中国、ウイグル収容施設を合法化 国際社会は批判
2018/10/12 14:22 日本経済新聞より転載
【大連=原島大介】中国当局はウイグル族など少数民族を対象に、思想教育をする「再教育施設」を設置できるようにする条例を施行した。ウイグル族をめぐっては米議会が「空前の弾圧」として中国を非難するなど、国際的な批判が高まっている。中国は施設に法的根拠を与えることで、弾圧を正当化するねらいがあるとみられる。
新疆ウイグル自治区の人民代表大会常務委員会が9日、2017年に制定した「脱過激化条例」を改正し、新たに条項を盛り込んだ。それによると、自治区内の下級政府に「職業技能教育訓練センター」を設置するよう求めている。
同センターは、中国当局が過激思想の影響を受けたとみなした人を対象に、強制的に収容する再教育施設にあたる。ここではウイグル語の使用を禁じ、思想や行動を矯正して「社会復帰」させる役割を担う。条例に違反すれば処罰の対象になるという。
これに対し、中国外務省の陸慷報道局長は11日、「テロの予防・摘発という正当な行為に対するデマや事実でない指摘には断固反対する」と述べた。今回の条例施行も再教育施設の設置を法制化することで、国際社会の反発を回避する思惑があるようだ。
中国の人権問題については、国際社会からたびたび批判が起きている。10年にノーベル平和賞を獄中で受賞した民主活動家、劉暁波氏は適切な治療を受けられないまま死亡。チベット自治区でもチベット族の弾圧が続いている。