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河北省張家口地方裁判所に70人の記者が押しかけ、判決をまった



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)6月1日(木曜日)
       通算第5311号
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中国国家統計局前局長の王保安に無期徒刑   河北省張家口地方裁判所に70人の記者が押しかけ、判決をまった


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 5月31日、河北省張家口の地方裁判所傍聴席は70人の記者で埋まった。
中国国家統計局前局長の王保安に対する判決は無期徒刑。全財産没収だった。彼が不正に得た賄賂は1億5428万元(25億円弱)だった。王保安の「邯鄲の夢」は無惨な結末となった。

王保安は国家統計局長という立場を利用して、地方政府からあがってくる「経済データ」の誤魔化しに協力し、その見返りを得ていた。
なにしろ中央政府が「ことしのGDP成長は6・5%」と言えば、地方政府幹部はその二倍の数字を報告するのは常識であり、その数字を統計局が認めるには、賄賂が必要というのが中国のシステムである。

王保安は身の危険を察知し、北京空港からパリかフランクフルトへ脱出する計画を練り、実際に偽名のパスポートを用意した上、その偽名でファーストクラスの航空券を買い(それも愛人と二人分)、飛行場へ向かおうとしていたときに、当局によって逮捕された。愛人は空港待合室で逮捕された。

 この事件は何を意味するのか。
 筆者は近刊『米国混迷の隙に覇権を狙う中国は必ず滅ぼされる』(徳間書店)のなかで、次の指摘をしている。

 (引用開始)
 「2011年に中国のGDPは日本を抜いて世界第二位となったと発表された。庶民の感情と期待も高揚していた。大きな夢を語ったのも、北京五輪の成功があり、つづけての上海万博、広州アジア大会と連続的なイベントの成功が手伝って「大国意識」が急速に拡大していた。「日本は相手にしない。これからは米国をしのぐのだ」と稀有壮大な幻想を信じた人も多かった。しかし同時にガンが進行していたのだ。
 GDP世界第二位さえ誇大な宣伝であり、数字の信憑性はほとんどないのである。例によって中国では歴史が政治プロパガンダであるように外国からの直接投資を維持するために大嘘を吐き続ける必要があった。

 中国経済がゾンビ化しているのに、なお延命しているのは壮大な嘘にだまされて外国企業が投資を続けたからである
 ソ連の経済統計が革命から70年間、まったくのデタラメだったことは広く知られる。ノルマ達成だけが目的の数字をそのまま経済統計に用い、あとは作文と辻褄合わせだった。たとえば或る製鉄所では原材料の鉄鉱石の割り当てが100トンなのに、生産が200トンと報告される。アルミが原材料から50トン精製されるとすれば100トンと平気で報告される。在庫を確認しにくる係官は賄賂を貰って口をつぐむ。そもそも炭鉱事故があると現場に飛ぶ新聞記者が会社幹部に「書かない原稿料」を請求するのが中国のジャーナリストの特徴であるように。

 人気作家の余華が比喩している。
 「ありゃあ売春しながら、忠孝貞節の札をかかげてるってもんじゃねえか?」
 「良心は犬にかじられ、狼に食われ、虎にかみ砕かれ、ライオンの糞になってしまった」(余華『兄弟』文藝春秋)

 システム全体は腐敗によって悪性の腐蝕が進み、制度が疲労を音を軋ませる。嘘を繰り返すうちに、嘘が一人歩きをはじめ、収拾がつかないばかりか、誰も本当のことを把握できなくなってソ連は突然死のような終末を迎えた」(引用止め)

 もっと詳しくは前掲拙著を参照されたし。
『米国混迷の隙に覇権を狙う中国は必ず滅ぼされる』(徳間書店。1080円)
https://www.amazon.co.jp/dp/4198643660/
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