ウクライナのオリガルヒ[編集]
ウクライナでもソ連崩壊以降ロシア同様いくつかのオリガルヒが誕生し、2019年現在においても、ウクライナの政治・軍事・経済に強い影響力を持っており、国内の混乱を招いている。親露派のオリガルヒとしては元大統領のヴィクトル・ヤヌコーヴィチが有名であり、一大グループを形成していたものの、2014年の政変後に資産が没収されるなど、影響力を失ったとされる。また、元首相で親欧米派のユーリヤ・ティモシェンコも新興財閥の一人であり、1995年から1997年まで、ウクライナ統一エネルギーシステムの社長を務め、1996年には、ロシアからの天然ガスの主要な輸入業者になり「ガスの女王」と呼ばれた他、海賊版ビデオ商品の密造・密輸など違法な方法による収益で多額の資金を得たとされる。
2014年現在で、ウクライナで最大の富豪はタタール人のリナト・アフメトフで東部ウクライナに最も大きな影響力を持ち、もともとはヴィクトル・ヤヌコーヴィチと関係が深かったが、2014年のウクライナ政変後は、その関係は不透明となっている。第二番目の富豪はイスラエル国籍も持つユダヤ人のイーホル・コロモイスキーで、アメリカやイギリス、イスラエルといった西側諸国と接点が多く、親欧米派オリガルヒの筆頭格である。2014年に親欧米派政権よりドニプロペトロウシク州の知事に任命され、氏の親衛隊的な独自の軍隊を持ち、親露的な分離独立派に対する強硬的な攻撃の中心的指導者とされる。前大統領のペトロ・ポロシェンコも国内有数の大富豪で、チョコレートの商売で富をなしたため「チョコレート王」と言われ、元大統領で親欧米派のヴィクトル・ユシチェンコ、親露派の元大統領のヴィクトル・ヤヌコーヴィチの双方のもとで閣僚入りして、ついに大統領となった。しかし2019年の大統領選でウォロディミル・ゼレンスキー(コロモイスキーとの関係が深いとされる)に敗れた。
その他、レオニード・クチマ元大統領の娘婿のヴィクトル・ピンチュクやパーヴェル・ラザレンコなどのオリガルヒがいる。
ウクライナは依然として、オリガルヒに資金が流れる仕組みができており、国内経済・政治の停滞の要因の一つとなっている。また、それぞれロシアやアメリカ合衆国、イスラエル、イギリスなどとつながりが深く、資金集めを焦点にして、個々の政治的立場に大きく影響している[6]。