パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

☆救う会全国協議会ニュース★1月29日、第126回東京連続集会が文京区民センターで開催されました。

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2024.01.31)2024年の国際情勢と拉致問題

 

■2024年の国際情勢と拉致問題

 

1月29日、第126回東京連続集会が文京区民センターで開催されました。

 

1月5日、金正恩委員長が岸田文雄首相宛に能登半島地震へのお見舞いの電報

を送りました。「自分の名前で岸田首相宛にお見舞い電報を送れ」と金正恩氏が

命じたのです。岸田政権は核・ミサイルと拉致を切り離し、人道支援を表に出し

て拉致を先に動かそうとしています。この電報はそれに対する前向きな回答です。

 

北朝鮮は、日本だけでなく米国や韓国の情勢を視野に入れて動きます。古森義

産経新聞ワシントン駐在客員特派員が米国情勢を、久保田るり子國學院大学

員教授が韓国情勢を、西岡力救う会会長が北朝鮮情勢を語り、その上で3人で被

害者救出のために何をすべきか討論しました。

家族会から横田哲也さんも参加。

 

◆国民の大きな声こそが大きな力

 

横田哲也(横田めぐみさん弟、家族会事務局次長)

 

皆さん、こんばんは。お忙しい中お出で頂きありがとうございます。

 

一昨日土曜日に宮崎県で「国民のつどい」が行われ、そこには林芳正・拉致問

題担当大臣兼内閣官房長官がいらしたので、当初はその話をしようと思っていた

のですが、急遽(話題を変えて)、違う話をしたいと思います。

 

先月末ですが、「ビヨンド・ユートピア 脱北」という映画を見ました。もし

かしたら参加者の皆さまも見られたかもわかりません。あるいはネット上で見ら

れたかもしれません。

 

韓国の牧師さんが脱北者を支援して、様々な苦難を乗り越えながら脱北してい

くというドキュメンタリー映画です。二つの家族を取り上げて、その様子を聞く

という内容でした。

 

その中でも描かれているのですが、国自体が仮想刑務所であり、脱北者を通し

北朝鮮の悲惨さや、この世の地獄とはこういうことなのかということが分かる

内容でした。

 

この映画を見る時、日本人拉致被害者もこの国で24時間監視下の中で生きて

いるのだろうと思いました。この時期ですから北朝鮮はとても寒く、マイナスの

気温だろうと思います。

 

日本とは違ってエネルギー事情が非常に悪いので、辛い生活を強いられている

と思います。

 

この厳しい環境に関して、不満を口にしようものなら、体制への挑戦と見なさ

れて強制収容所に連行され、下手をすれば本当に殺されてしまうという状況にあ

ることを考えると、一日でも早く奪還しなければならないと思いつつ、見ていま

した。

 

日本政府においては今以上に、北朝鮮政府に対して、怒りを持って「返せ」と

言ってほしいと思います。

 

万一、有本のお父さんや私の母に何かあった場合、その後日本人拉致被害者

帰ってきても誰も喜ばないぞ、と。その時は日本中が北朝鮮への支援反対の雰囲

気が増すだろうと思っていますので、北朝鮮にとっても時間がないことを改めて

感じてほしいと思います。

 

仮に北朝鮮側が、日本の思いを理解して日朝トップ会談が行われたとしても、

ご存じの通り北朝鮮という国は嘘をつきますので、日本政府は北朝鮮の嘘に騙さ

れないでほしいと思います。

 

「全員の即時一括帰国」を主張してほしいと思いますし、「日朝双方に連絡事

務所を置き、被害者を一緒に調査しましょう」というような、全く意味のない工

作に乗らないようにしてほしいと思います。

 

岸田総理、林大臣にはそういうことがないようにと既に申し上げていますが、

万が一「全員の即時一括帰国」と強く出るつもりでも、外交ですから揺らぐこと

もありえます。

 

そういう時、国民の皆様の大きな声こそが大きな力だと思っています。引き続

き日朝の進展具合を見ながら、政府が作っている「必ず取り戻す」というこのチ

ラシのように、主権国家であることを示し続けたいと思いますので、ご支援宜し

くお願い致します。ありがとうございます(拍手)。

 

◆ゲスト紹介

西岡力救う会会長)

 

今日は豪華ゲスト二人に来ていただきましたので、皆さんは得をしたと思いま

す。ジャーナリストではありますが、拉致救出運動にずっと関心を持ってこられ

た方々です。この席でも何回もお話をしていただいています。二人とも大学教授

もしておられます。

 

古森義久さんは、「産経新聞」のワシントン客員特派員で、家族会・救う会

2001年に最初に訪米した時から古森さんに会ってきました。また奥さんのスー

ザン・古森さんは救う会の在ワシントンアドバイザーとしてずっと助けていただ

いています。

 

久保田るり子さんは、「産経新聞」のソウル特派員を長くしておられて、私も

ソウルに行った時はよく会っていました。帰られてからも教えてもらうことが多

いと思っています。

 

古森さんにはアメリカから見た北朝鮮問題と拉致問題、今年国際情勢がどう動

くかについて話していただきます。

 

久保田さんには韓国から見た北朝鮮問題と拉致問題で、韓国では4月に総選挙

があります。韓国の国会は一院制で、総選挙はどうなるか。今は野党の方が多い

ので、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、政権運営が難しいのです。

 

尹政権になって日韓関係はよくなってきていますが、総選挙後の韓国情勢が拉

致問題にどんな影響を与えるのかについてお話いただきます。

 

私は、北朝鮮についてお話します。北朝鮮では、前代未聞の大きな変化が起き

ています。その背景と今後については、専門家の意見は割れていますが、前代未

聞の大きな変化が起きていることについては意見が一致しています。それが拉致

問題にどういう影響を与えるのか。

 

金正恩委員長は岸田首相に、「閣下」という敬称で電報を打っています。それ

らを分析したいと思います。最後に三人で討論したいと思います。

 

拉致問題(暴力)を取り締まるには力が必要だが

 

古森義久(「産経新聞」のワシントン客員特派員、麗澤大学特別教授)

 

こうして来ていただき、拉致問題へのご関心、ありがとうございます。

 

私も2001年頃から、拉致問題解決のためにアメリカの協力を仰ぐという趣

旨で色々な活動をさせていただきました。哲也さんが「主権国家」という言葉を

使われましたが、主権国家日本の国民が、不当に外国に何人も拉致されているの

に、なぜ自分たちの力で解決できないのか、なぜアメリカに頼らなければならな

いのか。

 

答えは明快です。アメリカが超大国だからです。日本の同盟国でもある。なぜ

日本はもっとできないのか。なぜアメリカに頼らなければならないのか。やはり

これは、「力」ということになってしまう。

 

アメリカは北朝鮮を意のままにできる力を持っている。拉致問題は力です。暴

力です。外交交渉になっていますが、本質は犯罪です。犯罪を取り締まるには力

が必要です。

 

その力を、海を越えた場合は日本は一切使ってはならないという国のあり方を

続けてきた。アメリカに協力を求めると考えた時、日本で一体何なんだろうと考

えてしまいます。

 

