パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

「チベット語よりも中国語の方がはるかにうまい。このことには複雑な思いがある」

「流暢な中国語」への憂鬱

チベット語よりも中国語の方がはるかにうまい。このことには複雑な思いがある」。インタビューに応じたチベット人の女性は流暢(りゅうちょう)な中国語でこう切り出した。女性は3月、中国からヒマラヤ山脈を越えてネパールを抜け、チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世が住むインド北部ダラムサラに亡命した。

なまりのない自然な中国語は〝教育〟によるものだ。中国はチベット人に対し、チベット語の使用を制限し、中国語を強要する同化政策を進めている。教育現場で体系的に学んだ経験が乏しいため、女性は特にチベット語を読むことが苦手だという。

記者が10年以上前、中国・チベット自治区を観光で旅した際、中心地ラサにあるポタラ宮前の道路が「北京中路」という中国風の名称だったことを思い出した。ポタラ宮は歴代ダライ・ラマの居住地で、チベットの象徴とも言える場所。眼前を走る道路に付いた中国風の名前は、同化政策を象徴するように思えた。

ダライ・ラマ14世がチベットを脱出して60年以上。女性はチベット語は「あと2、3世代で使われなくなるかもしれない」と指摘した。「チベット人チベット語を話し、書くべきだ」と述べた言葉には、民族の文化が失われることへの切実な危機感がこもっていた。(森浩)