ダライ・ラマ80歳、誕生日プレゼントどうする? ケーキは食べるのか
2015 年 7 月 5 日 09:17 JST
亡命中のチベット仏教の指導者ダライ・ラマ14世は今月6日に80歳になる。お祝いのイベントは世界中で開かれているが、公式の祝賀式典は5日にプロのアイスホッケーチーム「アナハイム・ダックス」の本拠地であるアナハイムのホンダ・センターで開催される。ダライ・ラマは式典で「慈悲の心を呼び覚ます」をテーマに講演する予定だ。
一方で式典の主催者は「観音菩薩(ぼさつ)の化身はどんなケーキをお好みなのだろう」といった現実的な心配事と格闘している。
主催者から誕生日ケーキの制作を依頼されたパティシエのコリーン・ジョンソンさんは「『気取らない人はどのような誕生ケーキが好きなのだろう』と考えていた」と話す。ジョンソンさんはアート・インスティテュート・カリフォルニア州オレンジ郡校の料理コースの主任パティシエで、日本で暮らした経験がある。ダライ・ラマの本も読んだこともあった。
「最初は、抹茶のスポンジケーキなんてどうだろう、シンプルだけど完成度の高いケーキがいいと思っていた」が、主催者から「もっと大きなものがいい」と言われたそうだ。
ダライ・ラマの誕生日ケーキ用に発泡スチロールを用意するパティシエのコリーン・ジョンソンさん Tamara Audi/The Wall Street Journal
ジョンソンさんら制作チームは今、4段重ねのケーキの制作を大急ぎで進めている。高さは約1.5メートル近くあって、そのほとんどが発泡スチロールでできている。料理コースの生徒やパティシエたちが粘りけのある素材でひまわりやカラー、バラの花を作っている。
完成したケーキはホンダ・センターのステージに台車で運ばれる予定だ。会場には1万5000人が集まるとみられている。
1988年からダライ・ラマと親交があり、ダライ・ラマに関する著作が3冊あるアレキサンダー・ノーマン氏は「他の人がいなければ、彼は自分の誕生日に気付きもしないと思う」と話す。「しかし、愛情の表現として(お祝いに)感謝するだろう」
意外なことではないが、主催者やダライ・ラマに近い関係者によると、本人は誕生日に何も欲しがっていないという。
5日の式典のウェブサイトには「慈悲の心が最高の誕生日プレゼントです」と書かれている。式典はダライ・ラマとの対話イベント「グローバル・コンパッション・サミット」 の一環として開催される。
アナハイムのトム・テイト市長は今年4月、インド北部のダラムサラでダライ・ラマと3日間を過ごし、市の親切運動について議論した。市長はダライ・ラマの敬称を表す英語の頭文字HHDLと年齢を表す80の文字を刺しゅうしたアナハイム・ダックスのジャージーを贈った。
テイト氏はダライ・ラマに「ホッケーについて説明しようとしたが、うまく伝わらなかったようだ」と語った。
ダライ・ラマは「Anaheim. City of Kindness(アナハイム 親切の都市)」と刻まれた小さなプラスチック製コインを一番喜んでくれたようだとテイト氏は言う。ダライ・ラマは今回のアナハイム訪問にもそのコインを持参しており、法衣(ほうえ)の下から取り出して見せてくれたそうだ。
プレゼントを用意しようとしている人にノーマン氏からアドバイスがある。ダライ・ラマはもらったプレゼントを他の人にあげるのが好きなのだそうだ。ノーマン氏自身も「一度ならず腕時計をもらったことがある」という。
最近では英国南部で開かれたグラストンベリー音楽祭で、フルーツが乗った大きなケーキがダライ・ラマに贈られ、歌手のパティ・スミスと数千人の観客が「ハッピーバースデー」を合唱した。先月のダラムサラでのイベントではチョコレートがけのケーキがプレゼントされた。