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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)2月17日(土曜日)
通巻第8136号 <前日発行>
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やっぱり財布は底をつきかけていた
旧正月の中国、90億人が移動する筈だったが。。。。
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パール・バックの名作は『風と共に去りぬ』。英語はGONE WITH THE WINDである。
「去った](GONE)と『サウスチャイナ・モーニングポスト』が皮肉を込めて報じた(2月16日)。中国の経済繁栄がおわり、不動産バブルが破綻し、贅沢を楽しんだ時代が去った、と多くの中国人が認識している実態を伝えた記事である。
中国の旧正月といえば獅子舞ならぬ龍舞いが練り歩く。世界中のチャイナタウン名物で凄まじい人出がある。コロナ禍があけて、旅行ブームが再開、旧正月の八日間の連休には90億人が移動すると当局が薔薇色の予測を出していた。
旧正月がおわり、雇用の鳴る人は職場に戻る。失業者は職探しの続き。どれほどの人が動いたのか、最終統計はまだ発表されていないが、中間報告的な数字を見てみよう
2月14日、この日一日だけの中国新幹線乗客は1425万人だった。上海から杭州、蘇州などの名勝見学が圧倒的で短距離が特徴。1月26日から2月14日までに中国の国内新幹線を利用した人は2億3000万人だった。
「安い、近い、短い」(安近短)が合い言葉、杭州から香港への「日帰り」ツアーも新記録となり、また日頃地方の庶民とは無縁の北京、上海、哈爾浜への国内旅行もやや盛況だった。
香港旅行がなぜ「日帰り」かと言えば、店が完全に休みとなって買い物が出来ないこと、ディズニーはアトラクションが少なくて魅力に乏しく、幸運の占い、神頼みは黄大山へ行く。そもそも香港人は自由を弾圧されたため中国人を歓迎しない。
かわりに中国人が集中したのはマカオだった。通年でも一日平均12万人の博徒が襲来するが、旧正月は一日平均20万人、旧正月五日間で90万人にのぼった。不景気だと、逆にギャンブラーが増えるわけだ。
海外旅行の行き先はタイ、次にマレーシア、シンがポールである。いずれも中国人にはビザが不要。また格安航空券も稼ぎ時なのに、上海─済州島が2・6万円、昆明からシンガポール往復が2・8万円だった。
タイは中国人ツアーが二倍となって入国審査に三時間。旧正月期間中、45万人強が訪れた。通俗的にエメラルド寺院や暁の寺にも行くが、中国人ツアーがまっさきに行くのはバンコックやチェンマイのチャイナタウンである。
あれほどの日本ブームはやや冷却した。中国人のアンケートで「一番行きたい国」のトップは日本だった。2019年のピーク時、中国人の日本旅行は960万人だった。2023年は回復基調だったとは雖も、往時の四分の一、240万人だった。
インバウンドを期待した旅行業者の思惑はおおきくはずれ、ツアー客が殆どいなくなった。個人旅行が増えたのはビザの関係と言われる。日本において嘗ての「爆買い」は蒸発したが、来日客は宝石、宝飾品、骨董に狙いを定めた。
たとえば年代物のウイスキー。昭和の郷愁が残るフィルムカメラも骨董品でかれらの投機対象となる。一本三十万円もする包丁に名前を彫ってもらう一点買い。ブランド物もまだ人気があるものの、換金能力の高い順番に物色しているのが実態である。
日本製の日常実用品も人気がある。とくに医薬品、それも目薬から胃腸薬、化粧品、オロナイン軟膏の人気は高く、ドンキホーテでは「消せるボールペン」とかステンレスボトルとか、日本人があまり興味を聞かない品物が売れる。
日本でも風景が変わった。
外国人観光客のインバウンドは盛んだが、最大の理由は円安である。ドルの所有者なら嘗て200ドルだったビジネスホテルが120ドルくらいで宿泊できる。レストランは北東アジアのなかで一番安い。
「おもてなし」は世界的に有名で珍しくもない。観光地で騒がしかった中国人がほとんどいない。白人系、それも高級ホテルか、民宿組にはっきりと分かれた。ニセコも団体客はほとんど不在、個人旅行がスキーと温泉を楽しんだ。著者の近所に外国人で賑わう民宿的なホテルがあるが、早朝から深夜まで大きな荷物をごろごろと音たてて、地下鉄駅を往復しているのは白人が多い。あの中国人はどこへ行ったのか?
◎◎み○☆や◎☆ざ○☆き◎☆◎ま○☆さ◎☆ひ◎◎ろ○☆
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