パルデンの会

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習近平の傀儡となった香港当局は新たな「国家安全法」を導入した。反体制派を訴追する権限が拡大され、外国企業とて安全なビジネス展開が望めなくなった。

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)5月5日(端午節)
        通巻第8240号 
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 報道の自由がなくなった香港でジャーナリズムの使命は果たせない
  WSJは香港本社を畳み、シンガポール
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 東京の外国人特派員協会(外人記者クラブ)が殷賑を極めたのは1990年代半ばまでだった。欧米の主力メディアは一斉にアジア拠点を北京へ移転した。理由を聞くと「日本には面白いニュースがない」
 当時、筆者はよく外人記者クラブを『活用』していた。しかしこの十年ほど行っていない。知り合いの記者も殆どいなくなったうえ、飲食と会合に来る客は日本人の「賛助会員」が目立つ。つまりジャーナリストにとってトップ賞を取れそうなネタが日本にはないのだ

1970年の三島事件直後に、この外人記者クラブ(当時は丸の内の古川ビルの一階にあた)で複数の外国プレスのインタビューを筆者がうけたのはここだった。隣にはトラベルセンターオブジャパンという旅行代代理店があって殆どの外人記者のチケットを手配していた。筆者もよく利用した。。

2024年5月4日、ウォール・ストリート・ジャーナルがアジア本社を香港からシンガポールに移転すると発表した。そうだ、香港に、国際金融都市としてのニュースが不足し、取材の自由がなくなり、そもそも有力な金融企業はさっとシンガポールへ移管した
国際ビジネスマンもそうだ。言論の自由中国共産党によって殺され、リンゴ日報は廃刊となった。

 WSJは「移転の理由は構造的なものでありビジネス、金融、経済の報道を統合します。取材先の多くの企業と同様に、重心を香港かシンガポールに移します」と発表した。世の中の動きを象徴する出来事である。

 WSJアジア本社はシンガポールとなり、支局が台北、東京、ニューデリー、北京、ソウル、シドニーとなる。

 習近平の傀儡となった香港当局は新たな「国家安全法」を導入した。反体制派を訴追する権限が拡大され、外国企業とて安全なビジネス展開が望めなくなった。中国国家安全法が制定されて以来、290人以上が逮捕され、174人が起訴され、114人が有罪判決を受けたが。ほとんどが著名な民主派政治家、活動家、ジャーナリストだった。

米国の「ラジオ・フリー・アジア」は3月に早々と、スタッフの安全への懸念を理由に香港事務所を閉鎖した。
国境なき記者団」は代表者が香港への入国を拒否された。友人の福島香織さんは、香港になんとか入国は出来たが、取材は殆ど出来なかった、と帰国後に語った。
インタビューが電話盗聴などで物理的に出来ない。中国情報は人に会わないと精度の高い情報は入りづらいのである。

筆者は2019年からの香港の民主派学生運動の取材で2020年1月までに三回、香港を取材したが、(拙著『CHINAZI』、徳間書店)たぶん、習近平政権が続く限りにおいて、最後の機会だったことになるだろう。

     □◎み○☆や◎☆ざ○☆き◎☆◎ま○☆さ◎☆ひ◎◎ろ○☆