パルデンの会

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「年間100ミリシーベルト」の評価

情報流通促進計画by日隅一雄(ヤメ蚊)ブログより

昨日、元自衛隊員の佐藤正久議員の会見が自由報道協会で行われた。私は、年間100mSv以下の被曝は健康に問題がないとする山下俊一福島県医科大学副学長の従来の説明が訂正されることなく、福島では生きていることによって、地元の混乱が継続していることを指摘した上、山下氏の当初の発言が間違っていることを福島県民に周知できないのか、という趣旨の質問をした。
しかし、地元議員であるにもかかわらず、佐藤正久氏は、山下氏の見解を修正する必要性すら認めず、現時点では影響は分からないので、継続的な検査を続けるしかないという趣旨の回答にとどめた。佐藤議員は、モルモット扱いではないと付け加えたが、発言を聞いた方は、どういう印象を持たれただろうか?(※2)

 
福島原発のリスクを軽視している」   「安全説」山下教授に解任要求署名
2011/6/14 20:14  J-CASTニュース
  
 福島第1原発から放射性物質が放出されて続けている問題で、一貫して「安全・安心説」を唱えていると受け止められている識者が、福島県放 射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一・長崎大学教授だ。1年間に許容される被曝量として「20ミリシーベルト」という数字が議論になるなか、山下氏 は「100ミリシーベルト以下のリスクは分からない」との立場を崩していない。これが「リスクを軽視している」と批判を浴びており、NGOは、解任を呼び かける署名活動を始めている。
 
中略1
「年間100ミリシーベルト」の評価
中略 2
30キロ圏外でも必要ならば避難させなきゃだめ」
   その後も、山下氏は「100ミリシーベルト以下のリスクは確認出来ていない」との立場を崩しておらず、524日発売の「週刊朝日増刊 朝日ジャーナル 原発と人間」の中では、
1回、100ミリシーベルト浴びると、例えば細胞に傷が100個できます。1ミリシーベルト受けると細胞に傷が1個できます。 100個の傷にはときどきエラーが起きますが、1個の傷は体がすぐ治します。遺伝子は傷がついても治るという生物学的な生命現象が大前提としてあるので、 僕は、微量の被曝には過敏になるな、と言っているんです」
と主張。「潮」116月号では、
原発放射性物質によってがんにかかりうるといっても、がんは日本人の3人に1人がかかる病気だ。確率論的に誰にでも起こりうる病気なのに、『放射線のせいでがんにかかる』と心配して生活を台無しにしても仕方がない」
とも述べている。
   ただし、住民を避難させる範囲については、前出の朝日ジャーナルの中で
「僕は飯舘や浪江、川俣の一部の数値が高いのを見て、自主避難ではだめだ、きちんと命令してあげないといけないと言ってきたんです。国に対しても、30キロ圏外でも必要ならば避難させなきゃだめだとも言ってきました」
と述べており、講演会での発言との整合性を問われる可能性もある。
   613日に行われた福島県議会の特別委員会でも、山下氏のアドバイザー解任を求める声があがっており、今後も波紋は広がりそうだ。
 
公開質問状
2012年4月13日
960-1295  福島県福島市光が丘1番地
福島県立医科大学副学長山下俊一 殿
弁護士・NPJ編集長 日隅一雄
 
冠省 当職は、News for the People in Japanというインターネットサイトの編集長を務めている弁護士です。先日、福島県において、年間100mSv以下の被曝については健康被害が生じない という貴殿の福島第一原発事故直後の説明をいまだに正確だと信じている人が多数おり、それが原因で、家族の将来について科学的知見に基づく判断がなされな くなっていることを知り、そのような誤解を解くためには、貴殿が当初の説明が正確ではないことを表明するしかないと考え、本質問状をお送りすることとしま した。
 
貴殿の当初の見解がどの文献や調査結果に依拠するものか、明らかではありませんが、国際放射線防護委員会(ICRP)のパブリケーション99は、低 線量被ばくの健康への影響をまとめたもので、2004年10月にICRPによって承認されたものであり、現時点で、貴殿もパブリケーション99を否定され ることはないと思われます(もし、貴殿がパブリケーション99の見解を否定される場合、その理由と依拠する文献や調査結果を明らかにしてください)。
 
そのパブリケーション99では、疫学的(これまでの症例に基づく統計的)なアプローチ、放射線がどのようにDNAに影響を与えるかという細胞学的アプローチ、動物実験に基づくアプローチがなされています。
このうち、細胞学的アプローチについては、「現在のところの線量と、時間-線量の関係についてのメカニズムと定量データの理解は、低線量においては 直線的な線量反応関係を支持する」(日本アイソトープ協会翻訳版:総括(e))という結論です。つまり、年間100mSv以下でも比例的に健康被害が生じ ることを裏付けているという結論です。

