自国エゴまるだし…中国の本性見えた? 韓国・英国・豪州で進む“蜜月”見直し
南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定を「紙くず」と全面否定するなど、国際的な法や秩序を無視した振る舞いが目立つ中国との蜜月関係を転換する動きが加速している。米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の国内配備を決めた韓国に恫喝まがいに撤回を求め、北朝鮮の弾道ミサイル発射をめぐる国連安全保障理事会の非難声明は中国の反対で発表が見送られた。こうした態度に韓国では「本末転倒だ」との声があがり、英国やオーストラリアでもインフラ事業などへの中国資本進出を見直している。
中国は、韓国に配備されるTHAADの高性能レーダーによって自国内が監視されるとして反発を強めていた。ただ、北朝鮮のミサイル発射を非難する声明にもかかわらず、そのミサイルに対する韓国の自衛措置であるTHAAD配備をも非難対象にすることに、さすがに韓国外務省当局者からも「本末転倒だ」と批判する声があがった。
韓国・聯合ニュース(日本語版サイト)は「(中国が)安保理常任理事国として、責任ある役割を果たすことを期待する」とした韓国外交部当局者のコメントを紹介したが、自国エゴまるだしの対応はあらたまることはない。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は「『韓流』が中国市場にあふれる現状を見直す機会だ」とする社説を掲載するなど、経済報復も辞さない姿勢をみせている。
朴槿恵(パク・クネ)政権発足以来、韓国は低迷・悪化する対日関係とは対照的に中国との関係緊密化に動いてきた。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟を決断したほか、北京で中国人民解放軍の軍事パレードを観閲するなど「親中路線」を進めてきた。ところが、今回の中国の態度に韓国メディアには、朴政権の「親中路線」を疑問視する声が目立ってきた。
英国は原発建設への中国参加見直し
英国では、テリーザ・メイ首相が登場して以来、キャメロン前政権による「親中路線」を見直す動きが加速している。ロイター通信は、メイ氏が国家安全保障の上で重要なエネルギー事業に中国企業が参加することに懸念を表し、20年ぶりとなる新規原子力発電所の建設計画の最終承認を延期したと伝えた。
特にヒンクリーポイントでの原発計画に参加する中国国有企業が米国の原発施設で原子力の最先端技術に関してスパイ行為をしていたとして米司法当局から起訴されていたことが判明している。タイムズ紙は、中国が米国から盗んだ核技術で英国に原発施設を建設する可能性が高まったと指摘した。
ただ、こうした英国の反応に対し、中国の劉暁明駐英大使は8月9日付のフィナンシャル・タイムズ(アジア版)への寄稿で、「中英の相互信頼関係が試される」と指摘し、予定通り計画を進めるよう要求。中国メディアはこれを「警告」と報じて牽制するいつもの対応を踏襲している。