北朝鮮が時々とんでもない行動をとった時には、「国家の存在を停止させる」

と言った人もいます。リチャード・アーミテージ氏(海軍出身、国務副長官)も

言ったし、トランプ大統領は、「抹殺するぞ」とも言った。

 

この「力」。力を使おうと思えば使えるということは、わが日本では長い間捕

らわれてきた国民同胞を取り戻さなければならいということです。しかし、なに

もできない日本ということを改めて思うところです。

 

アメリカが北朝鮮と対峙する時に、何が一番問題かというと、やはり核問題で

す。北朝鮮核兵器開発を止めさせることです。もう一つは同盟国韓国を有事の

際、条約に基づいて守るということです。それに付随して日本との緊密な同盟関

係というものがあります。

 

そのアメリカの北朝鮮への対処については、私も長い間ワシントンにいて色々

思いつきます。1994年には米朝枠組合意をやりました。北朝鮮核兵器を作

ろうとしていることをアメリカが知り、それを止めさせる交渉をやって協定を結

んだ。

 

この時は、北朝鮮は核の平和利用ということで核開発をしていると言っていま

したが、北朝鮮が核開発を止める代わりに、電力を得られる軽水炉を2機作るこ

とになった。その資金は日本と韓国が出すことになった。

 

当時の対北交渉責任者だった、国務次官補のガルーチという人から話を聞いて、

「なぜ日本が出さなければならないんだ」と言ったら、「金日成政権は必ず崩壊

する。だから軽水炉を作ろうとしている時にいなくなるから実際にお金は出さな

くていい」と言っていたのです。

 

そのアメリカ側の認識の意味というものはそれほど複雑で、アメリカもいくつ

もの間違いを犯しながら北朝鮮と取り組んできた歴史があるわけです。

 

今のアメリカは、日本人拉致問題の解決に何をしてくれるのか、どんな行動が

とれるのかという1点に関心が集まるわけですが、その答えを探すには、アメリ

カがどのような対北政策を取っているのかを見る必要があります。

 

私も歴代政権の対北政策、態度を見てきましたが、現政権は北朝鮮に関する議論

や動きが少ない。トランプ政権と比べると、今のバイデン政権は、北朝鮮問題で

語る、提起することが極めて少ない。

 

議会には少し動きがありますが、以前と比べると少ない。ワシントンには多く

シンクタンクがありますが、活発ではない。マスコミも当事者たちが語らない

ので北朝鮮問題を報じない。

 

(2古森後半につづく)

■2024年の国際情勢と拉致問題2

 

北朝鮮問題に関心がうすいバイデン政権

 

古森 例外もありますが、全体的に見ると北朝鮮問題に関して低調というか、関

心の低下が見られます。一つは、バイデン政権の政策による。あまり北朝鮮問題

を重視しない。二番目は、バイデン政権だけが悪いのではなく、今のアメリカに

とって、北朝鮮問題以外に緊急の対処をしていかなければならない課題が次々と

出てきています。

 

ロシアによるウクライナ侵攻、最近のハマスイスラエル攻撃、中国が益々軍

事攻勢を強めているという状況で、なかなか手が回らない状況があります。

 

その中で北朝鮮の軍事動向、特に核に関する動向は、アメリカの国家安全保障

にとっても重大なできごとですから、最小限必要な注意は向けられています。外

から見ていて分からない部分も多いのですが、ワシントンでは民間の研究機関の

行動が分かりやすい。

 

2つの所が、コンスタントに北朝鮮の状況を追っています。1つは皆様もご存

じのCSISという戦略国際問題研究所で、ここに朝鮮研究のグループがあります。

国家安全保障会議等で活躍したビクター・チャという極めて優秀な韓国系のアメ

リカ人の学者がいて、ずっとフォローしています。

 

もう一つは、日本側でも報じられることはないんですが、「アメリカ第一政策

研究所(America First Policy Institute)」というのがあります。これは新し

い研究機関ですが、名前が象徴しているように、トランプ陣営の研究機関です。

これはトランプ政権が北朝鮮問題には特別の関心を払っており、資源を投入した

こともあり、北朝鮮問題をずっとフォローしています。バイデン政権には当然厳

しい態度を示しています。

 

バイデン政権の北朝鮮に対する姿勢ですが、その特徴は軍事面での動きがない

ことです。北朝鮮と対峙するには軍事が大事だというのがトランプ政権でしたが、

バイデン政権は軍事について語らない。

 

とにかくバイデンさんは、トランプがやったことには何でも反対する人で、選

挙中も就任当初も、トランプ氏は金正恩と1対1でやりましたが、バイデン氏は

無法国家のような国を認知するのかと非難を続けてきました。

 

もう一つ、それより大きいのは、民主党バイデン政権というのは、軍事をなん

となく避け、仲良くして話し合えばいいんじゃないのという姿勢で、日本の政府

と似たような感じがあります。

 

先ほど申し上げたCSISアメリカ第一政策研究所は、中国や北朝鮮の軍事動向

をきちんと見ています。具体的には核兵器開発への動き、ICBM発射の動き、極超

音速ミサイル、中距離弾道ミサイル、準中距離弾道ミサイル、短距離弾道ミサイ

ル、巡航ミサイル、潜水艦発射ミサイルを北朝鮮が次々と発射していますが、こ

れの一つひとつを細かく追ってモニターし、どの程度やっているかを見ています。

 

そのことがバイデン政権の政策に反映されて、バイデン政権もそれらのことに

言及、注意喚起をするかというと、ほとんどない。

 

私が心配なのは、歴代政権が北朝鮮の核開発に最大の関心を持ってこれを阻止

し、「完全な、検証可能な、不可逆的な非核化」をめざしましたが、これがバイ

デン政権で骨抜きになってきたのじゃないかということです。

 

結局北朝鮮を核保有国として安易に認め、その上で対策を講じようという方向

に傾いてきている。その根拠の一つは、バイデン陣営の中でずっとやってきたスー

ザン・ライスという有力な学者がいました。この前までバイデン政権の国家安全

保障会議の一員でしたが、どういうわけかこの間辞めた。

 

この人が、トランプ在任中に有力新聞に寄稿して、「もう完全な非核化はあき

らめろ。どうせできない。だから北朝鮮を核保有国として認め扱おうじゃないか」

という論文を出しました。

 

トランプ政権や外にいる人たちが一斉に反対論を出したので引っ込んだことが

ありました。

 

もう一つ、今のバイデン政権というのは、オバマ政権で働いてきた人たちばか

りです。特にアジア問題、朝鮮半島問題に対しては、例えばウェンディ・シャー

マン(元国務副長官)という女性、(アメリカ国家安全保障会議の)インド太平

洋調整官をやったカート・キャンベル氏、この人もオバマ政権の有力なアジア担

当官でした。

 

もう一人、国家安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏、これもオ

バマ政権の時に(バイデン)副大統領補佐官をやっています。

 

オバマ政権の対北政策は、一言で言うと、「戦略的忍耐(Strategic Patience)」

です。我慢するということです。この人たちが何年間もそれをやってきていたわ

けですから、当然そういう感じの方向に行ってしまう。

 

