7月の東京は史上最高の暑さ 来月も猛暑予想

7月の東京の平均気温は観測史上最高となった(写真:Natsuki Sakai/アフロ)
 7月の東京の平均気温は28.5度と平年を3度以上上回り、1875年以降で最も高くなった。来月は再び、チベット高気圧が勢力を強めるため、暑さが厳しくなる予想だ。
144年間で最高の7月
 近年、暑い夏は多いけれど、今年もまた特別です。史上最速で梅雨が明けた東京はほとんど途切れることはなく暑さが続き、熱波といっても過言ではないでしょう。
【東京】梅雨明け後の日最高気温グラフ(2018年6月29日−7月26日,著者作成) 【東京】梅雨明け後の日最高気温グラフ(2018年6月29日-7月26日,著者作成)
 天気予報では冬の寒さを寒波と呼びますが、夏の暑さを熱波ということはほとんどありません。しかし、命にかかわる暑さを思えば、欧米のように危険を知らせる言葉として使われる日も近いと思います。
 東京都心では明治8年(1875年)から気温の観測が行われていて、今月の平均気温は28.5度(26日まで)と2004年と2001年に並び観測史上1位です。
【東京】7月の暑さランキング(月平均気温,1875年以降,著者作成) 【東京】7月の暑さランキング(月平均気温,1875年以降,著者作成)
 2014年12月には観測場所が大手町から北の丸公園に移転しました。環境が変化したため、北の丸公園はこれまでの大手町に比べ気温が低くなったことを考えると、今年の暑さは144年間で最高と言えそうです。
台風のあとは再び猛暑
 27日(金)の東京はくもりがちで、正午の気温は27.1度です。猛暑は一服していますが、台風12号のあとは再び、暑くなる見通しです。
 こちらは関東地方の上空約1500メートルの気温を予想したものです。
関東地方上空約1500メートル付近の気温予想(7月27日−8月6日,ウェザーマップ) 関東地方上空約1500メートル付近の気温予想(7月27日-8月6日,ウェザーマップ
 気温は上昇に転じ、来週は再び、暖かい空気に覆われる予想です。その後の予想はばらついていて、そのまま猛暑が継続するのか、少し収まるのか、定まっていません。
 長期的な予想では猛暑の原因とされるチベット高気圧が強く、猛暑は一度収まっても、またぶり返すことが考えられます。
 2010年は「113年間で最高の夏」と言われるほど暑さが厳しくなりました。あれからわずか8年で、記録を塗り替えるほどの暑さがやってくるとは想像していませんでした。打ち水をしても、エアコンを使ってもこの暑さから逃れることはできない。深刻化する猛暑を前に、なすすべがない思いです。
【参考資料】
気象庁:1か月予報,2018年7月26日発表
気象庁:3か月予報,2018年7月25日発表

三峡ダム決壊。そのとき、中国は? 日本は?

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flickr/Pedro Vásquez Colmenares
「ダム撤去」をテーマにしたドキュメンタリー映画ダムネーション』が来週公開なので公開準備に追われています。アメリカからは企画プロデューサー、マット・シュテッカーさんが来日するので来日イベントがあり、取材セッティングでも大忙し。
『ダムネーション』を配給するにあたって、ちょくちょくダムについて調べていますが、お隣中国の長江にある世界最大級のダム、三峡ダムについて衝撃的な現実を知ることになりました。
三峡ダム建設の歴史を少し振り返りましょう。建設が始まったのは1993年。完成は2009年ですから16年もの時間を要した大工事だったのですね。長さ570km、最大発電量は2250万キロワット(原子力発電所15基分)と何ともスケールの大きいこと。中国の年間消費エネルギーの1割弱の発電能力があるそうです。
そんな三峡ダムですが、想像を絶するレベルの犠牲を伴って完成していました。移住を余儀なくされた人なんと140万人!
そして、ダムによって長江流域の環境が変化。工場排水が流れこむなどして水質汚染も深刻で、水産物の水揚げ高は減少。生息している魚種も大幅に減少。揚子江カワイルカは絶滅したと見られています。
さらには生態系を壊すだけでなく、ダムが地震を誘発していることも明らかになっています。
カナダ・トロント(Toronto)のプルーブ・インターナショナル(Probe International)が公開した2010年の中国政府に調査結果によると、ダム周辺では2003年以降、大半はマグニチュード3以下と小規模ながら、地震の回数が30倍になった。
「ダム誘発地震」などという事態が起こりうることを知って唖然としましたが、比較にならない被害が予想されるのが、もし、三峡ダムが決壊した場合です。ガーディアン誌が三峡ダムに発見されたヒビについてレポートしていますが、決壊すれば、大量の水が津波となって猛スピードで下流域を襲い、大被害をもたらすことが予想されます。さすがに日本まで津波が押し寄せることはないでしょうが・・・。
これまでの被害や、万が一のこれからの被害を考えると、三峡ダムの建設は、誤りだったのではないでしょうか。
さて、以前の記事、「クレイジーな人々が新しい時代を創る!「ダム撤去」を常識に変えた"ダムバスター" 」で紹介したように、アメリカでは無用なダムを撤去していくことが活発化し、ダム建設の是非の議論が進んでいます。日本ではどうかというと、ダム立地地域での反対運動はあるものの、これまでに建設されたおよそ3千のダムのうち、撤去が始まったのはわずか1つ。熊本県の荒瀬ダムのみ。新規ダム建設の流れは変わらず、過去最大規模の予算を使う八ッ場ダムの建設が始まろうとしています。
三峡ダムの事例を知り、ダム(特に大規模)には想像を超えたリスクがあること、移住、文化の消滅、水質汚染、生態系破壊など、数えきれない負の側面があることを知りました。すべてのダムが問題ではないでしょうが、細かく見ていけば、不必要なダムはきっと数多くあるのでしょう。
ダムネーション』がきっかけで、ダムの存在意義についての議論が日本中で始まることを願ってます。