ウクライナで中国人の集団出国開始 勧告出さず、後手の対応
【北京時事】在ウクライナ中国大使館は、現地の中国人6000人以上の集団出国を開始した。 【写真特集】ロシア軍ウクライナ侵攻 中国メディアによれば、第1陣の留学生ら600人が2月28日、陸路で退避した。中国はロシアと緊密な関係を誇示しながら正確な情報を把握していない可能性があり、ロシアの侵攻前に避難勧告を出さないなど対応が後手に回っている。 1日の共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版(電子版)によると、600人はキエフと南部オデッサから出発。キエフからの一団は大使館員や現地警察官も随行し、6時間かけて隣国モルドバに到着した。大使館は当初、航空機のチャーターを検討したが、危険性を考慮し見送った。1日は1700人が隣国へ向け移動した。 ロシアが近く侵攻すると切迫した警告を米側が発信しても、中国側は正面から受け止めなかった。環球時報は2月19日、「米国の電話詐欺的やり方に要警戒」と題する社説を掲載。デマで危機をあおっているなどと主張し、世論をミスリードした。 ロシアが侵攻した2月24日、中国大使館は自国民向け通知で「パニックにならないで」と強調。自宅で待機し、車両で移動する際は目立つ位置に中国国旗を張るよう推奨した。ロシア、ウクライナ両軍からの攻撃を避ける狙いとみられる。 ところが、反米意識が高まる中国のインターネット交流サイト(SNS)では、中ロの対米共闘姿勢も影響し、ロシアを支持する一方で「ウクライナの美女を引き取ろう」などと同国をおとしめる書き込みが氾濫。ウクライナの対中感情が悪化した。中国大使館は2月26日の通知で、安全上のリスクが生じているとして、中国人と分かる物を掲示しないよう促した。 范先栄大使は「ウクライナ人を刺激してはならない」と呼び掛ける文書を発表。「中国の対ウクライナ政策はずっと友好的だ。独立、主権、領土保全を尊重している」と説明した。中国政府は北大西洋条約機構(NATO)の拡大に反対するロシアに賛同しながら、ウクライナの領土保全を訴えるあいまいな立場で一貫する。 中国外務省の汪文斌副報道局長は28日の記者会見で、侵攻前に自国民を避難させなかったことをめぐり「情勢の変化が速かった。中国外務省と大使館は昼夜を問わず仕事し、国民・企業の安全を守っている」と釈明に追われた。
中国、ウクライナ民間人の保護を訴え-ロシアへの姿勢に変化か
(ブルームバーグ): 中国の王毅外相はウクライナの民間人に危害が及んでいる事態を「極めて憂慮している」と、同国のクレバ外相に電話会談で伝えた。両外相の会談はロシアのウクライナ侵攻後で初めて。
王外相はさらに「戦争が拡大を続ける中、最優先すべきは緊張の緩和だ」と強調。紛争のエスカレートや制御不能の事態、特に民間人への危害を防ぎ、人道支援への安全かつタイムリーなアクセスを確保するためだと説明した。
王外相はウクライナに残る中国人の安全についても懸念を表明した。中国外務省のデータによれば、戦闘開始時の在ウクライナ中国人は約6000人に上る。原題:China Urges Protection of Ukraine Civilians in Shift from Russia(抜粋)(c)2022 Bloomberg L.P.Bloomberg News
日本人思い出せ! 戦後の朝鮮半島からの脱出、北方領土からの脱出、大陸からも脱出、 我々の爺様やばあ様や父母が ロシア兵や 三国人に蹂躙されたことは一切忘れてないかい!