トランプ政権が2017年1月に誕生して、北朝鮮に対する最初のスローガン

は、「最大圧力(maximum pressure)」でした。国連演説その他で、「北朝鮮

とんでもないことをしたら軍事的に抹殺するぞ」と言っていました。「炎と怒り」

という言葉を使い強硬に出ました。今はそれとは違い、我慢です。

 

この間北朝鮮は軍事的行動を活発にしてきました。ミサイル発射の頻度が今高

くなっています。CSISは、北朝鮮側の軍事挑発行動のほとんどはミサイル発射で、

バイデン政権の3年間で91回ありました。トランプ政権の4年間では41回だっ

た。

 

バイデン政権も、「金正恩と会って話し合おう」ということは何回も言ってい

ます。しかし北朝鮮側が応じない。なぜ応じないかはあとで議論します。とにか

アメリカを甘く見て挑発的なことをどんどん続けているのが今の状況です。

 

それに対しアメリカ側が、「じゃあこういう新しい抑止策をとるぞ」となるか

というと、それはない状況です。

 

2024年は大統領選挙がありますが、今までの例を見ると、大統領選挙の年

は、北朝鮮は色々な意味でアメリカ側に揺さぶりをかけてくる。軍事的挑発をよ

り活発にします。色々な報告書でもそうなるだろうと書いてあります。

 

トランプ政権は、北朝鮮に関する色々な論評を見ている。トランプ政権の時は、

北朝鮮問題をどうするか」というのが常に主要な課題として出てきました。マ

スコミにも出てくる。研究機関あるいは議会でも、公式、非公式に出てくる。そ

の時の特徴は、強く出る、必ず軍事的手段が含まれている。それを色々な人が見

ます。

 

しかし、日本もそうですが、どんな場合でも戦争はできない。戦争になったら、

38度線の北に集結している何十万の北朝鮮軍が、ソウルに対して雨あられのよ

うに攻撃をかけ、何十万もの犠牲者が出るから、それもあっという間に起きるか

ら、絶対に軍事的対立にすることはできない、ということになる。

 

トランプ政権の時のワシントンの議論を見ても、「それはだめだ。そうじゃな

い方法もある」ということでした。例えば電磁波攻撃。レーザー光線で攻撃する

とか、サイバー攻撃とか、あるいは電撃的な斬首作戦、金正恩の首を取ることで

すが、そういう生々しい表現も含めて軍事オプションが語られました。そういう

議論は今無くなっています。

 

では日本はどうするか。やはりアメリカが貴重なパートナーになりえる。です

から米政府と議会への接近が大事です。拉致問題アメリカにとっても大事な問

題だ、と。これは家族会・救う会がこれまでずっとしてきたことで、トランプ政

権の時は特に成果があった。トランプ大統領が、「13歳のやさしい少女」と言

いました。

 

もう一つ、アメリカ側でも人道的な事件があります。オットー・ワームビアと

いう大学生が北朝鮮に拘束され、昏睡状態で帰国しましたが、その後死んでしまっ

た。これは両親が活発に動いて、議会でも話題になりました。

 

それからデヴィッド・スネドン氏が2004年に中国の雲南省で失踪。平壌

いると思われています。この件を調査するとの決議案が議会で通っています。こ

の問題を日本側からアメリカ側にリマインドし(思い出させ)て、「北朝鮮の人

権弾圧はけしからん」と。その中には日本人拉致も入っているとのアピール効果

があります。

 

政権が代わるかどうか分かりませんが、アメリカが日本の拉致問題解決のため

に何かをするという基本姿勢は変わらないと思います。そういう状況です。これ

からも今までのように、日本側がアメリカへのアプローチを続けることが必要だ

と思います(拍手)。

 

◆韓国政局が大統領夫人問題で混乱

 

久保田るり子(「産経新聞編集委員國學院大學客員教授

 

皆さん、こんばんは。私は韓国の政局と日韓の拉致問題への協力体制等につい

てお話したいと思います。

 

古森さんから、「アメリカは力だ」、「力を軍事力の形で示したのがトランプ

政権だった」という話がありました。その通りだと思います。では韓国はどうか

と言いますと、情報だと思います。

 

思い出しますと、横田めぐみさんが拉致されたことを日本政府が認めるに至っ

たのは、「北朝鮮に女の子がいる」と話したのは韓国の情報機関でした。それが

ひそかに日本に伝えられました。めぐみさんはバドミントンのラケットを持って

いたのですが、それを持っていた女の子がいるとヒューミント(人間を媒介とし

た諜報)を使って知りました。人間は動くことによって情報を収集するわけです

が、韓国の情報機関が動いて、情報が取れたのです。

 

北朝鮮内部の話は北朝鮮の人でないと分からないし、北朝鮮の内部に入らない

と分からないわけです。なので日韓が拉致問題で協力するというのは、やはり日

本に対して友好的な政権があり、人道問題に関心が高く、日韓で情報収集につい

ての協力ができる相手じゃないと困るわけです。

 

つまり左派の政権の時は絶対だめで、保守の政権の中でも人権に人一倍関心を

持ってくれている政権が長もちしてくれないと困るんですね。

 

アメリカの11月の大統領選挙はトランプになるのかバイデンになるのか、こ

れは日本にとって非常に重要ですが、同時に近隣のアジアでは、台湾では日本に

親和的な民進党政権ができましたが、韓国では今年4月に総選挙があります。尹

錫悦(ユン・ソンニョル)政権は任期が3年残っていますが、その任期内にさら

に協力関係が組めるのか。次の政権につなぐことができるかで、総選挙が大事な

んです。

 

韓国の国会議員は与党が113で野党が164です。300議席の中で野党が

過半数を持っています。そうすると、政権与党が法律で政策を担保しようとして

も野党に国会で拒否されてしまいます。

 

そうなると期待しているような政策が作れない、政権の力が発揮できない状況

です。今回の選挙で過半数を取れば動かせるようになるのですが、実は大変危な

い状況です。

 

リスクが色々あって、韓国の選挙は前日まで分からないという選挙です。ここ

に来て、危機感が大変強まっています。尹錫悦さんはここ1年9か月で30%代

後半程度の支持率です。

 

残念ながら野党の左派が30%から40%近くを取っています。拮抗していま

す。他に浮動票があり、これがどちらに行くか。韓国では国民感情のことを、

「民心」と言いますが、「民心」がどちらに動くかで浮動票が動きます。

 

実は今「民心」が政権側に不利とされています。焦点になっていることが3つ

あり、与党は1年9か月やってきたのですが、政権が安定するためには票をくれ

という思いですが、「民心」の方は、「この政権を審判する」という感じです。

 

2つ目に、今までは与党と野党が対決するのがほとんどでしたが、今第3極が

浮上しており、これが台風の目になりかねない状況です。

 

この台風の目は、台湾の時は野党が分裂する形になり、ぎりぎりで与党が勝て

たのはこの分裂が大きかった。分裂が与党有利に働いたのです。しかし、韓国の

第3極が影響力を持つと与党保守側に不利になります。

 

