「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)3月23日(木曜日)弐
通算第5233号
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♪より転載
「チベットの現状と今後の運動展開」
▼台湾、香港の独立問題
私たちがどれだけ自分たちの価値をカードとして使う側に認めてもらうことができるか。相手がただ将棋の駒として使うだけになるか。それとも、私たちはある程度、自分たちの存在、意思を持って意識的に利用されるか、ということが大切だと思います。
亡命政府としては対話がいつでもできるように、タスクフォースの会議も人材もできています。アメリカがどのように推し進めるか。それから、アメリカの国連大使もインド系アメリカ人です。
現段階においては駐インド・アメリカ大使のリチャード・バーマーさんもインド人です。しかも、彼は僕が日本へ来た後にアメリカへ行った人です。状況をよくわかっている。
だから中国が、「米国やインドはダライ・ラマカードを使うことはけしからん」と言っています。
カードとして認めてくれています(笑)。そのカードを使い過ぎると両国関係に悪影響を及ぼすことを言っている。
台湾と香港、とくに香港が独立してもおかしくないと思います。
アメリカ自身が英国から分離独立したわけですから。あれが本当の分離独立です。われわれは分離独立ではなく、もう一回独立を取り戻すだけです。香港が分離独立しても十分に可能性があると思います。全くあります。
台湾はもちろんです。
そういうことで、チベットの全体の運動については、私はここでこれ以上のことは言えませんが、アジア全体の平和と安全を考えたときに、チベット問題、あるいはウイグル問題、そしてモンゴル、台湾……、台湾などは特に日本にとっては本当に重要だと思います。
これから大国がチベット問題をどう見るか。国連においてもう一回チベット問題を提訴しようということで、今いろいろな動きがあります。
私たちの問題が国連でかつて取り上げられたときも、チベットと関係のないニカラグアとか中南米の国々がスポンサーになってくれた。それは私たちではなく、アメリカがそうしろと言ってくれたからできるのです。
だから今後も、大国がそういうことを決めてくれたら、私たちのためではなく大国自身の利益のためにも、アジア全体の平和を考えたときに、世界の屋根が雨漏りしていてはどうにもならないと思います。
地政学的な観点からもアピールすることも必要だと思います。
▼自由と民主主義をもとめて
僕は大学院のときに先生から、あなたの論文は感情的で論文になっていないということを言われました。テーマは「民族主義と国家」でした。僕は、民族主義そのものが感情的なのに、先生、どうして感情的なのはいけないのですかと反論しました(笑)。
私たちが理論的に全部合理的に考えることもできないと思います。しかし、やはり人間ですから、どこか感情というものがあり、そして自分のアイデンティティ、自分の存在、自分の尊厳……、だったら自分のコミュニティ、自分の国、自分の民族のものをたぶんそう簡単に捨てきれない部分も背負いながら、そういう矛盾を感じながら頑張っていくしかない。それが、きょう、この時点の私の心境です。
本質的なチベット問題は、何度も申し上げるようですが、私の気持ちでは、チベットが完全に自由と独立を勝ち取ることです。
これは私個人の願いです。これはチベット憲法でもちゃんと自由を認めています。これからも支援していただきたい。恐らく、ウイグルにしても、モンゴルにしても、似たような気持ではないかと思うし、13億人のうち、少なくとも12億人は中国人。この中にはチベット仏教を信仰している中国人も、パンチェン・ラマの話だと3億人はいるとおっしゃっていました。
自由と民主主義を求めている人たちが大多数だと思います。サイレントマジョリティがいるわけです。
今後、そういう人たちとの連帯、そういう意味で連帯という言葉は何らかの形でそういうつながりを持っていこうということを考えています。どうもありがとうございました。