【野口裕之の軍事情勢】定員オーバーで閉まらぬエレベーター&クレーム専門レジ&水洗トイレで洗濯…真珠湾慰霊で見えた中華帝国の正体
教室からイデオロギーを排除し、国家を愛する若人を育て上げてくれている福岡教育連盟・機関紙のコラム(平成28年12月号)と、米ハワイ州真珠湾における安倍晋三首相&バラク・オバマ米大統領の慰霊演説の内容が、小欄の頭の中で一つに重なった。コラムは補足すると、次のような内容を記していた。
《台湾への修学旅行の折、高校が宿泊したホテルのエレベーターが降りてこない/いつまでも待ちぼうけを食らう生徒がたまりかね、顔をしかめて相談にきた/耳を澄ますと、遠く階上で何度も『チーン チーン』と音がする/階上で何かあったのか? 扉の閉まらない音のようだ/そこで、問い合わせると、流暢な日本語で『またですネ』と、フロント係は苦笑い》
「また?」
「ハイ。中国のお客様がエレベーターに乗ると、定員オーバーとなっても降りようとされず、扉が閉まりません。何度も出かけて行ってはなだめすかし、罵声を浴びせられながら入り口付近のお客様に降りてもらいます。この繰り返しです」
《お土産店のレジが、中国人用と日本人用に分けて2カ所ある/クレームの多い中国人用には、専門の係員が就く/『日本人用のレジは(クレームが少なくて)助かります』と、ここでも店員が苦笑い》
《ホテルの部屋の水洗トイレで洗濯する中国人観光客の話も聞いて失笑した》
《台湾での日中比較もなかなか面白い》
まず「閉まらないエレベーター文化」。
わが国では、オフィスビルのエレベーターで、上司やお年寄りはもちろん、同僚や顔見知り同士が降りる際、譲り合う場面に結構出くわす。IDカードで「ピッ」という電子音と共に通過する玄関の開閉ゲート前でも、鉢合わせになれば「お先にどうぞ」の仕草をし合う。若い人を含め、わが国では日常の光景だ。
中国人観光客が今ほど多くなかったころ、交通機関で横入りをしてくるとの苦情をネットで見つけた。JR博多駅で列車を待っていると、列の真後ろに中国人家族がいたので、試しに一人半分ぐらいのスペースをあけてみた。すかさず、入られたので英語と手振りで注意すると渋々、元の位置に戻った。小学校低学年ぐらいのわが子の前で横入りしたのには驚いた。全ての中国人ではないのだろうが、「閉まらないエレベーター文化」は確かに、中国に根付いている。
さて、オバマ大統領は慰霊演説の中で、日本語を織り交ぜ「『オタガイノタメニ』を目指す」と語りかけた。その上で、戦艦ミズーリの艦長が自艦が攻撃された後、大日本帝國海軍のパイロットの遺体を日本国旗で包み、軍人としての尊厳をもって葬るように命じたこと。旗は米海軍の水兵が作ったことに、触れた。
また、日本人パイロットとの交誼が実り、帝國海軍の攻撃で沈んだ米戦艦の真上に建つアリゾナ記念館で毎月、鎮魂ラッパを吹き、日米双方の戦没者に、1本ずつ2本のバラを手向けるラッパ手だった米退役海兵隊員の実話も紹介した。
どの国にも「ジブンノタメ」だけを考える人はいるし、小欄だってともすれば…。ただ、中国のそれは、はるかに度を超す。まして、《共産党の一党独裁》+《台湾や尖閣諸島(沖縄県石垣市)などへの領土拡張&支配》+《カネ》という3大核心的利益の前には、ますます「中国だけのため」がエスカレートしていく。譲歩の余地は寸分もない。国家版「閉まらないエレベーター文化」が消滅しない限り、「日中友好」は夢物語だ。つまり「永遠の夢」なのである。
続いて「お土産店のレジが2カ所文化」。
安倍首相の慰霊演説の前後、中国外務省の女性報道官は、「これ以上不愉快な顔は演じられぬ」と、パフォーマンスの限界に挑戦しつつ?コメントを発表した。
「アジアの被害国にとっては、巧妙なパフォーマンスを何度繰り返しても一度の誠実な反省に及ばない」
「中国など『被害国』との和解には、侵略戦争を発動した日本の誠実な反省が必要だ」
「被害を受けた中国などアジアの国々との和解がなければページがめくられることはない」
国営新華社通信も配信した論評記事で-
《真珠湾での“和解ショー”では、侵略の歴史を過去のものにできない》
《安倍首相は『日米和解』の見せかけを創り出すことで歴史の重荷を投げ捨て、日米同盟を強化しようと目論んでいる》
《演説は『奇襲』の反省や謝罪を拒絶し、歴史背景への言及もなかった》
《安倍首相が『和解の力』『寛容の心』が必要だと訴えたのは、『侵略行為を正しく認識するよう求める正義の声』に対抗するのが目的だ》
「えっ。???」
和解が進んでいないアジアの国々は、中国や韓国などのほんの一部。アジアの国々では、ほとんどの歴代国家指導者が、日本のお陰で列強の植民地支配から解放されたと、とっくに感謝している。歴史の「ページ」は次々にめくられ、置いてけ堀にされているのは中国や韓国の方だ。そもそも、わが国が『奇襲』をかけたのは米軍に対してで、中国共産党軍はその時代、帝國陸海軍より逃げまくっていたのではなかったか。従って、中国に対して《『奇襲』の反省や謝罪を拒絶》するのは至極当然だ。それとも、中国共産党軍が帝國陸海軍から逃げ回った恥ずかしい《歴史背景への言及》をしても良いのかな。
