G20:中国「株価バブル崩壊」 危機感を共有
【アンカラ坂井隆之、ワシントン清水憲司】トルコの首都アンカラで開幕した日米欧に中国などの新興国を加えた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は4日(日本時間5日未明)、初日の討議を終えた。中国に端を発する世界的な金融市場の混乱を受け、参加各国は「中国経済の減速が世界経済のリスクになっている」との懸念を相次いで表明。安定的な成長を維持するため、構造改革の実行を中国側に求めた。中国も、株価バブルの崩壊を認めるなど改革の必要性を認めた形となり、同国経済の変調に対する各国の危機感が浮き彫りになった。
会議に出席した麻生太郎財務相は、金融市場の混乱について「中国当局の対応が、結果として市場の変動につながったとの見方がある」と指摘。「市場の変動は中国が取り組むべき構造的問題の鏡像だ」として、過剰設備の解消や、少子高齢化に備えた社会保障改革、金融部門の不良債権処理といった改革の実行を求めた。
米国のルー財務長官も中国の楼継偉財政相との個別会談で、「輸出・投資主導から、家計消費主導の経済への移行を加速すべきだ」と構造改革を求めた。また、「(輸出競争力を強化するための)通貨切り下げは避けるべきだ」として、通貨安政策を採らないようけん制した。会議では新興国からも「中国の減速は新興国にとってもリスク」との懸念や、政策の透明性を高めるよう求める声が相次いだ。
一方、日本の財務省同行筋によると、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は会議で、最近の上海市場の株価急落について、「バブルがはじけるような動きがあった」と直接的表現で言及。楼財政相とともに経済・市場の現状を説明した上で、構造改革を進める考えを強調したという。各国の指摘に対する反論はなかった。