最悪の場合、300議席の3分の2は200になりますが、野党が3分の2以

上になると韓国では大統領弾劾ができます。今かろうじて113で13議席上回っ

ていますが、もし与党が惨敗して100を切るようになると、野党側の構成にも

よりますが、断崖が可能になる可能性があるのです。

 

そうなるとようやく日韓関係をここまで改善してきた今の政権が途中で下野し

てしまうことになります。

 

3番目のリスクは、大統領夫人をめぐるリスクです。安倍さんも昭恵さんで苦

労しましたが、やはり票の半分は女性ですからリーダーの奥さんは女性に嫌われ

るようでは困るし、リーダーがあまりにもかばうと、リーダーが立派な人でも奥

さんでものすごくマイナスになります。

 

尹錫悦さんがそれほどすばらしいリーダーとは思いませんが、この奥さんに引

きずり回されるような状況が起きています。なかなか日本の新聞には載りません

が、奥さんはやり手の実業家で、イベント会社などをやっています。シャガール

とかモネとかドガ等のヨーロッパの絵画を輸入して絵画展をやったりとか、美術

に関心が深く、美術の大学院を出た方です。

 

また金融関係に関心が高く株等への投資が好きな人です。12歳年下で大変な

韓国美人です。金建希(キム・ゴンヒ)さんという方で、行動力があります。

「私が大統領夫人でも、それほど政府に縛られたくないわ」と発言しています。

 

大統領官邸には本来夫人の担当者がいて、どういう人と接触したらまずいとか、

式典ではこういう礼儀を守ってくださいと振付をしますが、彼女はそれを断って

担当がいません。

 

SNSで色々発信したり、例えばバイデン大統領に会ったら、大統領と肩を組

んでみたりとか、あるいは写真を撮る時に前に出てしまうとか目立つようなこと

をしています。制御がきかないわけです。

 

ご主人は奥さんに甘い方で、料理が得意で、「毎日ご飯はぼくが作る」と言っ

ていることも聞こえてきます。奥さんにあまり??りつけないようです。去年秋に、

夫人が持っている事務所に来た支援者を名乗り、夫人のお父さんと知り合いだと

名乗った牧師さん、アメリカ駐在の人ですが、その人が訪ねてきて、クリスチャ

ディオールの高級バッグをプレゼントで貰った。

 

それが盗撮されていたんです。当人は牧師さんでスマホで撮った。盗撮は仕組

まれていて、盗撮しようしてやった。それを「ソウルの声」というユーチューブ

で国民に知られるようにしたのです。顔を隠すこともなく、こういう人物なのだ

ということを流した。

 

大騒ぎになったのですが、大手メディアはほとんど報じなかった。大統領府も

何も言わなかった。なぜならば、それがいわく付のユーチューブで、そんなもの

を軽々しく扱うと根拠がはっきり分からないので無視することにしたのです。

 

ところが韓国はSNSが広がっているので、国民がみんな見るわけです。大統

領夫人となれば面白いわけです。特に女の人は「あの奥さんは礼儀もないし、趣

味もなく、大統領夫人にふさわしくなかった」と。それで人気が落ちてしまった。

 

夫人は金融関係に関心があって、結婚する前に株価操作疑惑というのがありま

した。それに一枚かんでいた、と。大統領選挙の前から告発されたりしていたの

です。それに加えてブランドバッグですから、今一番選挙にリスクになっていま

す。

 

これがスキャンダルだけで終わっていればまだよかったのですが、選挙状況が

あまろ芳しくないものですから与党が非常対策委員会を作って、尹錫悦さんが一

番信頼している右腕の元検事で法務大臣だった韓東功(ハン・ドンフン)さんを

やめさせて、この委員長に据えて、実質的に与党のボスにしたのです。

 

選挙のために何をやるかということになると、その人は尹錫悦さんの後輩で忠

誠心の高い人ですが、奥さんのリスクに危機感を持って、「これは国民目線でこ

の問題に対処しなければならない」と言ったのです。

 

その途端に大統領は激怒して、「委員長をやめさせる」と言ったという報道が

広がった。二人の仲は険悪になってしまった。先週のことです。これも夫人リス

クの一つです。

 

結論的に、この二人がこんなことをやっていると、益々状況が悪くなるという

ことで、一応和解はしましたが、肝心な問題が残っていて、夫人がバッグを貰っ

た問題について大統領、あるいは夫人はちゃんと国民の前で説明しなければなら

ないということです。

 

それができるかできないかが今最大の焦点です。非常に下世話な話かもしれな

いですが、それが大統領選挙に、微妙なところで票が分かれた時に左右する、あ

るいは政権に対するイメージが左右するのは、どんな国でもあると思います。今

そういう状況です。

 

◆尹錫悦政権が貢献したこと

 

最後に、尹錫悦政権が貢献したことの一つは、日韓関係の改善で、韓国として

かなり譲歩した形です。「徴用」をめぐる問題で、日本に対する判決を韓国が肩

代わりし、日韓関係の基礎になる日韓基本条約ですべてのことを解決したという

点に戻って、日韓関係はものすごくよくなりました。

 

また前の文在寅 (ムン・ジェイン)政権は本当に北朝鮮寄りだったので、米韓

関係が悪化していたのですが、米韓関係を見事なくらいこの1年間で修復しまし

た。相手はバイデンさんですが。米韓合同軍事演習をやり、日米韓でも合同軍事

演習をできるようにした。

 

さらにミサイルを発射した時の情報を日米韓でできるようにしました。そうい

うことではこの政権は我々にとっては大事にしなければならない部分がすごくあ

ります。

 

拉致問題では、尹錫悦政権は人権問題に関心が高く、韓国にも拉致被害者がい

ますし、日本人拉致問題もよくご存じです。拉致問題について協力体制を取りた

いと就任直後から言っていました。統一部という南北問題を扱っている所で協力

してもらっても何の役にも立たない。

 

冒頭申し上げたように「情報」ですから、情報機関が日本と協力体制を取らな

ければ、我々にとって必要な北朝鮮の内部情報は入ってこない。脱北者もたくさ

んいますので、今回国家情報院院長を変えました。

 

趙太庸(チョ・テヨン)という人で、外交官出身の方で日本のことを大変よく

知っています。情報機関に知日派の方が入った。今の政権は情報の重要性を分かっ

ており、人権問題に力点を置いているということです。日韓関係で拉致問題につ

いてもっと情報共有できるようになってもらいたいと思っています。この経験な

らできるのではないかと思っています(拍手)。

 

(3につづく)

■2024年の国際情勢と拉致問題

 

北朝鮮で重大な政策転換が起きている

 

西岡力救う会会長)

 

北朝鮮で前代未聞の状況が起きています。今日国基研の「今週の直言」とい

うネットコラムに書いたのですが、「対南政策転換の理由は北住民の韓国への憧

れ」というものです。

 

去年末に朝鮮労働党中央委総会がありました。北朝鮮では国家の上に党があり

ますから、この総会が翌年の方針を決める会になります。その後今年1月15日に

最高人民会議という国会が開かれました。その両方で金正恩委員長が演説を行い

ました。

 

