パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

さくらの花の下もしこの日集うならば。読みたまへ、めぐみさんを取り戻す、そのふみを


勝谷誠彦の××な日々 より転載
     
 2017年4月10日号。

<さくらの花の下もしこの日集うならば。読みたまへ、めぐみさんを取り戻す、そのふみを>。


  4時起床。
 天気図を見ていると東漸の法則によって雨がしばらく続くなあと考えていたのだが、今日の東京は奇跡のように晴れた。私も桜を見にいくつもりだったのでまことに嬉しい。明日からはまた雨模様なので、花見をされるのならぜひ今日に。月曜日だし、学校や会社の仲間と今日は行かれる人々が多いのではないだろうか。夜桜は大混雑だと思う。先日「個人的花見」はして「0回」と名付けたが、今年の公式「1回」目は今日やる。みなさんが働いている真っ昼間に酒持って行くも~ん。嫌な奴(笑)。

 
提案がひとつある。花の下でぜひ賑やかにやっていただきたいが幹事におかれては今から紹介する「手紙」をビールとともに配って欲しいのだ。プリントアウトもコピーも会社の備品を使ってよろしい。私が許可する。文句を言う上司や経営者は非国民である。勝手に言っているだけだけど。桜の季節に産経新聞がこういうものをリリースしたのは意味があることのように思われる。
 <めぐみへの手紙/「拉致されて姿がない40年/希望持って闘っています」横田滋さん、早紀江さん>
 
http://www.sankei.com/world/news/170409/wor1704090013-n1.html
 

<めぐみちゃん、こんにちは。今年も春がめぐってきました。卒業式、そして入学式の季節です。お父さんは40年前の春、中学校の学生服を着ためぐみちゃんを桜の木の下で撮りました。特別にきれいな桜。体調を崩して入学式を欠席した後でした。ようやく治りかけのめぐみちゃんが「こんな顔じゃ嫌だよ。恥ずかしい」と嫌がるのを連れ出しましたね。私たちにとって大切な写真です。その年の冬、めぐみちゃんはいなくなりました。>


 いや、全文を配らなくてもいい。この冒頭の一節だけでも、花見の時に誰かがみんなに朗読して欲しい。しばしば書くが、桜というのは大和民族にみずからへの「見直し」を促す花だ。民族の悠遠の歴史の中にそういう気持ちが自然に出来てきたのだと私は考える。正月ではなく4月が「年度はじめ」な国はほぼない。入学も4月であって、秋をそうとする欧米諸国との間でいろいろと齟齬があるが、結局は改めようとはならない。そんないま「よし、これからの1年間も拉致された同胞を取り戻すぞ」と新たに決意することは大切だ。私は周囲には「黒電話を床に投げつけるように、あの電話頭野郎をぶち壊す」と言っているのだが。あっ、玄関に銃を持った工作員の姿が。いや、冗談では済まないので、最近は特に自分の安全保障を考えている。電話頭野郎何をやらかすかわからないからね。
 横田滋さんもお歳を召されて、だんだんと奪還を訴えるおおやけの場にお姿を観ることが少なくなった。こうして手紙を出されることの裏に、昔から拝見していた私は辛さを感じる。それでもなんとか娘を取り返したいというこの気持ちになぜ私たちはこたえられないのだろう。なぜ政府はできないのだろう。極論をすれば、成否はとわずともわが精強無比なる自衛隊の特殊作戦群を投入する、その私たちの「民族としての正気(せいき)」を身内を拉致された家族の方々に見せてさしあげたいとすら、私は思う。それが国家の意気地であり、子どもたちは「国とはそういうものなのか」と思うであろう。
 私は滋さんのこの手紙は「日本人の芯」であると考える。この国はまことに優秀な民族とどうしようもない統治組織とでやってきた。ときどき真っ当なものが出現するが、朝日新聞などはそういうのを「全体主義」として貶める。モノ書きの端くれであるが、言葉で本質を言い切ることにおいて、私ははるかに滋さんに及ばない。私がいつも難しい単語を引っ張ってくるのは自信がないからだ。滋さんの手紙は素朴にして力がある。

