中国、外貨準備を海外資産取得に積極活用へ
中国の温家宝首相はこのほど、2兆ドル（約187兆円）を超える外貨準備を海外進出に積極活用していく「走出去路線」を打ち出した。
「走出去」とは中国語で「外に出て行こう」という意味で、中国が 2000年以降に推進している海外投資戦略を指す。改革開放以降、中国の成長をけん引してきた「引進来」（外資誘致）とは反対の概念だ。中国政府はドル資産への依存度を抑制しながら、中国企業の海外進出、海外資源確保へと動いている。
温首相は17日から20日にかけ、北京で開かれた海外駐在外交官会議で、「保有する外貨を企業の海外進出や事業拡大の加速に使用する。外貨準備の運用を中国企業の『走出去』政策と結び付けなければならない」と述べた。
これについて、金融大手HSBCの屈宏斌チーフエコノミストは、英フィナンシャル・タイムズの取材に対し、「自国企業による海外資産取得を政府が直接支援する政策は初めてだ。保有外貨の投資先を多様化する戦略とみられる」と分析した。
同紙は温首相の発言について、保有外貨を単純に米国債など短期的収益を上げる金融資産に投資するのではなく、長期的観点で企業の資産を蓄積していく意図があるのではないかと分析した。
中国の外貨準備高は世界1位の2兆1320億ドルに達する。2002年時点で1億4300万ドルにすぎなかった非金融分野の海外投資額は、昨年には407億ドルへと280倍に膨らんだ。特に石油、天然資源分野では巨大国有企業が外国企業の株式取得に乗り出している。
中国石油化工と中国海洋石油は先週、米石油業界4位のマラソンオイルからアフリカ南部のアンゴラ沖にある海底油田の権益の20％を取得することで合意した。中国石油天然気（ペトロチャイナ）は先月、イラクのルマイラ油田の開発権を獲得し、中国の国富ファンドである中国投資（CIC）は英酒類大手ディアジオの株式1.1％を取得した。
中国開発銀行の陳元・行長は「皆が中国は価格が下落した西側の資産を買い取るべきだというが、われわれにウォール街に向かう考えはない。天然資源やエネルギーの方面に投資を集中させるべきだ」と強調した。
金時現（キム・シヒョン）記者
朝鮮日報／朝鮮日報日本語版
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