パルデンの会

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東電は本当に腐った企業である、なぜあの時つぶしておかなかったのか???


勝谷誠彦氏の有料ブログより転載

 昨日の『ザ・ボイス』にはジャーナリストの宮田賢治さんに
生出演していただき、彼が従業員として
潜入した東京電力の賠償業務の現場の脱力するほどのいいかげ
んさについて、生放送で話して貰った。

http://www.1242.com/program/voice/
 詳細は来週発売の『週刊朝日』を見ていただきたい。もう原稿はゲラにもなっているが、なぜか今日
発売号に掲載のはずが、来週に延期になった。これはゲストとして出ていただくのも延期かと真っ青に
なったら、編集部としてはそのままでいいという。不思議な話である。来週の掲載がちゃんとなされる
といいのだが。
 湾岸のオフィスで行われる賠償業務の事務作業と福島原発の現場での処理作業とは全く異なるようで
ありながら実は根底では同じだとういうことがよくわかる。東電という組織が持つ病弊が驚くほど似て
いるのである。
 まず、硬直化した組織が機能していない。被災者は手書きで賠償の請求書を書く。多くは避難先から
だ。住所や生年月日を間違えるのも仕方がないであろう。たとえば住所の「大字」が「字」になってい
た場合、それをデータ化する時に正確なものに書き換えるというのは「正しい裁量」だと私は思う。しかしそれをやっていいのかどうなのかを、東電の社員の方々は何日間も会議をひらいて検討するらしい。
 集められた事務員はほとんどがド素人であった。マウスを使ったことすらないおばちゃんもいたと宮田さんは言う。エクセルの講習に何日もかける。その上で「家族にもここであったことを喋ってはいけません。あなたがたは監視されています。もし何かあればとんでもない訴訟を抱えることになりますよ」と社員がさんざん脅すのだという。
 「でもね、パソコンを立ち上げると無線LANも同時に起動して、社員のものらしいスマホの電波がガンガン入って来るんですよ」。試しに宮田さんは東電のイントラネットにアクセスした。するとトップページにそのまま入れてしまった。そこから先はパスワードが必要だが、全社員の名簿から原発の設計図などへの入り口もトップページにはあったという。「北朝鮮工作員でなくともちょっとハッキングの趣味のある奴なら簡単に突破できたと思いますよ」。もちろん、事務員の身元など調べていない。宮田さんが簡単に採用されたんだから。そして「監視」も怪しいものだ。「ボクがいろいろやってみても、全くひっかからなかったんですからね」。
 しかしもっとも大きな疑惑は「東電はずっと『やったフリ』で時間を稼いでいるのではないか」ということである。
 ある時、宮田さんは処理をしているケースの中にもうひとつのファイルがあるのに気がついてひらいてみた。するともうとうにそのケースはデータ化されていて、支払いも終わり、相手からの領収の書類までもがあったという。では自分がしている作業は何なのかと、彼は訝ったのも当然だろう。
 二つのことが考えられる。ひとつは裏金作りである。二重に払った人件費を還流させるとできる。もちろんあの会社が破綻している以上、最終的には私たちの税金だ。その裏金を何に使おうとしていたのか。
 もうひとつは実はそこに残っている処理がアリバイであるということだ。いちおう東電がやっていることは経済産業省やさまざまな監視機関が見守ってはいる。そういうところには「こうして処理は順調に進んでいます」とそうした書類を出しておきながら、実はやっておらず、宮田さんたちがようやく現実に処理しているということである。
 これは支払いがされたとする被災者の方に、本当に賠償金が渡っているのかどうかを当たってみればわかることだろう。宮田さんはそれをしようとしている。だから別れ際に私は言った「身辺の安全にはくれぐれも気をつけて下さいね」と。
 もうおわかりだろう。原発の現場との類似が。「やっているフリ」をして、実は何も行われていないのではないかということだ。事故から2年たって、野ざらしの配電盤にネズミがはいり込むんですよ。先日朝日新聞の『声』欄の投書を引いて紹介した通り、現場の技術者ならば信じられないことである。
 ド素人を使っているのも同じだ。知識や技術のない人たちを集めて人海戦術でとにかく何かをやっているフリをする。しかし実はそれはアナだらけであって、文字通り貯水槽の穴から汚染水が漏れる。宮田さんの現場だと、重要なデータに簡単にアクセスできるようなことがバレてしまう。
 東電は落とし所をどこだと思っているのだろう。とにかく、明日まだ会社があって給料を貰えればいいと考えているのだろうか。いや、そんな考えもないのではないかと私には思われる。
 「呆然」と「思考停止」になっているのではないだろうか。それがわかるのは日曜日にお送りしている『天国のいちばん底』の主人公に近い立場に、中学高校と自分がいたからだ。問題文の意味すらわからないテスト用紙を前にした時のあの気持ち。何をしていいのかもわからないので、用紙を裏返してスゴロクを即席で作り、六角形の断面のエンピツをサイコロにして時間を潰したっけ(笑)。なんだか東電の「時間潰し」を両方の現場で見ていると、そういう心境ではないのかとすら思われるのだ。
 こういう時は試験の監督をしている先生が気付いて「どうした?全くわからんのやったら、もう帰るか?」と言ってくれると私としても楽になる。汚染水が漏れ続けていて原因がハッキリしないという、戦後処理が始まって最悪の絶妙のタイミングでIAEAの調査団がやってきた。ぜひとも東電の現状をしっかりと把握して、早く楽にしてやって欲しい(苦笑)。
 <「汚染水の管理に注目」/IAEA調査団が来日/東電の対応を検証>
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