 動物実験に基づくアプローチの結論は、「早期のイニシエーション事象は、細胞遺伝学的損傷の誘発に相当するように思われる。この考えでいくと、低線量域で はメカニズムの議論から直線的な反応が支持される」(日本アイソトープ協会翻訳版:総括(f))というものです。つまり、年間100mSv以下でも比例的 に健康被害が生じることを裏付けているという結論です。

 残る疫学的なアプローチは、低線量の場合、さまざまな要因によって数値が影響するために、結論を出しにくい状況にあることは間違いありません。しかし、科学的には、10mSv単位でも健康被害が出ているというデータを無視することはできません。
 そのデータの一つは、X線骨盤計測によって体内被ばくした胎児に関するものです。日本アイソトープ協会翻訳版の(48)では、「15歳までに白血病及び固 形がんで死亡する相対リスクは約1.4となることが知られている」としたうえ、(49)で、このデータのレビュー論文の結論を紹介しています。その結論 は、「事実を総合的に考えると、胎児被ばくは小児がんリスクを増加させ、リスク増加は10mGy(mGyは、mSvと読み替えられる)オーダーの線量で起 こり、このような状況下での過剰リスクは1Gyあたり約6%である」というもので、10mSvでリスクが増加する可能性があることを認めています。
 もう一つのデータは、胸部X線撮影を繰り返し受けた女性に関するものです。日本アイソトープ協会翻訳版の(52)では、「前項ほど直接的ではないが、若い 女性で1回平均10mGyオーダーの胸部X線撮影を繰り返して受けた結果、高い累積線量になったために生じた乳がんリスク増加の例がある」としています。
 結局、現在の知見からは、理論面(細胞学的アプローチ)及び動物実験からは、100mSv以下でも健康被害が出ることが裏付けられており、統計面(疫学的アプローチ)からも、それを裏付けるデータがある、とするのがパブリケーション99の結論です。
 これを受けて、ICRPは、「全体としての事実は普遍的なしきいの存在を支持しない」と明確に述べています(日本アイソトープ協会翻訳版:総括(h))。
 この「しきいの存在を支持しない」とは、比例関係が低線量のどこかで中断し、それ以下では、損害が生じないという限度があることを支持しないという意味であることは明らかです。
 つまり、ICRPも、現在の科学的知見では、年間100mSv以下でも健康被害があると考えていることははっきりしています。
 なお、ICRPは、低線量域においては、2~3Gy(Sv)レベルの線量域の危険性を2分の1として比例的に考えられるという結果を動物実験から導いてい ます(日本アイソトープ協会翻訳版:総括(f))。この数値は、アメリカ科学アカデミーの文献「BEIR-VII」では、3分の2としており、ICRPは それに比べれば危険性を低めに見積もっていることが、ICRPの2007年勧告日本アイソトープ協会翻訳版(72)に記載されています。そして、危険性を 低めに見積もった場合に、年間100mSvの被曝で癌死が0.55%増加するというのが、ICRPの現在の見解です。
しかし、貴殿の通販生活におけるインタビュー(http://www.cataloghouse.co.jp/2012spring/yomimono/yamashita/index1.html) を読みますと、貴殿は、このインタビューがなされた時点では、100mSv以下の健康被害については科学的には分からない、放射線防護のうえでは、閾 値なしで低線量でも被害が出ると考えるべきである、としつつも、県民の健康を守るためには、定期的な検査をするほかないと考えていた、と思われます。
  そこで、貴殿が現時点でも、年間100mSvの被曝について、100mSv以下の健康被害については科学的には分からない、放射線防護のう えでは、閾値なしで低線量でも被害が出ると考えるべきである、としつつも、県民の健康を守るためには、定期的な検査をするほかないと考えているのか、ど うか、明らかにしていただきたい。
は、明らかに、ICRPの見解とは違っています。これに対し、ICRPの見解と一致していますが、については、閾値なしと考える以上、でき るだけ被曝を減らすことが重要ではないでしょうか。100mSv以下でも被害が発生する可能性があるということは、10mSvでも被害が発生する可能性が あり、その確率は、癌死増加率0.05%ということになります。0.05%をどのように受け止めるかは、各地域・各家庭・各個人で異なるでしょう。なかに は、気にしないと言う人もいるでしょう。なかには、自分はよいが、子供にそのリスクは負わせられないと言う人もいるでしょう。選択肢を個々に与えるために は、正確な情報を提供する必要があります。
ことは、健康・命にかかわる問題ですので、4月24日までにご回答されるようお願いいたします。
なお、本書面は、News for the People in Japanhttp://www.news-pj.net/)及び当職が運営しているブログ「情報流通促進計画」(http://yamebun.weblogs.jp/my-blog/)にて、公開させていただくととともに、ご回答の状況についても掲載させていただきます。
不一