めていた中国共産党中央政法委員会(中央政法委)は司法、検察、公安(警察)、情報部門などを主管する機関。一党独裁体制を敷く中国で、国内情勢の不安定要素を絶大な権力で取り締まってきた。

 民衆暴動の鎮圧、共産党の意向に沿った裁判、インターネットなどの情報検閲や封鎖、法輪功を含む思想の取り締まりも担った。

 しかし2012年2月、汚職で失脚した元重慶市党委書記(元党中央政治局員)である薄煕来服役囚の側近だった、重慶市副市長・王立軍がアメリカ亡命のため成都市同総領事館に逃げこむという騒動が発生した。

 これにより当時絶大な権力を誇っていた周永康の立場が大きく揺さぶられた。伝えられるところによると、緊密だった薄煕来とともに習近平政権の転覆を企てていたという。

 薄煕来に無期懲役の判決が下ると、取り巻きが相次いで「トラ狩り」対象となり、周永康は2013年12月頃、汚職で調査対象となり拘束されたとのうわさが立ち、公の場から姿を消すこととなる。

 2.江沢民周永康を押し上げた



 90年前後の中国では、全国的に民主化運動の高まりを見せていた。これを鎮圧するべく、天安門事件で失脚した趙紫陽に代わって江沢民共産党総書記に抜てきされた。

 周永康が、江蘇省出身で同郷であることや石油利権を握る石油閥幹部であったことなどで、江沢民は「お気に入りの臣下」に置き、親戚と結婚させた。一族意識の強い中国で、いかに近い関係であったかがうかがえる。

 江沢民が押し上げた周永康はついに2007年、中国政治トップ9の一人、中央政治局常務委員に選ばれ、中央政法委の公安部長の地位に就いた。

 3.人権侵害の基に築いた地位



 公安部長となった周は、1999年に江沢民が指揮した拷問、強制労働を含む残虐な法輪功迫害を引き継ぎ、担当した。周はこの迫害計画の一環として、巨万の富を築く非人道的計画を敢行した。

 強制労働収容所に収容された法輪功学習者から、生きたままの状態で臓器を抜き出し軍事病院へ移植用臓器として販売した。また収容所から入手した身体に薬物を注入して世界中を巡った人気美術展「人体の不思議展」用に加工するなどして、莫大な利益を上げた。

 この通称「臓器狩り」は、前述の薄煕来とともに実行していた。薄煕来がトップを務めた遼寧省大連市には生体加工工場が置かれていた。
http://www.epochtimes.jp/jp/2015/06/img/s43515.jpg
2011年7月18日、迫害で死亡した法輪功学習者を悼み、弾圧停止を訴えるパレード。米国ワシントンにて (大紀元


 4.薄煕来と習近平政権転覆を企てる



 習近平政権転覆計画は、中国政界でもごく一部の人間しか認知していなかった。中国の新リーダーを決める2012年第18回党大会(国会にあたる)で、胡錦濤氏は習近平氏を選択した。同氏に対峙する江沢民派であり、指導部トップを狙う周永康と薄煕来は「打倒習近平」を図った。

 しかしこの極秘計画は、前出の王立軍のアメリ総領事館駆け込みにより、世界的に暴露されてしまうことになる。著名な米国ジャーナリストのビル・ジェルツ(Bill Gertz)氏は、王立軍が領事館に持ち込んだ資料に習近平政権クーデター計画が含まれていたと、インターネット動画サイトYouTubeや米国中文メディア「博訊」などで明かした。

 5.周永康がいなければ立ちいかなかった中国政治



 習近平氏が中国のリーダーとして権力を掌握するためには、周永康の力を排斥しなければならないと、米在住の中国専門アナリスト横河(ヘン・ヘー)氏は分析する。

 マフィアの世界のように同族や親戚関係が権力の幅を効かせ、汚職や腐敗の著しい中国で、自らの力を発揮するためには、権力者の筆頭を失墜させる必要がある。周永康はその一人だった。異例中の異例である、政治局常務委員会の前メンバーが重罪に服するのはそのためだと横河氏は言う。

 また、権力の頂点に立つものとして「報復」を抑えるためにも、周永康および江沢民派へのトラ狩りは続くと見ている。「習近平氏が弱さを見せてしまえば、周永康に弄ばれてしまうだろう」と横河氏は付け加えた。


(翻訳編集・佐渡 道世)