その中で、「韓国はもう同族ではない」、「同じ民族ではない」とし、戦争で

吸収すべき「敵国」だと繰り返し言いました。そして「統一」とか「民族」とは

言うな、と。憲法に「民族」と書いてあるのはすべて改定しろと命令しました。

 

統一戦線部という工作機関があるのですが、それも改変して、機能をほとんど

なくしました。統一戦線部という名前も無くなります。

 

そして一番驚いたのは、最高人民会議での演説の中で、平壌に立っている「祖国統一3大憲章記念塔」を「見苦しい」と言って撤去させました。アメリカのシ

ンクタンク「38ノース」が衛星で見たところ、撤去されていた。

 

この「祖国統一3大憲章記念塔」が何を意味するかですが、3大憲章というの

は、3つとも金日成主席が提唱したものです。祖国統一3大原則(1972年)、自主、民族大団結、平和という3大原則です。7月4日に南北共同声明が出たので、

「7・4共同声明」と呼ばれていますが、その中に書いてある3大原則です。これ

については「北朝鮮の工作にやられた」との批判も韓国で多かったものです。

 

2つめは、高麗民主連邦共和国創立方案(1980年)、3つ目は、全民族大団結

10大綱領(1993年)、金日成が死ぬ1年前に提唱したものです。そして、それら

の方針にのっとって、同じ民族だということで息子の金正日が2000年に、金

大中大統領を平壌に呼んだわけです。その翌年にこの記念塔を建てた。

 

平壌の南端で、平壌から韓国方向につながる道路の入り口に、アーチ型で南北

の女性が手をつないでいるような記念塔を建てた。その中のレンガには日本の各

地の「主体思想研究会」の名前も入っています。

 

そのアーチ型の塔のすぐ横に、金日成の「お言葉」を刻んだ石碑がありました。

先代首領が先々代首領の業績を称えるために作った記念塔を孫が見苦しいと言っ

て撤去したわけです。

 

これは「主体思想」から言っても、あってはならないことです。色々内部情報

を聞いたのですが、市民たちは、「金正恩は平常心を失ったのではないか」とさ

さやき合っているそうです。「狂ったのではないか」と。もちろん公然と言った

ら殺されますが。

 

しかし、ずっと「民族大団結」と教わってきているわけです。首領様が言った

ことを命がけで実現することが重要だという教育を受けてきました。それなのに

首領様が先代、先々代に関わる記念塔を壊す、と。私が想像するに、その破壊に

参加した労働者は怖かったと思います。後で殺されるんじゃないか、と。

 

今、衛星画像にはないのです。一体何が起きているのか。実は民族をシンボル

にした対南工作は成功していたわけです。韓国議会の中では、久保田さんが説明

してくれましたが、左派が強いわけです。

 

日本では社会党は落ち目になりましたし、自民党小沢一郎さんや鳩山由紀夫

さんが左派に行ったから政権交代が起きたわけです。しかし、韓国ではそうでは

ないのです。1980年代に激しい学生運動、革命運動と言ってもいい運動をやっ

ておいた人たちが主流の党が「共に民主党」で、多数派なんです。

 

社会主義は理論的にもうだめだと言われているのに、なぜ左派が強いのか。

「民族」という概念を使って北朝鮮が工作したからです。韓国左派も「民族」と

いう概念を使っている。

 

80年代に全学連議長が韓国の国旗を掲げて出てきて挨拶をしている。日本の

全学連が日の丸を掲げて挨拶するでしょうか。民族主義なんです。「韓国はアメ

リカの植民地」なんです。

 

だから労働者や農民だけでなく、知識人も、「安倍さんを追い出せ」と言った

ら、そうなってしまう。ところが、金正恩が「韓国は同じ民族じゃない」と言っ

た。

 

共に民主党の李在明(イ・ジェミン)代表も困ってしまって、「金正恩のこの

発言についてどう思いますか」と聞かれて、「先々代と先代の努力が傷つかない

ようにすべきだろう」と言った。李在明の方に「主体思想」が残っているんです。

 

「お前はどっちの味方なんだ」と非難されているんですが、同じ民族だから無

理なんだということです。向こうが、「同じ民族じゃない。外国だ」と言ってい

る。

 

例えて言うと、中国は「台湾が外国になったら戦争する」と言っているんです

が、中国が、「台湾は同じ民族じゃない。外国として扱う」というかのような、

逆のことを金正恩が言ったわけです。そして、仙台と先々代の記念塔を撤去した。

 

今まで、韓国に対して非難することはたくさんありましたが、しかし「同じ民

族じゃない」とは言ったことがないのです。特に、過去の自分たちがやったこと

を否定することはありえないことなのです。

 

朝鮮総連も困っている。朝鮮総連の中に韓国籍を持つ人が結構いるんです。同

じ民族だから大丈夫だと思っていたら、「敵国」になってしまったから、「どう

するべきですか」と。

 

朝鮮総連を指導するのは統一戦線部なんですが、統一戦線部がなくなってしま

うわけですから、一体誰の指導を受ければいいのか。

 

◆韓国に対するあこがれが北朝鮮中に広がっている

 

私が聞いているところでは、北朝鮮住民の中に、韓国に対するあこがれが国中

に広がっている。みんな韓国のビデオを見ている。韓国が豊かで、自由だと知っ

ている。だから2020年に反動思想文化排撃法、2023年には平壌文化語保

護法を作ったのです。韓国のものを見たら死刑にすることを知っている人は多い

はずです。

 

一昨年、金聖●(●=王へんに文、キム・ソンミン)が持ってきてくれた文献

によると、「2021年、ある市では9000人余りの中高生がビデオを見た」

と自首し、3000人余りがビデオが記録されたUSBを持っていて提出した」

そうです。怖くなってみんな出したのです。

 

ごく最近もイギリスのBBCが、「高校生が韓国のドラマを見たと言って公開裁

判にかけられて、15年の刑になった」という映像を入手して放映しました。

 

韓国の情報を北朝鮮に入れることは、金大中政権移行止めさせたのです。代わ

りにやっていたのが脱北者の人たちで、ビラを飛ばす人もいましたし、最近はU

SBに韓国ドラマをいっぱい入れて飛ばしています。北朝鮮の市場で落としてお

くと、みんな拾っていくそうです。

 

韓国に脱北者が3万人くらいいるんですが、その人たちが貧乏なのに必死で北

朝鮮の家族に送金している。そうすると北朝鮮で、「脱北者を家族に持っている

人たちは金持ちだ」、「労働党の党員と結婚するより、脱北者の家族にお嫁に行っ

た方がいい」となっているそうです。一番もてるのは、脱北者がいる家族の息子

だそうです。

 

実は、お金が来ることはみんな分かるんです。韓国が豊かでないとお金はこな

いわけです。金正恩文在寅 (ムン・ジェイン)のことも厳しく非難してきたん

です。左派が親北になったけれども、援助も貰ったけれども、それよりも韓国の

左派政権と交流すればするほど、結局韓国の情報が入ってしまう。

 

