パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

中国の訪日観光客が戻ってこない、 政府の馬鹿議員どもは今でも インバウンドの中国人や 留学生の来日を夢見る、 こんな連中は 選挙で落とせ!!!!!!

中国の訪日観光客が戻ってこないかもしれない、これだけの深刻な理由

姫田小夏:ジャーナリスト
 
国際・中国China Report 中国は今
 
     
中国の訪日観光客が戻ってこないかもしれない、これだけの深刻な理由アジアからの訪日観光客を待つ新宿の商業施設(22年7月、筆者撮影)
 

日本政府は外国人観光客の入国を6月10日から再開し、中国を含む98の国と地域からのツアー客の受け入れを開始した。しかし、中国人観光客は今のところ動き出す気配はない。2019年には959万人に達した中国人観光客は、コロナとともに“蒸発”したままとなっている。(ジャーナリスト 姫田小夏)

「海外旅行なんてあり得ない」

 上海市では6月24日、市中の新型コロナウイルスの新規感染者がついにゼロとなった。「勝利宣言」が出された上海では、緊張状態はだいぶ緩和され、外食もできるようになった。何事にも機先を制する上海市民なので、中にはすでに“旅支度”を始めている人がいるかもしれない…そう思って上海の友人に聞いてみたら、「海外旅行なんてあり得ない」と一笑に付された。

 機はまだ熟してはいないようだ。

 日本のインバウンド市場が中国人観光客でにぎわいを見せるには、航空券の予約のしやすさ、割安な航空運賃、帰国時の隔離政策がカギとなる。これを左右するのは習指導部のゼロコロナ政策であることは言うまでもないが、依然厳しい規制が敷かれ、中国の国民は気軽に海外渡航できない状況にある。

 たとえば、航空券の予約のしやすさにつながるのは航空機の座席数だが、これが潜在する需要に追いついていない。

 というのも、2022年3月末、中国航空当局が中国国内の航空機について「各国1路線、週に1往復」に縮小させてしまったためだ。外国の航空会社についても同様に、中国との航空路線を1路線、週1往復に限定した。その後運行状況は毎月更新されつつも、日本航空の場合は北京便、上海便とも7、8月は運休状態にある。

 こうした状況を反映してか、上海から日本への航空運賃は異常な値上がりとなっている。7月上旬の航空運賃を検索してみると、上海浦東国際空港から成田国際空港へは、中国の航空会社利用で、片道かつ香港経由・エコノミークラスという条件ですら8000元(約16万円)を超えていた。2019年まで中国の航空会社の上海直行便は5万円程度で往復ができていたから、かなり高額だ。

 年間3回の訪日旅行が趣味だったという上海・浦東新区在住の陳佳楠さん(仮名)は「座席数が限られる中で航空券の価格が高騰しています。留学生やビジネスマンも海外渡航が困難となっている状況で、観光客が海外に出て行くなんて、とても考えられないです」と話す。

中国当局が設ける海外との壁

 もっとも金に糸目をつけなければ、海外旅行を試みることはできる。

 上海に拠点を置く旅行会社の担当者は「便数は減ってはいますが、高額な航空券を購入できるなら個人での海外旅行はできる、という建前となっています」と話す。

 一部では減便は緩和に向かうという報道もあり、隔離政策についても「14日間の集中隔離+7日間の自宅健康観察」を「7日間の集中隔離+3日間の自宅健康観察」に短縮した。今後は正常化が期待できそうな気配も漂う。

 だが、今あるのは        「中国から出るな」という出国制限だ。

 国家移民管理局は5月12日、「中国国民の不要不急の出国を厳しく制限し、出国や入国のために必要な書類や理由を厳格に審査する」と発表した。外国からのウイルスの侵入と、国内の感染のリバウンドを防ぐためというのが主な理由だが、「必要な場合を除いて」との前置きはあるにせよ、「中国から出るな」という強いメッセージである。

 “建前”としては、パスポートがあり、航空券の予約があれば出国できるわけだが、今のところ空港の出入国管理官による“出国目的の尋問”を免れることは難しいだろう。また中国政府は昨年8月、パスポートの発行についても緊急の場合を除いて大幅に制限し、「当面は発行を行わない」(国家移民管理局)と発表、国民の自由な移動に制限をかけている。

海外旅行はぜいたく消費と捉えられる?

 コロナがまん延する前の2018年には、年間延べ1億5000万人の中国人が楽しんだ海外旅行(旅行消費は2770億ドル、数字は中国文化観光部)だが、気になるのは、財政難のため倹約令を唱える習指導部に国民の海外旅行がどう映るのか、ということだ。

 格差縮小のため富の分配を目指す共同富裕路線を掲げた習指導部は、「海外旅行はぜいたく消費だ」とも言いだしかねない。また、外貨準備高の減少を避けるためには、海外旅行での国民の散財も制限したいところだろう。あるいは、「海外で使う金は国内消費に回せ」という大号令がかかる可能性もある。

 目下、緊縮財政を敷く習指導部は公務員に対して、出国にかかわる費用、公用車の購入と運行にかかわる費用、公務接待費にかかわる費用の“三大経費”の圧縮を掲げており、「それら経費は2019年の81億元(約1620億円)から2021年には51億元(約1020億円)に削減された」(中国メディア「央広網」)。習指導部は、会議、出張、研修などにかかる移動経費も削減したい意向だ。

 日本のインバウンドを盛り上げた団体ツアーの中には、会議や研修・視察を名目にしたツアーも少なくなかった。しかし、このような緊縮財政下では公務員も海外渡航どころではない。ましてや民間企業に目を向ければ、ゼロコロナ政策で疲弊しインセンティブツアーどころではないだろう。頼みの中間層も“大失業時代”に直面し、それこそ海外旅行を楽しむ気分にはならないかもしれない。

海外旅行商品の販売はまだ

 今回、日本政府が解禁の対象にしたのは、中国を含む98の国と地域からの団体旅行客の訪日旅行だが、前出の旅行会社の担当者によれば「中国から海外に行くアウトバウンド業務の取り扱い開始の許可が下りておらず、今も弊社では海外旅行商品の販売は行っていない」という。

 中国側のアウトバウンドとは、日本からすればインバウンドを意味するが、コロナがまん延してからは、中国の旅行会社の中にはアウトバウンドの部署を丸ごと閉鎖してしまった企業もあった。この旅行会社も、海外に送客するアウトバウンド業務は復活していない。

 今後の動向を決めるのはゼロコロナ政策次第だが、「人の移動が厳しく制限される中国のゼロコロナ政策は、この先3年から5年は続くだろう」と予測する中国の政治学者もいる。ロックダウンは将来的にも繰り返される恐れもあるというわけだ。実際、上海でも再封鎖されるマンションが出てきている。

 もっともそれ以上に懸念されるのが、中国政府が意図的に観光客を送らなくなる可能性だ。一時期、中国人観光客が大挙して押し寄せた台湾も、アメリカ寄りの蔡英文政権が発足してからは鳴かず飛ばずとなった。その時と同じパターンで、日本がアメリカ寄りの立場をより強めれば、中国人団体客を“手札”として切ってくることもあるだろう。

 東アジア情勢に深い霧が立ち込める中、コロナとともに蒸発した中国からの“客足”は、一時的に戻ってきたとしても、「いつまた途絶えるのか」というリスクと常に背中合わせの状態にある。