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朝鮮問題 まっとうな 対応と回答 by 日本のマスコミ


朝鮮問題 まっとうな       対応と回答 by 日本のマスコミ

米朝首脳会談中止の決定的原因を作った習近平の「勝算と誤算」

5/25(金) 7:00配信
現代ビジネス
米朝に割り込もうとした人物
 米国のホワイトハウスは5月24日、6月12日に予定されていた米朝首脳会談を中止する、と発表した。舞台裏で動いていたのは、どうやら中国である。いったい、米国と北朝鮮、中国、韓国の間で何が起きていたのか。

 トランプ大統領は22日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との会談で、記者団を前にして、北朝鮮が一定の条件を満たさない限り、米朝首脳会談は「開かれない可能性がかなり高い」と語り、中止の可能性を強く示唆していた。

 ペンス副大統領も米メディアとのインタビューで、「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がトランプ大統領を手玉にとれると思ったら、大間違いだ」と語り、会談中止の可能性について「疑いを差し挟む余地はない」と明言していた。

 私はかねて首脳会談の中止、あるいは開かれたとしても、少なくとも最初の1回は米国が破談にする可能性を指摘してきた(たとえば、5月11日公開コラム、http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55612)。今回の決定は、会談を開く前から米国側が破談にした形である。

 日本のメディアでは「大統領が事前に『大成功』と宣伝したのだから、メンツにかけて交渉をまとめるはずだ」とか「首脳会談を開くなら、成功させる以外にない」などという訳知り顔の解説がしきりに流れていた。まったくピンぼけだ。

 そんな解説を語る人は、そもそもトランプ氏が前例に当てはまらない「型破りな大統領」であることを忘れている。加えて、自分自身が事態を前例踏襲でしか理解できない「ステレオタイプ」に陥っている、という自覚もない。

 トランプ氏に妥協する意思がないのは、イランへの制裁強化にもにじんでいた。米国は先にイラン核合意からの離脱を表明したが、ポンペオ国務長官は5月21日、ウラン濃縮の完全禁止などを求めて、実現するまで「史上最強の制裁」を課す方針を表明した。

 先のコラムで指摘したように、イラン核合意からの離脱は北朝鮮に対するけん制でもある。そこへ新たな制裁も表明したのは、正恩氏に「非核化しなければイランと同じ運命だぞ」と念押しした形だったのだ。

 22日のトランプ発言で注目されたのは「中国が北朝鮮に対して、対米交渉では強腰で臨むようにそそのかしたのではないか」と示唆した点だ。大統領は2度目の中朝首脳会談が5月7、8の両日、大連で開かれた後、正恩氏の態度が「少し変わった」と語った。

 トランプ氏の分析が正しいとすれば、なぜ、中国の習近平国家主席は正恩氏に強硬姿勢を促したのだろうか。容易に想像できるのは、まず米朝会談が難航すればするほど、中国の存在感と役割が高まるからだ。それは中国の影響力拡大につながる。

 正恩氏が習氏を頼りにしていたのは、1カ月余りで2度も中朝首脳会談を開いた事実によって証明されている。正恩氏に同行した妹の金与正(キム・ヨジョン)氏は、習氏に対して深々と最敬礼のお辞儀をして握手した。誇らしげに顔を上げ続けていた文大統領との握手のときとは対照的だ。

 トランプ氏は、中国が一部の国境を開いて中朝貿易を拡大している点も「気に入らない」と述べていた。中国は北朝鮮にアメ玉を与えて、手なずけようとしていたように見える。中国はキープレーヤーの1人として、米朝交渉に割って入ろうとしていた。
トランプを翻弄した習近平
中国には、別の思惑もあったかもしれない。米国との貿易戦争を有利に運ぶ狙いである。
 
トランプ政権は3月22日、知的財産権の侵害を理由に総額500億ドル規模の対中関税引き上げ方針を決めた。それとは別に、中国産の鉄鋼とアルミニウムにも高関税を課した。すると中国は4月2日、米国産の豚肉やワインなどに最大25%の報復関税を上乗せして対抗した。
 