もう「外国」で交流はしないことになりましたが、本当にお腹がすいていて、

生活が苦しい。金正恩は、生活が苦しいことを認めています。今回拡大政治局会

議を地方でやりましたが、地方は生活が苦しい。いくら怒鳴っても食糧は出てこ

ないわけです。

 

今日聞いたのは、反体制活動も起きているそうです。落書きとかビラとか、数

人が集まって反体制の話をするとかですが、武器庫から武器が消えることもある。

何かあったら蜂起しようとしているのではないかと警戒しているそうです。

 

そういう状況です。出口がない。ロシアから小麦を貰いましたが、それは全国

民に食べさせる量ではない。そして朝鮮では、やはり米を食べないとだめなんで

すね。(小麦粉で作る)すいとんも食べますが、米でないと満足しない。

 

そして岸田政権は今、「人道支援」をしようとしている。我々も、「全拉致被

害者の即時一括帰国が実現すれば人道支援に反対しない」と言っている。

 

韓国とは本当に、「交わらない」という状況になった。

 

◆岸田「閣下」に異例の能登地震見舞い電報

 

金正恩委員長が1月5日に、岸田総理を「閣下」と呼んで、能登半島地震に対

するお見舞いの電報を出した。これは、「産経新聞」に、1月20日付で掲載さ

れた私の記事ですが、北朝鮮のトップが日本の首相にお見舞いの電報を出すのは

初めてです。阪神淡路大震災の時も、東北大震災の時もなかったことです。

 

金正恩委員長の名前で出すということは、絶対本人の決済を貰っているはずで

す。「韓国とは一切交わらない」、「韓国は敵だ」と言いましたが、日本には、

「閣下」と敬称を付けて電報を打ってきた。その全文は「労働新聞」に出ていま

す。横田めぐみさんも見たはずです。「労働新聞」に出たものは隠すことはない。

「日朝で何か始まるのか」と思った可能性があります。

 

もちろん、日米韓が協力して軍事圧力を強めている中で、一番弱い拉致で、韓

国の足並みを乱すために日本を使おうとしている側面も、当然あると思います。

しかし日本は、きちんとアメリカとも話をして、「人道支援」を使うと言ってい

る。「人道支援」は国連制裁違反ではないのです。

 

◆日米韓の首脳が、拉致問題で取組み合意

 

去年8月に、キャンプデービッドで日米韓の首脳が集まって色々な文書を出し

ましたが、その中で、「拉致問題を含む北朝鮮人道問題に積極的に取組む」、

「韓国主導の統一を支持する」と書かれました。韓国も人道支援を行うことに合

意していますので、人道支援の枠の中で拉致被害者を取り戻すことは裏切りには

ならない。

 

秘密接触の段階では外国とこの件で交渉はできないと思いますが、話がつけば

米韓に対しても取組みが必要だと思います。北朝鮮では、前代未聞の、先代と先

々代の首領の記念塔を壊すくらい混乱が起きています。

 

今岸田首相の支持率が下がっていますが、それを分かった上で電報を打ってき

た。多分、この5月、6月にまた餓死者が出始める。去年もそうでした。そして

兵士たちの食糧が足りなくなって、栄養失調になった。その兵士が強盗になるこ

とがまた5月、6月に起きます。それは生産量が去年や一昨年と変わっていない

からです。

 

その時までに日本から人道支援を貰おうと思っているかもしれません。もちろ

ん、希望的観測ですが。北朝鮮は強い圧力があった時だけ動くと言ってきました

が、それは古森さんが言ったようにアメリカの軍事圧力だったのです。94年の

時もそうでしたし、2002年もそうでした。

 

そしてトランプ大統領金正恩と会ったのも、軍事圧力があったからです。ト

ランプ大統領が軍事圧力で金正恩を追い詰めた時に、拉致も一緒に出してくれた。

今のアメリカは軍事圧力をそれほどかけていない。韓国は緊張を高めて軍事圧力

をかけていますが。アメリカにとって北朝鮮問題は比重が下がっている。

 

そういう中で核と拉致を一緒に解決する可能性がなくなった中で、岸田政権が

一昨年の10月以降、拉致を先に解決するという新しい戦略をたてた。それに混

乱を極め、内政に苦しい金正恩政権が飛びつこうとしているのではないか。

 

本来なら韓国の選挙で野党が勝つ可能性があるのですから、それまで待ってい

てやればいいのに、李在明に「もうやめてくれ」と言われたくらい、韓国にこだ

わる余裕がなくなっている。

 

北朝鮮が韓国を攻撃することはない

 

北朝鮮は「戦争」を口にしますので、「北朝鮮が戦争をするのではないか」と

いう議論がありますが、私はそれはないと思っています。戦争をする気なら砲弾

をロシアには出さない。局地的な挑発はありますが、挑発されたら大統領まで上

げなくていい。「その場の指揮官の判断で即時、強力に、最後まで報復せよ」と

の命令がもう出ています。報復の対象に命令を出した指揮部も入っている。普通

の兵力では韓国にかなわないのです。

 

核以外では、アメリカがいなくても全然問題がない。向こうは自分の身の安全

がかかるので怖いんです。口で言う、演習をする、ミサイルを飛ばすことはあり

ますが、韓国を攻撃することは、私はないと見ています。

 

それよりも国内が大変なんです。そういう中で、「親の世代が生存中に返さな

ければ米も出しませんよ」、「経済協力もできませんよ」とこちらは言っている。

そういう状況で、我々が考えていることと国際情勢、そして北朝鮮内部情勢は反

する方向に動いていないのではないかと思っています。お正月ですので少し希望

的な話をしましたが、これから古森さん、久保田さんにも話してもらいます。

 

(4につづく)

■2024年の国際情勢と拉致問題

 

北朝鮮は言葉では攻撃しても、実際には戦術核ミサイルは撃てない

 

古森 西岡さんの話で面白いと思ったのは、今までお父さん、おじいさんがやっ

てきたことに反旗をひるがえし、韓国は同じ民族じゃないという判断は、これま

でよりもずっと敵視していくということなんでしょうか。

 

西岡 太永浩(テ・ヨンホ)さんという脱北者出身の国会議員が、12月にも東

京に来てくれましたが、1月にも来ました。そのことを議論したのですが、「北

朝鮮は韓国を砲撃する戦術核ミサイルを実戦配備」したそうです。

 

同族と言っていると使いにくい。人民軍の担当者もボタンを押していいんだろ

うか、と思ってしまう。核ミサイルを撃ったら資本家や人民も死ぬ。外国だから

いいんだ、ということもある。

 

つまり今まで、「敵はアメリカであり、アメリカの手先の独裁政権だ」と言っ

ていたのですが、今回は韓国全体を敵として、「容赦しない」と言っていること

は確かです。しかし、尹錫悦政権が、「報復する」と言っているから、売り言葉

に買い言葉として言っているのであって、実際に行動することはできないのでは

ないか。独裁者は自分の安全を一番に考えますから。

 

