産経新聞 中国軍艦が一時領海侵入 口永良部島周辺海域 海警行動は発令せず
防衛省は15日、中国海軍の艦艇が鹿児島県の口永良部島周辺の領海に入ったと発表した。同海域の領海に中国艦が入るのは初めて。中国艦はすでに領海を出ている。自衛隊に対して海上警備行動は発令されていない。政府は警戒監視を強めて情報収集を進めるとともに、中国の意図の分析を急いでいる。
防衛省によると、15日午前3時30分ごろ、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が、口永良部島西方の領海を南東に進むのを海上自衛隊のP3C哨戒機が上空から確認した。同艦は約1時間半後の午前5時ごろ、鹿児島県の屋久島(鹿児島県)南方から領海を出た。海自は中国艦に「日本の領海に入っている」と無線で警告した。
領海侵入 米中、相互に刺激し合う悪循環(6/15毎日)
中国海軍の情報収集艦による日本領海の航行を受け、米政府は日本政府と連携しながら情報収集や分析を急いでいる。米国は中国軍の挑発的な行動を強く懸念しており、今後もアジア太平洋地域で軍事面での存在感を示し、中国をけん制していく構えだ。
米国は中国に対抗する上で、多国間の協力を重視している。今月17日まで日本、インドと恒例の海上合同演習「マラバール」を沖縄東方海域で実施。米国の力の象徴である原子力空母も投入した。
ただ、今回、中国の艦船は、マラバールに参加したインド艦2隻の後を追う形で日本領海に入っており、日米印の軍事連携が、緊張を高める結果につながったとも言える。
米国は昨年10月から3回、中国が人工島建設を進める南シナ海で「航行の自由」作戦を実施。中国は南シナ海・西沙諸島へのミサイル配備や、米軍偵察機への異常接近など対抗措置を取ってきた。
中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島を巡っても、米側が「日米安全保障条約の適用対象となる」と日本側に寄り添うのに対し、中国は今月9日に尖閣周辺の接続水域で軍艦を初めて航行させるなど、対立が強まっている。米中関係は、海洋進出を強める中国と阻止を図る米国が相互に刺激し合う悪循環に陥っているとも言える。【福岡静哉】
翁長知事、県民大会参加表明 「県民の期待に応える」
2016年6月16日 12:06
翁長雄志知事は16日午前、「オール沖縄会議」が19日に開催する県民大会に参加すると明らかにした。県庁で記者団に語った。
中国はついに、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島にあるウッディー(同・永興)島に、地対空ミサイルを配備した。これまで、中国は国際社会に向けて「人工島を軍事拠点にするつもりはない」と説明してきたが、それがウソであることがハッキリした。
これは対岸の火事ではない。中国は、沖縄県・尖閣諸島を含む、南西諸島(=九州南端から台湾へ連なる列島)部でも、近い将来、同じことをするだろう。
実は、このミサイル配備が白日の下にさらされた2月、日米両国は、米カリフォルニア州で、まさに島嶼(とうしょ)奪還訓練を実施していた。訓練名は「アイアンフィスト」、日本語で「鉄拳」を意味する。
日本には約7000の島々がある。九州・沖縄および南西諸島部を防衛警備する西部方面隊の管轄地域には、約2500の島が集中している。そこで、2002年、島嶼防衛に特化し、約660人で構成する陸上自衛隊「西部方面普通科連隊」(長崎県佐世保市、西普連)が創設された。
彼らの戦術は、海上自衛隊の艦艇などを使い、海上から島嶼部に上陸して防衛体制を構築する。敵の手に落ちれば、奪還する。この戦術は、米海兵隊が幾多の実戦で行ってきたものである。
西普連は、米海兵隊からノウハウを学ぶ道を選び、05年から「アイアンフィスト」が始まった。11回目の今回、日本側は約300人、米国側は約500人で、1月18日から3月7日まで実施されている
18年までに、西普連を中核として3000人規模に拡大改編した「水陸機動団」の創設が決まっている。今回の訓練は、将来、水陸機動団に加わる九州の各部隊から集められた隊員が参加する、初めての訓練となった。
現地時間の2月26日から「敵に奪われたY島を奪還する」という想定で訓練が始まった。同日未明、偵察部隊が真っ暗な中、Y島へと潜入し、敵のいない上陸地点を選定した。隣のB島には、大砲を装備する特科部隊などが上陸しており、Y島の沿岸部に攻撃を加える準備も進めた。
日が昇ると、海から米軍の水陸両用車AAV、空からオスプレイに乗った日米隊員らが上陸を開始した。上空を米海兵隊の攻撃ヘリが警戒し、B島から砲撃戦を加える。上陸に成功した部隊は島の奥へと進出した。翌27日から、敵を殲滅(せんめつ)すべく攻撃を開始した。
敵に奪われた領土を奪還することは、現実問題として、かなり困難だ。そこで、いかに上陸させないかが重要となる。訓練を通じて水陸機動団の高い戦闘能力が世界に配信されることで、十分に抑止力となるだろう。
■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。陸海空自衛隊だけでなく、各国の軍事情勢を取材する。著書に『こんなにスゴイ! 自衛隊の新世代兵器』(竹書房)、『ビジュアルで分かる 自衛隊用語辞典』(双葉社)など。
>日本には約7000の島々がある。九州・沖縄および南西諸島部を防衛警備する西部方面隊の管轄地域には、約2500の島が集中している。そこで、2002年、島嶼防衛に特化し、約660人で構成する陸上自衛隊「西部方面普通科連隊」(長崎県佐世保市、西普連)が創設された。
中国の領海侵犯が、南シナ海、東シナ海の島々を侵略する目的がある以上、中国の脅威に対する最大の抑止力はオスプレイを駆使して島嶼防衛に特化した「米海兵隊」である。