<救出活動を始めてから総理大臣は十数人も変わりました。拉致問題担当大臣も数年ごとに変わります。難しい政治や国際関係はよく分かりません。だから、そのたびに「どうにか解決してください」と必死にお願いしてきました。>


 滋さんはご自身のお嬢さんについてのみ考えて無心に書いておられるのだが、日本国の有権者は恥ずかしいと思うべきだ。十数人ものバッタもんを選んだのは誰か。私たちである。拉致犯罪を担当する大臣をコロコロと変えたのは誰か。私たちである。せめて北朝鮮の犯罪に関する担当大臣は内閣が変わっても続投させる、ということがなぜできなかったのか。相手は独裁キ印国家だ。粛清されない限りはひとりのキ印電話頭がずっとそのことをアホみたいに担当しているのである。人事的な戦略で言ってもあちらとこちらではもう負けているといういうほかはない。
 滋さん「お願い」などしないで欲しい。犯罪国家から同胞を取り戻すのは日本国の義務である。すべて書くと中学高校時代に極左の政治経済の先生と対抗すべく古典からすべてを読みまくった私の話は長くなるが、なぜ私たちが税金までとられ、ほとんどがアホな政治家を選ぶためにわざわざ投票所まで行くかといえば「国家」を維持するためだ。国家が必要なのは畢竟、国民の生命と財産を護るためである。個人では他国との外交などできない。戦争もできない。
 あなたや、あなたもあの赤いパスポートがあるから、海外でも護られている。ほとんどの人は読まないがそこには「日本国民である本パスポートの所持人を通路故障なく旅行させ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する」とある。これは本来ならば「うちの国民に手ぇ出したらただですまさへんで」ということであるはずだ。外交と軍事が車の両輪であるという国際常識はそういうことだ。ところが日本国は邦人になにかあった時に「お願い」をする。最悪の場合は身代金までテロリストに出す。黙ってるけど。糞国家、クズ国家である。
 滋さんが言われる十数人の総理大臣が拉致犯罪に対して何をしたのか、大マスコミはリスト作ればいい。「支那に仲介を頼む」だって?「暴力団は社会悪だ」とかひごろほざいている大マスコミがどの口で言う。国際社会の大極道である支那に、傘下の二次団体の電話頭野郎に口ききをしてもらうのかい。地元の極道がやらかしたことに、神戸の本家に「ひとつよろしく」とお願いに行くのかい。
 人間としての基本の倫理が、この国では護られていないのだ。政治家も下品だが官僚はもっと愚劣だ。そんな連中が何の道徳の教科書だ。嘲うしかない。せっかく新学期である。「北朝鮮の犯罪者に誘拐された同胞を、なぜ取り戻せないのですか」と、みなさんの子どもたちに「先生に聞いてごらん」と言って下さい。「だって、この国には強い自衛隊があるんでしょう?暴力団に監禁されているひとがいる時に、警察が突入するシーンをいつもテレビで見ているよ。どうて、それが国と国ではできないの?」と質問させて下さい。さて、回答が楽しみだ。
 「あのシーンはね、大マスコミとクラブ活動をしている警察が、ちゃんとタイミングをみはからって撮らせているのよ」「ふうん、だからいつも映画みたいに、カッコいいんだ」までは教えなくてもいいです。もっと大人になってからね。滋さんの手紙を読むところまではしなくてもいい。だが「拉致って、どうなっているのかね。進まないね」という会話はお願いしたい。このひのもとの、さくらの花の下で。