古森 もし、北朝鮮が韓国に対して核兵器を使った場合、これまでのアメリカと

韓国との同盟関係においては、アメリカは「必ず核で報復する」と言っている。

だかし、しないかもしれないけれども、するかもしれない。そういうリスクを金

正恩は冒すでしょうか。

 

西岡 冒せないと思いますね。米韓は、北朝鮮が核攻撃した時どう反撃するかの

シミュレーションもしています。図上演習もしています。

 

バイデン大統領も、前大統領も、韓国の国防部も繰り返し言っていますが、

「核を使ったら北朝鮮の政権はなくなる」と言っています。「政権はなくなる」

と言ったら去年、北朝鮮の人民が喜んで、「政権をなくしてくれるのか」(笑い)

と。

 

金与正(キム・ヨジョン)がその演説に対して反論し、北朝鮮の「朝鮮中央テ

レビ」でも放送をしたら、逆反応が出て、「政権をなくしてくれるのか」と。

 

だから金正恩が、「アメリカが核を使うかもしれない」と思っている間はやら

ないと思いますし、それだけじゃなく先ほど久保田さんが言った「斬首作戦」で

すね。金正恩がいる所を察知して、そこにピンポイントで地中貫通ミサイルを撃

つ。そちらの方が恐いんですね。

 

金正恩の大転換はアメリカ向けか

 

久保田 金正恩の大転換は、ウォッチしている我々にとっては驚天動地の政策転

換です。はっきり言って、1948年以来北朝鮮が作ってきた物を全部捨てるほ

どの大きなことで、どう解説すればいいか、今色々な意見があり、何が本当かま

だ分からないのが実情です。

 

これから北朝鮮の内部で何が起きているかの情報も入ってくるし、少しずつ背

景が見えてくると思います。ただ、私たちが思うのは、このことをするというこ

とは、背水の陣しか考えられないですよね。それをせずに今までやってきたわけ

ですから。

 

それはどちらに向いた背水の陣なのか。気になるのは、どうして今なのか、と

いうことです。それには何らかの理由があるのではないか。西岡さんは、国内の

韓国に対する国民感情がここまで高くなったから、「それが今だった」と思うこ

ともできる。

 

しかし今年はアメリカの大統領選挙がある。「トランプが勝つ」と言われてい

る。トランプと金正恩は3回会っている。史上初めての米朝首脳会談をやった仲

です。未だにトランプは金正恩を否定していない。軍事的圧力を最初に強調し、

会った後は結構仲良くやっていました。

 

つぶすことができるということを背景にして会っているわけですが、トランプ

さんの普通の政治姿勢と違う側面を金正恩が見ている。「あのトランプだったら

ディール(取引)ができるのではないか」と踏んでいる面があると思います。

 

それがどういう風に統一政策否定と結びつくのか。まだ結論はでていないので

すが、何かアメリカに対するサインじゃないかと、直感的にするんです。それが

吉と出るか凶と出るか、普通なら凶ですが、今年の、当面の最大のテーマになる

と思っています。

 

民主党びいきのメディアが揚げ足をとる記事を書く

 

西岡 トランプになったら対北政策はどうなるでしょう。

 

古森 一般に言われているのは、例えばトランプが金正恩と会って、後で「なか

なかいい男だ」と言ったそうです。とすると、トランプ政権の政策は、金正恩

やることを認めている、という見方が多いわけです。

 

これは間違っている。やはり政策があって、トランプは色々なことを言う人で

すから、「プーチンはいい男だ」とか、「習近平はいい男だ」と言うんですが、

決してロシアや中国の政策を認めているわけではなく、国家安全保障戦略とか国

家防衛戦略がきちんとあって、「中国とロシアはアメリカの最大の脅威だ」とき

ちんと書いているわけです。

 

日本側に伝わってくる情報は、アメリカでもそうですが、民主党びいきのメディ

ア、「ニューヨークタイムズ」や「ワシントンポスト」、「CNNニュース」が、

トランプのそういう言動に対してずっと報道しているわけです。

 

断片的なことを取り上げて大きく報道する。ついこの間も、原爆投下について、

「あれはいいことじゃなかったけれど」と言ったことについて、あれがいいこと

だったのか、悪いことだったのかと揚げ足をとろうと待ち構えているわけです。

だから、断片的なトランプ言動報道には気を付けるべきだと、私は思います。

 

もう一つ。「トランプは在韓米軍撤退をしたかったんだ」と言うけれども、こ

れは「条約にきちんと書いてあるので動かさない」、と書いてあり、「動かすと

きは議会の承認が必要だ」ということまで書いています。

 

文在寅ムン・ジェイン)さんは、トランプさんが大嫌いでした。これは政策

人間性と両方です。文在寅さんがホワイトハウスに来た時に、「とにかく1対

1の会談だけは絶対嫌だ」とトランプは抵抗しましたが、「でも一応会うよ」と

2分間だけ会いました。その内1分は通訳ですから(笑)。あとは10数人で会っ

た。

 

そうすると、「文在寅が嫌いだから韓国との同盟はやめてしまうんだ」という

記事がすごく多いんです。

 

◆今北朝鮮は核実験をしていない

 

西岡 北朝鮮側が、トランプ政権の時よりバイデン政権の時に多くミサイルを発

射していますが、核実験はしていない。トランプ政権の時にやった3回目の実験

は広島に落とされた核爆弾の10倍の威力でした。

 

古森 2017年の9月にしましたが、それ以来ピタッと止めています。

 

西岡 バイデン政権になって戦術核の実験をした筈なのにしていない。その理由

を聞いたところ、「トランプ大統領が当選する可能性がゼロだとすれば核実験を

する」と。つまり、「俺とトランプは約束をしたんだ」と。ICBMの実験と核

実験は止めると約束したのです。ICBMの約束は破棄して今やっていますが、

核実験だけは残っていて、トランプと会った時に、「俺はあなたとの約束を守っ

た」と言いたいのだと思います。そして何らかのディールをしたいと金正恩氏が

思っているのは事実です。

 

その一つの根拠は「ニューヨークタイムズ」や「ワシントンポスト」が書いた

ことが報告されているでしょう。そういうことも含めて今は核実験をしていない。

 

だからといって、トランプ政権になった場合金正恩が一息つくかといえば、そ

んなことはない。トランプがやったことは、「核をやめないとすべての手段を使っ

て軍事的に圧力をかける」と言ったことです。

 

「核を止めると豊かな国になる」と言ったけれど、「俺は支援しない」とも言っ

た。だから日本の魅力はなくならないだろうと思います。トランプ政権になった

場合、もう一度核問題で話し合いをしたり、トランプ側が圧力をかけるようになっ

たら、「日本の政権ともう一度拉致問題をやろう。そうでないと日本側はお金を

出さない」と言うべきだと思います。

 

金正恩政権の「終わりの始まり」になるのか

 

久保田 これだけの大転換をして、「韓国は敵だ」と言って、それが北朝鮮の中

で広がった時に、首脳レベルは取り合えず従うでしょうが、韓国にあこがれを持っ

ていた人たちがどんな動きをすると思いますか。

 

