パルデンの会

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人民元高をねらい撃ち。香港から多額の熱銭が中国に流入した   真実の貿易額との乖離は九月だけで135億ドル(1兆6065億円)だった



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)11月25日(火曜日)
通巻第4406号
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人民元高をねらい撃ち。香港から多額の熱銭が中国に流入した  真実の貿易額との乖離は九月だけで135億ドル(1兆6065億円)だった

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不正のインヴォイス(送り状)による送金は中国人の投機家にとっては常識である。
九月に香港への輸出は34%急上昇して376億ドルを記録した。
ところが香港側の統計では241億ドルで、差額は135億ドル。
この差額こそ、「合法を装って中国に流入した熱銭(ホットマネー)」である。

中国全体の輸出統計は同期に15・3%伸びたと発表されたが、
通関統計では11・6%の伸びで、こうなると何が本当の数字だか訳が分からない。

「中央の反腐敗キャンペーンが効果を挙げていない、
なによりの証拠がこれらの数字に潜む投機資金、つまり不正取引であり。換言するならこれは中央執行部への挑戦でもある」(アジアタイムズ、11月21日)。

ホットマネーは逃げ足が速い特徴がある。
今度、人民元安に市場が転化したら、
熱銭はさっと中国から香港経由で海外へ、逃げ出すことになるだろう。

ノーベル経済学賞(2014年度)のジャン・
ティロールが次の指摘をしている。
『資本移動の自由化、
すなわち資本が自由に国家間を無制限に行き来できることは、債務国にとっても、世界経済にとっても、間違いなく良いことであるという合意が経済学者の間で広く受け入れられようとしていた」。

これが日本を蔽うグローバリストの正体でもある。

ところが80年代に中南米で、
97年にアジア通貨危機がおこった。

「すさまじい外国為替危機および銀行危機が起こった。(中略)
短期間で資本移動が大きく反転したことが経済に大きな影響を与えた。反転はメキシコで1981-83年にGDPの12%、1993-95年では同6%に達し、アルゼンチンでは1982-83年に20%、チリでは1981-83年に7%であった。インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイでは、1997年の資本流失と1996年の資本流入の左派合わせて8500億ドルに達し、これら諸国のGDP総額の約10%であった」(ジャン・ティロール著、北村行伸、谷本和代訳『国際金融危機の経済学』、日本経済新聞社)。

さて、そうであるとすれば、次の中国金融界、
短期資本の移動が反転するだろうが、それは未曾有の事態を引き起こす導火線になるのではないか?