逃亡者=中国は、勇者=日本に劣等感と嫉妬心しか抱けない
ジャーナリストにして作家のアンブローズ・ビアス(1842~1914?年)は、南北戦争(1861~65年)の戦没者記念日に、南軍戦死者の墓を飾る行為に反対した北軍退役将校のスピーチを批判して詩(うた)を残した。
「勇者は、勇者を敬う」
安倍首相は慰霊演説で、古今の日米関係を念頭にこの一節を使ったが、次のようにも表現した。
「歴史に残る激しい戦争を戦った日本と米国は、歴史にまれな、深く、強く結ばれた同盟国となりました。それは、いままでにもまして、世界を覆う幾多の困難に、ともに立ち向かう同盟です。明日を拓く、『希望の同盟です』」
オバマ大統領も応じた。
「最も激しく戦った敵同士は、最強の同盟をつくることができる。平和の果実は常に、戦争で奪い取ったものより重い。これこそ、この神聖な(真珠)湾が示す不朽の真実です」
安倍首相 「支那事変~大東亜戦争中、歴史に残らぬケチな遊撃(ゲリラ)戦しか行っていない中国は、日本と深く、強く敵対する関係となりました。中国は、いままでにもまして、世界を幾多の困難で覆う、民主主義に立ち向かう一党独裁国家です。アジアを切り裂く、『希望を削り取る国家』です」<
習国家主席 「最も激しく逃げた中国共産党は、最悪の中日関係を作為的につくりあげた。平和の果実は常に、戦争で奪い取ったものより軽い。これこそ、この邪悪な(南シナ海~インド洋の海洋覇権を狙う、中国の)真珠の首飾り戦略が示す腐った現実です」
安倍首相が引用したビアスの詩を借りれば、かくして「逃亡者(中国)は、勇者(日本)に劣等感と嫉妬心しか抱けない」哀史を生んだ。
底流にべっとりと貼り付いているのが「お土産店のレジが2カ所文化」。中国は、スーパーマーケットやデパートで、商品に難癖をつける病的クレーマーと変わりがない。日本外務省アジア大洋州局内に在る中国・モンゴル第一課と同二課の他に、クレームを受け付けるフリをして聞き流す「中国・モンゴル第三課」を創設したいところだが、クレームを受け付けたと勘違いして、病を一層重篤にするだけだろう。
いよいよ「水洗トイレでの洗濯文化」に入る。読者の皆様、ゴメンなさい。ここだけは説明がつきません。わが国にも昔々、ある所に住んでいたお爺さんが、たきぎに使う雑木の小枝を山に採り(=柴刈り)に行っている間、お婆さんが「川で洗濯」した物語は存在するが、「水洗トイレで洗濯」した「物語」は、寡聞にして存じ上げない。「洗剤は入れるのか? はたまたトイレ用洗剤を使うのか?」「なるほど。流せば、洗濯機と同じ渦を巻く」などと、要らぬ想像をしてしまった次第。
ところで、オバマ大統領の慰霊演説に「自分たちと違う人たちを悪魔扱いする衝動には抵抗せねばなりません」という部分があった。偏狭な人種差別や民族差別などに対する警鐘だと思われるが近年、中国もまた、世界中で「日本=悪魔」論を言いふらしている。
例えば、英国駐在の中国大使は、英エコノミスト誌(2015年8月21日号)に《安倍晋三首相はヴォルデモート卿だ》と寄稿した。ヴォルデモート卿は英国の作家J.K.ローリングの小説《ハリー・ポッター》シリーズに登場する、目的のためなら手段を選ばない、冷酷無比で最も邪悪な魔法使いだ。エコノミスト誌の表紙は、中国の習国家主席がペン型の小銃を抱えていた写真だったが、記事でも中国の対日批判が日本の《悪魔化》だと、こんな具合に確信していた。
《中国は軍事力を誇示し、周辺諸国を威圧する》
《一方で、日本は再び他国への侵略を始める危険な国家だと宣伝する》
《しかし、日本と戦争したのは中国共産党ではなく国民党だった》
《中国共産党は現有の野望を正当化せんと、過去の歴史を改ざんし、悪用している》
《中国が日本を『悪魔化』することは不公正で危険だ》
《習国家主席は歴史より真実の教訓を学び、歴史を改ざんして自国に有利な解釈をする行いを止めるべきだ》
エコノミストの中国観はほぼ正しい。いかに日本を《悪魔化》しようとも、チベットや新疆ウイグルで少数民族の虐殺や文化の消滅を謀る悪魔の残虐性は隠しおおせない。札ビラを見せられ、悪魔に魂を売った国々は、いずれ「悪魔払い」をする運命に遭う。
安倍首相の慰霊演説にはこうある。
「祖国を守る崇高な任務のため、カリフォルニア、ミシガン、ニューヨーク、テキサス、さまざまな地から来て、乗り組んでいた兵士たちが、あの日、爆撃が戦艦アリゾナを2つに切り裂いたとき、『紅蓮の炎』の中で、死んでいった」
『紅蓮の炎』は本来、大罪を犯して『紅蓮地獄』に落ちると、酷寒で皮膚が裂け血が噴き出し、紅色の蓮の花に似る、という仏教経典の教えに由来する。少数民族にとっての悪魔=中国共産党こそ『紅蓮地獄』が待っている。
先述したが、日米両首脳の慰霊演説後に国営新華社通信が発信した論評記事の内、正解は《日米同盟を強化しようと目論んでいる》とのくだりだけだった。日米同盟は今後も、努力なしに深化は遂げられぬが、少なくとも今回の日米両首脳の慰霊演説は、悪魔を寄せ付けない神聖な儀式と成った。