西岡 まだ保衛部などの統制は効いていますから、隠れて反体制事件をやってい

るとの報告は上がってきていますが、大規模なデモをするとかそういうことでは

ないので今のところは小康状態です。またビラがまかれるとか、もしかしたら朝

起きてみたら銅像が壊されていたというようなことは起きるかもしれません。壊

していいということになりましたからね。

 

金日成が統一のことを言ったことに関する石碑は他にもあります。板門店にも

あります。銅像や石碑を壊しても政治的に安全ということになるのか、混乱が起

きますよね。保衛部も取り締まっていいのか分からなくなる。「金日成主席の方

針は間違っていた」と言えばたいほするのか。そうなると金正恩も捕まえなけれ

ばならなくなる。

 

末端も含めて、どうするのかということについて疑心暗鬼になっていて、内心

は何なのか疑うことになってくるでしょう。分かりませんが、金正恩政権あるい

は三代世襲政権の「終わりの始まり」になるのか。自分が、「白頭山の家系」を

否定してしまったのですから。1月15日にこの演説があったばかりで、まだど

うなるか分からないですね。

 

分析のレベルでも情報のレベルでも、もっと叡智を絞るべきだと思います。何

が起きているか、そしてどう対応するかを考えなければならないと思います。直

感的にはいい方向ではないか、と思っています。

 

アメリカにおける日本人拉致問題

 

古森 拉致問題解決への期待という意味では、北朝鮮の政権が揺らげば揺らぐほ

ど、困れば困るほどいいですね。安定してこのままなら何も起きないわけですか

ら。そこに期待をかけたいですね。

 

もう一つ。アメリカの議会の動向を付け加えたいと思います。アメリカの中で

も、今北朝鮮問題について関心が低いという全体の動きの中でも、人道・ヒュー

マニズムの観点から、北朝鮮がまれにみるひどいことをやっている政権だという

ことで、超党派でいくつか関心が出ています。

 

例えばクリス・スミスという下院議員(共和党)がいて、この人は人道問題を

30年、40年と長くやっています。中国の人権問題、北朝鮮の人権問題等で、

下院外交委員会を主体として活動しています。北朝鮮の人権弾圧の中に、日本人

拉致も含めています。

 

マルコ・ルビオという有名な上院議員共和党)が、上院外交委員会に法案を

出して、北朝鮮の人権弾圧に関して新たな制裁を加えるというものです。まだ出

したばかりですが、これにも日本人拉致が書いてあります。

 

さらにヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)という民主党

の民間団体がありますが、これも政府や議会に対して、ルビオも含めて活動して

います。やはり、日本人拉致問題を提起しています。先ほどのスミスやルビオの

例を見ても共和党系が人道問題に熱心ですが、民主党系の民間団体も活動してい

ます。

 

アメリカでは、少数の事件でもワッと広がることがあります。家族会・救う会

アメリカに何度も行っていますのでよく知っています。

 

久保田 アメリカの大統領選挙についてですが、このままトランプで決まりなの

か、どう見たらいいでしょうか。

 

◆次期大統領はトランプか

 

古森 ついこの間まで、日本では「トランプはもう負けた」、「とんでもない奴

だ。独裁者だ」という風潮でしたが、あっという間に、トランプが勝つことを前

提にして、第二次トランプ政権の特徴まで論じています。

 

トランプが好きだからではなく、トランプの体現する政策に同調する人間がか

なりいます。「口止め料で起訴された」とか色々なことがありますが、やはり民

主党を倒すという決意がすごく強いんです。

 

さかのぼれば、「ロシア疑惑」というのがありましたよね。(ロシアの情報機

関が民主党全国委員会のコンピューターシステムにサイバー攻撃を仕掛けた、ト

ランプが共謀した)ということでしたが、全くの嘘でした。そして今選挙をすれ

ばトランプが勝つでしょう。しかし、民主党の岩盤(支持層)の強さがあり、3

割くらいあります。必ず民主党に投票する層です。

 

そして無党派層の中で、「トランプは嫌だ」という層があり、トランプがでて

くると、この両者が団結して活力を高めます。トランプは個性が強いですから、

日本でも「トランプ嫌悪症」があります。とにかくだめ、と。昔レーガンが出て

きた時、「映画俳優だからだめ」と言った人もたくさんいました。そういうトラ

ンプに対する偏見が日本にも浸透している。

 

バイデンは、11月5日の選挙までもたないかもしれない。日々、出てくるた

びに衰えています。公衆の前での失態も多い。それは日本のマスコミにはでませ

んが、「ウォールストリートジャーナル」や「フォックステレビ」、ヨーロッパ

の「スカイTV」が報道する。

 

例えば、「ウクライナの戦争」と言っている内に、いつの間にか「イランの戦

争」と言ったりする。死んだ下院議員に弔電を送ったのに、数週間後にその議員

の名前を呼んだりする。エアフォースワンに上っていく時転んだので、タラップ

の幅を狭くした。バイデンが勝つ見通しは極めて難しいと思います。しかし、岩

盤層があるから接戦にはなると思います。

 

◆韓国の人権活動家が北朝鮮に変化をもたらした

 

西岡 北朝鮮のこのような大変化は、韓国から情報が入ったからだと思います。

やったのは韓国政府ではなく、人権活動家です。「人権活動家は何もできていな

い」とよく言いますが、そんなことはない。苦しい中でラジオをやったり、ビラ

をまいたりしてきた結果、ここまできた。

 

金与正が、「ビラは止めてくれ」と言ったのも、本当にダメージがあったから

だと思います。岸田総理に電報が来たのも、我々は北朝鮮がとても強くはね返さ

れるばかりだと思ってきましたが、向こうも人間の住む社会で弱みもあるわけで、

大きなことが起きている。

 

韓国の人権活動家の人たちは、「次は人権を理由に制裁をかける運動をすべき

だ」と言っていました。「日本は拉致という人権問題で制裁をかけている。その

制裁をてこにして、北朝鮮が痛みを覚えたら、制裁を止めてやることが交渉の手

段になる」と。

 

「韓国政府も人権活動をすると言っていますが、人権を理由に制裁をかけると

ころまではいっていない。それを次の目標にすべきではないか」。「人権問題は

待ってはいられない。返せ、というのは自由統一しかないかもしれないが」と。

 

我々は、帰国が優先で、真相究明や実行犯の引き渡しは後でいいと言っていま

すが、まず生きている人を取り戻すことです。今制裁をかけていますが、人道支

援をしないというのも一つの制裁です。

 

韓国の人権活動家の人たちは、北朝鮮で飢えている人をどう救うかの戦略も色

々考えています。私は、ソウルの仲間たちに、「自信を持て」と言っています。

大きなことが今北朝鮮で起きている。日本に電報もきた。その背景にはアメリ

の対北圧力があった。今年いい方向での変化が起きてほしいし、起こさなければ

ならないと強く思っています。

 

以上

 

 

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■岸田首相にメール・葉書を

首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。

下記をクリックして、ご意見を送ってください。

https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html

 

葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 岸田文雄殿

 

救う会全国協議会ニュース

 

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会救う会

TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784  http://www.sukuukai.jp

担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)

〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905

カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会

みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎

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