本格的な米中貿易戦争に突入するかと思われたが、米国のムニューシン財務長官は米中通商協議後の5月21日、テレビで対中関税引き上げを保留する考えを表明した。すると、中国も一転して国営メディアが輸入拡大を宣伝し始め、貿易戦争は一時休戦になった。
 
一連の動きは米朝交渉に濃い影を落としている。もう一度、日付を確認しよう。3月22日に米国が対中関税引き上げ方針を発表した後、2度目の中朝首脳会談が5月7、8両日に開かれた。その後、北朝鮮は強硬姿勢に転換し、同21日に米国が対中関税引き上げを棚上げした。
 
つまり、中国は北朝鮮に強硬姿勢を促して、米中貿易戦争を有利に展開しようとした可能性が高い。自分が強硬姿勢をそそのかす一方で「強気になった北朝鮮を制御したいなら、我々とケンカするのは得策ではないぞ」というサインを米国に送ったのだ。
 
米国は結局、中国との貿易戦争を棚上げせざるを得なくなった。北朝鮮との交渉で中国を完全な敵に回さないためだ。トランプ氏が22日の会見で、習氏を「グローバルクラスのポーカー・プレーヤー」と評価したのは、そういう事情からだろう。トランプ氏は習氏に翻弄された格好だ。
 
韓国はどうか。今回の米韓首脳会談で、韓国の影はまったく薄かった。
 
韓国はこれまで北朝鮮には「米国を対話に引き出す」と言い、米国にも「北朝鮮は対話の意思がある」と伝えて、メッセンジャーの役回りを演じてきた。だが、トランプ氏にとって、22日の米韓会談は米朝会談中止の可能性を表明する舞台として利用したにすぎない。
 
北朝鮮の外務第1次官が5月16日、米朝会談を「再考する」という談話を出して以来、韓国は今回の米韓首脳会談まで、何ら調停役を果たせていない。「首脳会談は99.9%開かれる」(韓国高官)などと、自分たちの願望を述べてきただけだ。
 
 
「ゴマすり国家」の本質
韓国の姿勢を一言で言えば、四方八方にその場限りの甘言を弄してきた「ゴマスリ国家」ではないか。そういう韓国の本質は、南北首脳会談(4月27日)に絡む在韓米軍の撤退問題でも鮮明になった。
 
文大統領の補佐官が外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』への寄稿で「南北朝鮮の平和協定が結ばれたら、在韓米軍の存在を正当化するのは難しくなり、文政権は政治的ジレンマに陥る」(https://www.foreignaffairs.com/articles/north-korea/2018-04-30/real-path-peace-korean-peninsula)と指摘すると、文大統領は大慌てで否定に走ったのである
 
先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55704)で指摘したように、そもそも韓国に米軍基地があるのは、韓国と北朝鮮がいまだ法的には戦争状態にあり、北朝鮮の侵攻を食い止める抑止力にするためだ。だから「平和協定が結ばれたら、在韓米軍の存在を正当化するのは難しくなる」という補佐官の指摘は正しい。
 
にもかかわらず、文氏は「在韓米軍は米韓同盟の問題であり、平和協定とは関係ない」と言って否定した。1953年10月に調印された米韓同盟は、同年7月に休戦した朝鮮戦争の結果なのだから、これは苦しい言い訳である。
 
ここに「ゴマスリ国家」の本質が出ている。北朝鮮にも中国にも米国にも、いい顔をしようとしているのだ。そんな韓国をトランプ政権が心底から信用するわけがない。信用しないが、だからといって、侮蔑もしない。あえて敵に回す必要はないからだ。
 
トランプ大統領は結局、米朝会談の中止を選んだ。こうなると、北朝鮮が何を言おうと、米国は再び、軍事圧力を強めるだろう。中国も慌てているに違いない。仲介者として割って入ろうにも、破談にされては首を突っ込む余地がなくなってしまった。
 
いずれにせよ、もはや金正恩氏に「敗北」以外の出口はない。日米はここで結束を一段と強めるべきだ。
長谷川 幸洋
  ♪♪ さすがなご洞察です!!!!!!!