14歳の少年が小学生を残虐に殺した神戸連続児童殺傷事件は、今なお記憶に残る。だが、こうした重大な少年事件の記録の大半を裁判所が廃棄していた。近ごろ発覚した事実に、驚いた人も多いのではないか。「裁判記録は歴史資料。残すべきだった」と語るのは、元法務大臣の上川陽子衆院議員(70)だ。初代公文書管理担当相でもある上川さんを東京・永田町に訪ねた。
「神戸の裁判記録は、必ず残さなければいけない文書でしたよね。それこそ世間、社会全体に極めて大きな問題を突きつけた事件ですから。廃棄されたと聞いた時、私もなぜ?と思いました」。上川さんは、驚きを隠せないといった表情を見せた。