バイデン氏「独裁者の侵略に代償を」 一般教書演説で露への制裁訴え
バイデン米大統領は1日夜(日本時間2日午前)、連邦議会の上下両院合同会議で、今後1年間の内政・外交の施政方針を示す一般教書演説を行った。ロシアのウクライナ侵攻に関して「歴史の教訓として、独裁者に侵略の代償を払わせなければ、混乱が生じ、米国と世界への脅威は高まり続ける」と訴え、同盟国やパートナー国と連携し、制裁でロシアへの圧迫を強める考えを示した。 バイデン氏が一般教書演説をするのは、2021年1月の就任後初となる。「世界のリーダーとして国際規範のために立ち上がる重要性」(サキ大統領報道官)を強調し、対ロシア制裁やウクライナ支援の重要性を訴えた。 演説では、ロシアのプーチン大統領が「外交努力を拒絶した」と非難し、「彼は米欧諸国や北大西洋条約機構(NATO)が対処せず、米国内を分断できると考えていたが、間違っていた。我々は備えができていた」と結束を誇示した。 新たな対抗措置として、ロシア航空機の米国での離着陸や上空通過を禁止する意向を表明した。欧州連合(EU)やカナダなどが同様の措置を発表しており、足並みをそろえた。一方で、原油価格の高騰など経済への悪影響に対処する方策も説明した。 国内向けには、約40年ぶりの高水準となっている物価上昇(インフレ)への対応策として「国民の費用負担を下げ、車や半導体の国内製造を増やし、インフラや技術革新を充実させる。物流を速くし、物品を安くする」と決意を示した。雇用創出や失業率の改善、新型コロナウイルスのワクチン普及など、政権発足から1年の「成果」もアピールした。 さらに投票権の保護や警察改革など、積み残しになっている政権の優先課題について、議会に関連法案の審議促進を求めた。 バイデン氏の支持率は21年後半から低迷し、2月20~24日の米紙ワシントン・ポストとABCニュースの世論調査では政権発足後最低の37%に落ち込んだ。ウクライナ情勢への対応も33%しか支持を得られていない。22年11月に上下両院選を含む中間選挙を控えている。一般教書演説では反転攻勢に向けた道筋を打ち出したい考えだったが、ロシアのウクライナ侵攻が影を落とし、先行きの不透明感が増している。【ワシントン秋山信一】
内臓ブルブル震える寒さ…戦火逃れて国境目指す人々、不安もピークに
ウクライナに侵攻したロシア軍の攻撃が激しさを増す中、戦火を逃れた避難民がウクライナ西方のポーランド国境に殺到している。彼らを待ち受けていたのは、疲労と寒さ、不安が襲う過酷な道のりだった。 【写真特集】ポーランド国境に殺到する人たち、幼い子も
ウクライナ西部リビウの街は静まりかえっていた。4日前までの喧騒(けんそう)がうそのようだ。2月27日朝、市中心部のホテルを出た。前日まで鳴り響いていた空襲警報のサイレンも、この日は鳴らなかった。人も車もほとんど通らない。
ロシア軍の工作員が市内に侵入しているとの情報が、数日前から飛び交っていた。警察が市内各所で車両やブロックを使って道路を塞ぎ、検問を実施していた。検問を通るたびに、身分証を入念にチェックされた。
市中心部から車で約60キロ・メートル走ったところで、3度目の検問に止められた。渋滞のため、この先は国境を越える車しか通さないという。ここでリビウ在住の運転手に別れを告げ、国境まで26キロ・メートルの道のりを歩くことにした。
まっすぐに延びる一本道が、視界の先まで続いていた。大きな荷物を持った避難民が、一様に西を目指して車道の脇を歩いてゆく。
歩き疲れ、バス停のベンチで休む人たち(2月27日午後3時34分、ポーランド国境の手前17キロ付近で)
スーツケースを引きずる人、衣類と食料を詰め込んだビニール袋を両手に持つ人、大きな荷物を持たず、毛布にくるまりながら歩く人、猫を連れている人もいた。道端には、荷物を軽くするために捨てられたのか、スーツケースや衣類が散乱していた。
所々で休憩を挟み、互いに声を掛け合った。歩き始めて30分後、リビウの方からサイレンが聞こえた。逃げる場所はない。誰も振り返らず、歩みを止めなかった。
集落を通りかかると、村人たちが炊き出しを行っていた。物流が滞る中だというのに、お茶やスープ、パンやリンゴを惜しみなく差し出す。「プーチンくそ食らえ!」と叫ぶ人もいた。
厳しい寒さの中、たき火をして寒さをしのぐ(2月28日午前4時24分、ポーランド国境の手前3キロ付近で)
夕方、雪が舞い始めても、避難民は無言で歩みを進めた。歩き始めて9時間後の午後8時半頃、国境まであと3キロ・メートルの地点で、治安部隊が道路を封鎖していた。ここから先は150人ずつしか通行が許されない。300人以上が並んでいた
多くの避難者が押し寄せたポーランドの国境検問所(2月28日午前9時5分)
気温は氷点下2度。内臓がぶるぶると震えるような感覚が続いた。治安部隊が用意してくれたたき火を囲んで暖を取った。
後ろから、急に叫び声がした。治安部隊が駆けつけ、1人の避難民を木の棒で殴り始めた。順番を巡るトラブルがあったのか、原因は分からないが、治安部隊に突っかかる人もいた。寒さと不安がピークに達し、人々は感情的になっていた。
冷え切った車道で待ち続けて約8時間後の28日午前5時頃、ようやく通行が許可され、3キロ・メートル先の国境の検問所に向かった。
(記事 笹子美奈子、写真 三浦邦彦)