 イスラム国「IS」の位置づけがますますややこしくなって来る。ただの「ヤンキー」なのか。だが「バックがある」と言うならそこはどこなのか。もうやっていることが無茶苦茶だ。エジプトは後述するが「火薬庫」であると、そこを知る私は考えていた。マッチが投げ込まれたのである。エジプトといえば中東、であれば厳格なイスラムと考えがちだが、そんなことはない。たとえば国産のビールがある。湾岸戦争の時、戦友の不肖・宮嶋茂樹君とこの国に出てくるとホッとしたものだ。「アラブ虫、アブラなければアブラ虫」という不肖の名言はここで出来た。とはいえ「アラブの盟主」だが、そこで自爆テロをやるというのは、ISは地域のバランスをどこに持っていきたいのか。
 <エジプトの教会で連続爆発、死者40人強/「イスラム国」犯行声明>
 
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-09/OO5S116JTSE801
 <エジプトで9日、タンタとアレクサンドリアの教会で自爆テロ犯によるとみられる爆発があり、合わせて40人余りが死亡した。同国内での市民を狙ったテロ事件としては、約3年前のシシ大統領就任以来、最悪となった。この日は復活祭(イースター)直前の日曜日「パームサンデー」だった。
 米テロ監視団体SITEインテル・グループによると、過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。
 エジプト保健省のスポークスマンによると、最初に起きたタンタでの爆発で少なくとも27人が死亡。アレクサンドリアキリスト教コプト教の教会でも16人以上の死者が出ている。>
 う~ん。特派員がいるだろうに、2、3年の任期ではイスラム教とキリスト教のエジプトでのややこしい関係はわからずにニュースを送っているのだろうなあ。わが同級生、ハサン中田のように、改宗するくらいの覚悟でないと。まずコプト教というものが、ほとんどの日本人は知らないのではないか。もう記憶がないほど昔に上梓した拙著『いつか旅するひとへ』の中に、湾岸戦争の時の誰もいないエルサレム聖墳墓教会で出会ったコプト教大司教のことを書いている。
 
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 ちゃんと挨拶をしたのにその卑屈な態度が気になった。ひょっとすると本当に大司教ではなかったのかも知れない。「マネー」といって私からいくばくかのカネをとり、コプト教にとっては「聖地」らしきものを見せてくれた。キリスト教と言えば、普通の方が想像するのは華麗なるカテドラル、つまりはカソリックの世界だ。そのキリスト教でもさまざまな宗派があって、アメリカ人と話す時は、慎重さが必要だ。日本人は、日蓮宗でも浄土真宗でもケンカになることはないが、あっちはそうではない。
 日本国の大マスコミの報道には「宗教の匂い」がすべて抜けている。そういう育ちを記者たちもしていたのだろうから、批判するには当たらない。海外での取材は宗教を抜きにしてはできない。そんな中で生き死にをしてきた私はどうしても敏感になる。コプト教徒はエジプトでは1割くらいではないか。上流階級に多いと感じた。このテロを論じるならば、エジプトのそういう社会についても触れなくてはいけない。

 またまた身内ネタで申し訳ないが。それを知っていただいた方が、なぜこんな無謀な試みを毎朝やっているチームがいるのかとわかってもらえるかと。ローランドの創設者について書いた。するとそこで紹介した、この日記を配信してくれているヨロン社の高橋茂社長からメールが来た。細部を訂正したかったみたいなので、責任として引いておく。
 <ローランドの開発本拠地は浜松です(本社は大阪だけど、そこには総務と人事部があるだけ)。ローランド入社後は、浜松の研究所と開発部署に4年いて、そこで世界標準の音源やシンセサイザーの開発を行いました。しかし、長野にどうしても帰りたくて3年間申請し続けて、やっと松本に異動になりました。安曇野に住んで通い、デジタルサンプラーの開発プロデューサーをやりました。>
 ま、みなさんにとってはどうでもいいことですね。とはいえ、ヨロンさんが長野に帰りたくて(この動機がわからん。怪しい)そこに田中康夫さんが突入して、結果としてこの日記であなたや、あなたと出逢えている。ま、いいんじゃない。


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