『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子など、様々な分野の論客が『今週のオピニオン』と題して、毎号書き下ろしの時事批評を寄稿する。
櫻井よしこ氏が登場。ここではその内容を全文公開中だが、その最終回では、自らが理事長を務めるシンクタンク「国家基本問題研究所」が主催し、チベット亡命政府首相のロブサン・センゲ氏、世界ウイグル会議事務総長のドルクン・エイサ氏、モンゴル自由連盟党幹事長のオルホノド・ダイチン氏の三氏を迎えて行ったシンポジウムの様子を、櫻井はこう説明する。
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チベットもウイグルもモンゴルも中国共産党が中華人民共和国を建国して以来、非常な困難に直面してきた。中国共産党の異民族に対する政策は、その民族を独立国家を形成するネーションとは認めずに、少数民族、即ちエスニック・グループとして取り扱う不当なものだ。中国は中国には56の「少数民族」が存在すると主張し、チベットもウイグルもモンゴルも、それらのひとつにすぎないとして、問題を矮小化してきた。
「ダライ・ラマ法王14世の年来の主張は、(1)独立は求めない、(2)但し、チベット仏教とチベット語の学び、チベット文化の継承を認め、高度の自治を保証してほしい、というものです。私も法王と同じく、独立ではなくチベット人として生きるために高度の自治を求めているにすぎません」
「いま、中国国内では、チベット人が民族独自の宗教を学ばせてほしいと要請して平和的なデモをすれば射殺されます。ポスターを貼っただけで連行され殺害される。中国当局に批判めいたことを言えば、かき消されたように姿が消えて戻ってきません。居場所も生死も不明なままです。チベット人は、こういう状況を世界に知らせ、国際社会の中で中国共産党の圧政をやめさせるしかないと考えて身を焼くという究極の残酷な手法で訴えているのです」
「私たちは東トルキスタンと呼ばれる国のウイグル人です。宗教はイスラム教です。東トルキスタン人の特徴は極めて穏やかな性格にあります。しかし2001年9月11日にアメリカが同時多発テロで攻撃されたときから、中国共産党は私たちを過激なイスラム教徒であり、テロリストだと呼び始めました。そのようなレッテル張りは大変な被害を受けたアメリカ政府当局にすんなり受け容れられ、以来、不条理極まる弾圧が激しさをましています」
「日本には1万人ものモンゴル人が住んでいますが、殆んどの人が恐怖で発言できません。発言すれば必ずひどい運命が待ち受けているからです。自分自身だけでなく、家族にも累が及びます。だから、1万人も日本に住んでいながら、日本の人々に、中国国内のモンゴル人がどれだけひどく拷問され、どれだけの人が虐殺されてきたか、知らせることも出来ていません。
私はいま発言しています。けれど、私は中国のパスポートを持つ身です。日本に滞在することができず、中国に戻されるときには、生きていられるかどうかもわかりません。このような立場の人間を、日本政府はどうか、受け入れてほしいのです。永住ビザを何年間申請しても、却下され続けています」
センゲ首相の話を聞く会は、「日本国国会議員によるチベット人弾圧に関する決議」を全員の総意で決議して閉会した。中国政府に「人権弾圧を直ちに停止することを強く求める」という決議である。
人権、自由、民主主義を尊ぶ日本で記念すべき一歩が踏み出されたのである。
私はこの日集った約100名の議員に深い敬意を払うものだ。とりわけ首相来日に関しての準備に力を貸してくれた以下の議員には感謝を捧げたい。
安倍晋三氏、下村博文氏、笠浩史氏、加藤勝信氏、長尾敬氏、村越祐民氏、山谷えり子氏、若泉征三氏らである。