2017.3.25 08:00
【WEB編集委員のつぶやき】日本の国会は「国民の命」より「国有地」か 隣国は核実験を準備中のテロ国家だ
北をめぐる情勢は一触即発だ。国民の生命、財産が脅かされている状況にあるのに国会は、本会議はもとより、外務委員会まで大阪の私立校の国有地取得問題に時間を割いている。愚かしい。
産経ニュースによると、19日に終了したティラーソン米国務長官の初のアジア歴訪は北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威にさらされる周辺国に「耳を傾ける旅」(国務省高官)だったという。トランプ政権は「声」に応え、先制攻撃を含む選択肢の検討を本格化した。
ティラーソン氏は米ネットメディア「インディペンデント・ジャーナル・レビュー」のインタビューで、「道筋を変えなければ状況が困難になり続けることを北朝鮮に理解させることが重要だ」と指摘した上で、国連安全保障理事会決議の完全な履行や制裁強化で北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を促す考えを示した。
中国はティラーソン氏訪中を前に、北朝鮮は核・ミサイル開発停止を、米韓は軍事演習を一時的に停止し、交渉に戻るよう提案したが米国は「取引」を一蹴した。
ここに興味深い数字がある。
政府は21日、共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を閣議決定し、国会に提出した。2020年東京五輪・パラリンピックを控え、国際社会が連携してテロなどに対峙する「国際組織犯罪防止条約」を批准するために必要な法整備だとして、今国会での成立を期す。
改正案は、適用対象をテロ組織や暴力団、麻薬密売組織など「重大な犯罪」の実行を目的とした「組織的犯罪集団」に限定した。
これに対し、民進党有志議員は同日、国会内で会見を開き、法案を非難した。通常の団体であっても組織的犯罪集団に「一変」した場合は捜査対象になり得ることについて、「『一変』が広く解釈され、普通に仲間が集まって話をする過程によっては事前に危険を予防するとの理由で規制が出てくる。私たちの自由が奪われ、監視社会になる危険性を含む」と。
反対派の市民団体は抗議集会で、「どんな市民団体も狙い撃ちされる」「私たちにやいばが向けられた」と気勢を上げた。
山井和則国会対策委員長は記者団に対し、「法案に、うそがあることが明らかになったにもかかわらず、閣議決定を強行したことは非常に残念だ。これまで3度廃案になった『共謀罪』と本質的には変わっておらず、日本が一億総監視社会になるかもしれないという大きなリスクをはらんでいる」と一昔前の価値観から何ら変わっていない。
これに一刻も早く対応するのが国の責務だ。時代遅れの空虚なセンチメントを振りかざし反対する政党やマスコミに尋ねたい。「法律が成立すると皆さん、何か不都合があるのですか」と。
(WEB編集チーム 黒沢通)