(ニューヨーク、2017年1月16日) - 中国当局は、チベット語教育をおおやけに支持してきたチベット人店主をめぐり、政治的な動機に基づく訴追を即時取り下げるべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。 公判は間もなく開始される予定だ

タシ・ワンチャク(Tashi Wangchuk/31歳)氏は、ニューヨークタイムズ紙の動画に出演し、チベット人が母国語で学び勉強する権利を主張。その後の2016年1月27日に身柄を拘束、拘禁された。チベットの独立を求めているわけではないと明言していたにもかかわらず、2016年3月に「分離独立主義の扇動」をしたとして訴追されており、最長で15年の刑を科される可能性がある。検察は昨年9月、青海省玉樹の刑事裁判所に対しワンチャク氏事件の公判請求をしたものの、12月になって再捜査のために当該事案の検察差し戻しを裁判所に求めるという、めずらしい行動に出た。再捜査は2017年1月4日までに終了し、現在事案は裁判所に再び戻っている。

Performers carry a giant Chinese national emblem and pictures of Chinese government leaders during a celebration marking the 50th anniversary of the founding of the Tibet Autonomous Region, China. 
ヒューマン・ライツ・ウォッチ中国部長のソフィー・リチャードソンは、「中権利の尊重と法律の遵守を求めただけにすぎないのに訴追されたあまたの中国人がいるが、ワンチャク氏もそのひとりとなった」と指摘する。「自らの言語を使う権利も含む文化的権利は、中国憲法および国際人権法の双方に保障されている。」
ワンチャク氏は、青海省の王樹チベット自治州にあるKyekundo(またはJekundo、中国語では王樹)に小さな小売店を構え、オンラインでも冬虫夏草といったチベットの特産品を販売していた。ニューヨークタイムズ紙によると、Kyegundo当局が地元の僧院や私立校で一般の人びとにチベット語を教えることを禁じたことに対し、同氏はチベット語教育がされないことへの懸念を、おおやけに表明していたという。青海省と隣接する甘粛省チベット自治州にある公立学校では2012年以降、中国語とチベット語バイリンガル教育を行うことになってはいるものの実際に教育をチベット語で行うことはやめており、せいぜいひとつの科目として扱う程度となっている。
中国は少数民族の学校でバイリンガル教育制度を構築してきたが、実際には北京語教育がますます優位を占めているか、さもなくばそれのみ、という状況だ。2015年8月に中国国務院が発行した「少数民族地域」における二言語教育の実施に関する規定は、こうした地域の当局者に対し、「少数民族の生徒に基本的な国家標準語(北京語、あるいは普通話ともいう)を確実に習得・使用させるため、確固たる標準語、およびその読み書き教育を実施」するよう命じるものだ。一方、少数民族が自分の言語で教育を受ける権利は「尊重されかつ保障されている」と定義するにとどまり、政府が少数民族の言語教育を提供する義務については明確にしていない。
ワンチャク氏は2015年5月に北京を訪れ、地元地域の当局がチベット語教育の支援をしないでいることに関し、正式な不服申立ての提出を模索。ニューヨークタイムズによると、その時に同紙の記者たちと面会し、「公表を前提としたインタビューを求めた」という。2015年9月に記者たちが玉樹に出向いて氏と面会し、2015年11月に英語と中国語で、氏の活動についての記事9分間の動画を発表した。
この動画には、2015年9月に王樹から北京を訪ねたワンチャク氏の姿と、地元政府に対する訴訟に失敗し、中国メディアにも問題を取り合ってもらえなかった経緯が映し出されている。氏は王樹を発つ前、ダライ・ラマの写真が飾られた自宅でニューヨークタイムズ紙の記者に計画の詳細を語った。北京にはこの記者が同行して氏の活動を取材している。動画では氏が抗議の焼身自殺についての記者の質問にも答えており、これら一連の行動はいずれも中国法に抵触しないものの、外国人記者が関係していることから特に敏感な問題に触れる可能性を秘めていた。ワンチャク氏の弁護人は後にニューヨークタイムズ紙に対し、氏の裁判は同紙とのインタビューに焦点が当てられたものであり、「警察はとりわけ動画に憤慨している」と語った。
ワンチャク氏は、チベット独立を主張したことはなく、懸念しているのはチベット文化の保存についてだと、ニューヨークタイムズ紙に語った。「私が目指しているのはちょっとした変化なのです。私たちの国の文化の一部を保存するための応援活動です。」加えて氏は、「少数民族を真に守ってくれるすべての中国人」に感謝を述べ、「ここ数年間、中国で民主主義と法の遵守を促進」してきた習近平国家主席を称賛している。
ワンチャク氏はまた、中国のミニブログ微博・ウェイボーに、「私たちの文化の体系的な虐殺」」と称する懸念を投稿。最後の投稿は2016年1月24日のもので、青海省の人民代表会議に対し、バイリンガル教育の強化とバイリンガル役人の採用を強く求めた。
2016年1月に身柄を拘束された後、ワンチャク氏が玉樹の施設に秘密拘禁されている間、国家警察でも国内治安を担当する部署guobaoによる捜査が進められていた。中国法では、刑事拘禁から24時間以内の家族への通知を義務づけているが、「国家安全保障」や「テロ」が関係する事案や、通知により「捜査が妨げられる」可能性があると警察が判断した場合には、これが免除される。
氏の家族は3月24日まで通知を受けなかった。その際に警察は家族に対し、「分離独立主義の扇動」で訴追されることになるだろうと伝えている。
当該事案は警察から青海省人民検察院に送検されたが、警察はその理由は定かではない追加捜査を求められ、それも8月25日に終了している。人民検察院は9月にワンチャク氏を裁判所に公判請求するも、再度捜査を行うため公判開始を遅らせるよう裁判所に求めた。2度目の再捜査は今年1月に終了し、当該事案は現在裁判所に戻されている。
起訴内容はまだ公表されておらず、氏の「分離独立主義の扇動」に関し、入手可能な証拠もない。中国政府は、少数民族コミュニティ出身者を訴追するために、刑法第103(2) 条を長らく適用してきた。
ワンチャク氏は2006年ごろに「不法にインドへ旅行しようとした」容疑で短期間拘禁されたことがあり、2012年にも土地接収問題で地元の役人を批判するオンライン投稿をしたことで、再び拘禁されている。
リチャードソン中国部長は、「中国法は、まさにワンチャク氏が提起するとおり、チベット語教育を容認するよう当局に対し義務づけている」と指摘する。 「氏への訴追を取り下げ釈放すべきところを逆に訴追した当局の行動。まさに中国憲法を被告にしているようなものだ。」

中国共産党は自分たちに他民族との共生政策は執行できない事をよく自覚せよ!
戦前の日本帝国の事をとやかく言うのは、日本の
戦前の 統治方法とは 言語と主権を尊重したという、
中国共産党のできないことを日本は行っていたからであって、それを否定するのは日本の左翼歴史家である。