強硬派仏教徒集団の台頭、 覆される「平和的哲学」のイメージ
2018年3月19日12:56発信地:香港/中国
ミャンマーのヤンゴン郊外にある僧院で集会に出席する仏教指導者のウィラトゥ師(2013年6月27日撮影)。(c)AFPPHOTO / Ye Aung THU
【3月19日AFP】欧米諸国での仏教に対するイメージは、本質的に平和的な哲学として成り立っているというものだが、近年アジアの一部で小さいながらも影響力を増している強硬派の仏教徒集団らが掲げる暴力的な理念が、この寛容的なイメージを覆している。
ミャンマーでは扇動的な仏教指導者、ウィラトゥ(Wirathu)師に率いられた超国家主義の仏僧たちが、少数派のイスラム教徒に対する圧力を強めながら、イスラム系民族ロヒンギャ(Rohingya)70万人近くが隣国バングラデシュに逃れざるを得なくなった政府軍による弾圧に歓喜している。
このほど、仏教と暴力に関する書籍を書き上げた米オハイオ州・ヤングスタウン州立大学(Youngstown State University)の宗教専門家、マイケル・ジェリソン(Michael Jerryson)氏によると、他の宗教と同様に、仏教でも宗教を使って暴力を正当化してきた教徒たちは歴史上みることができるという。
アフガニスタンで旧支配勢力のタリバン(Taliban)がバーミヤン石仏(Bamiyan Buddha)を破壊し、また「テロとの戦い」のスローガンが叫ばれてからは、ゆがんだ歴史的な恨みが「最近のイスラム嫌悪と重なることとなった」とジェリソン氏は言う。
そして「歴史的には真実ではないが、イスラム教徒を仏教徒の敵とレッテル貼りすることで、両者は敵対関係にあるという認識を強化する」「すでにダメージは与えられており、信頼感は崩れ、恐怖感が生み出されている」とフリデンルント氏は説明した。(c)AFP/JeromeTAYLOR